【恋愛小説】緋色に堕ちた婚約者 第5話 〜encounter〜
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[約3,500字]
時が過ぎるのはあっという間で、気づけば私の王立アカデミー入学まであと半月。気が滅入ることが多くなった私は、気分転換に屋敷の外へ出かけることにした。
プライム子爵領は豊かな自然に囲まれて時間がゆったりと流れる土地柄で、そこそこ農業が栄えた領地。それよりも盛んなのが鉱業。主たる収入源は鉱山から採取される上質な金で、国内は疎か、国外まで流通しているほど。それなりの富を生む鉱業だけれど、欲のない父はその富をほとんど国や民に還元