『ご飯は私を裏切らない』【マンガ感想】
好きな創作物の感想など(3):今回、コミック作品の『ご飯は私を裏切らない』の感想について記したいと思います。
『ご飯は私を裏切らない』
コミック:heisoku (著) (2020:角川コミックス・エース)全1巻
(あらすじ)「私」はアルバイト生活の中卒29歳の女子。恋人や将来への展望もなく、その日をなんとか生きている。仕事上の失敗や軋轢などに疲れはてる毎日。漠然とした不安のために『2頭身の侍』とゆう意味不明の幻覚を見るまでになる。
そんな彼女の日々の疲れを癒すものはご飯だった。
本作は夜静かに休みながら間接照明の下で読むのにぴったりです。
ストーリーも面白いのですが、わたしが本作に惹かれるのは絵でした。
まず「魅力的な絵だなあ」と。
まつ毛の表現が特徴的であり、それは時には白抜きで描かれていることに気づきます。それも絵の魅力の一つになっています。
また、さほど前面にでていないのですが『2頭身の侍』は本作の密かなマスコットとして面白い。
本作の主題は『ご飯(食事)』なのですが、1話目の『ご飯』イクラのせトーストに対する感想はのっけから「美味しくなさそう」ではありました。
ただ、本作は他のグルメ作品と異なり、『ご飯』が主題でありながらそこに力点はないように見えます。
本作の主軸は主人公の脳内でぐるぐる巡る思考であり、その独白によって物語が進行し、それがかなり面白いです。
たとえば、仕事上のトラブルや失敗、または『ご飯』を起点にして、途方もない方向に展開してゆく思考。それを疲れた頭で追って読んでゆく。
(マンガにしては文章が多く、読んでゆくとついてゆけなくなるのですが、それゆえ何度読んでも楽しめる、ガムのような漫画なのですよ)
特に仕事上のトラブルや失敗に関するエピソードに、どこか共感を覚えながら、彼女の思考に同期してゆくような状況をエンタメとして楽しんでおります。
とはいえ、ファーストフードやレトルトのおかゆ、市販のチョコレートで作るホットチョコレート(結局これはただのココアなのです)など、知った味ではありますが、「食べて」みたくなりました。
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