社会人で最初の上司から教えられた技術「ルール化」。スルメのような技術だった。
以前は内定者時代に社長から言われた「ホテルをきれいに使う」という教えが社会人としての基礎を作ってくれたと記事を書きました。この教えは人として大切なことを仕込んでくれた思い出深いものでした。
今回は最初の上司にしつこいくらいに仕込まれた技術である「ルール化」というものについて紹介したいと思います。この技術は社会人歴を重ねるうちに自分の血肉となり、徐々になければならないものへと変わっていくようになりました。まさにスルメのように噛めば噛むほど味が出るテクニックでした。
ルール化という思考のフレームワーク
新卒で配属をされたチームの当時50代の上司から、仕切りに言われたのが「ルール化を習慣化しないとコンサルタントになれないよ」ということでした。説明をうけてもいまいち理解できず、ピント外れのことを言ったのを修正し貰ったのを覚えています。夜に飲みに行っても、「今日起きたことを3つルール化して、これ言えなきゃ奢らないよ」というプレッシャーもかけられ美味しくお酒を飲めなかったのを覚えています(笑)
当時言われたことで覚えているのが、夜東京駅のお寿司屋さんで「機能のサッカー日本代表戦をルール化して」という投げかけでした。確かカウンターで決勝点を決めたシーンについて話をした気がします。回答としては「競合相手や環境がイケイケのときこそ、守りを着実にやるべきことを徹底して行うことで相手の息切れや雰囲気が変わった瞬間にその市場を取れる」みたいなことだったと思います。
この問答は会えばかなりの頻度でやった結果、回答はしてそれなりにこたえられるようになりましたが、イマイチ活用法や本質がつかめないままでした。
その後、配置転換で他部署を回って「ルール化」の問答がなくなると、多忙ゆえに行うことは減っていきました。でもこの問答で思考の枠というか、インプットの癖が身についていたんです。
メモの魔力でより深く理解できたルール化
どんなことをやっていたのかを、言語化して理解できたのはそれから10年以上してからでした。この大きなヒントを得られたのはたまたま読んだ前田裕二社長による「メモの魔力」という書籍でした。
この書籍の中で書かれていたメモを書く方法はノートを3分割し、左から
・事実
・抽象化
・転用
とまとめるというものでした。
事実は、ファクト。ミーティングで言えばその内容。
抽象化は、事実を知ったうえで気が付いた特徴や共通点を抽象化すること。
転用は、抽象化した内容を生活などの自分のアクションに昇華させること。
このように言えます。「メモの魔力」はベストセラーにもなったので要約サイトなども多数出ているので目を通してみてください。
この事実→抽象化→転用はまさに上司がルール化を通じて行わさせたかった思考の流れそのものだったんです。この本を読んだときに「ルール化」の理解が一気に進み、これまで蓄えてきた点の思考が、線となり面となり、活用の幅が大きく拡がりました。
その後、別に読んだ書籍でも同じ思考がまとめられていました。著者と書籍名は忘れてしまいましたが、外資系コンサルティング会社であるマッキンゼーマッキンゼー流のフレームワーク「空・雨・傘」というものです。
こちらでは
空:事実
雨:解釈
傘:解決策
とまとめられており、下記のような内容で考えることが出来ます。
朝、外出前に空をながめたら、西の空はうっすらと雲に覆われています。「これは、昼ごろから雨になるかもしれない」と思い、折り畳み傘を持って外出することにしました。すると、予想通り昼過ぎに雨が降ってきました。しかし、傘を持っていたので、濡れずに済みました。」
上記は直接的な流れですが、「ルール化」や「事実→抽象化→転用」の流れを理解して考えてみると、世の中の様々な法則をそれ以外に展開して活用するということが理解いただけるかと思います。
情報の利活用がしやすくなった
この「ルール化」はインプットのためのフレームワークであると思います。認知機能の説明の際に「インプット→プロセス→アウトプット」それぞれを司るものという内容をまとめたことがありました。
情報取得の段階で「事実→抽象化」まで行うことで、ビジネス上の思考力が高まります。世の中で起きているありとあらゆることは人間活動の集合体です。人の思考や行動特性や集団での動き、心理、反射などさまざまな要素の素で起きています。ということはアイデアを考えるときにあるヒット商品の様々な要素を抽象化したものがあれば、自分の業界に当てはめると意外な商品が生まれるかもしれません。また物ごとの成功失敗を考える際にも自身の頭だけで考えるだけではなく、抽象化したものを材料に考えることでケーススタディを持ってきやすくなります。
このように今となっては必須技能となった「ルール化」ですが、10年以上寝かして理解できるようになり、その後10年近くとても役立つフレームワークとなっているので、「ルール化」「ファクト→抽象化→転用」「空、雨、傘」つかいやすいもので使っていただければと思います。使えば使うほど自分のものとなり抽象化がうまくなり、またそのストックが増えてくると思考が大きく拡がります。まさにスルメのように噛めば噛むほどというやつです。