20年前に聞いたノックが僕の人生を変えてくれた

「あなたは、人に手を上げてはいけない、その手で人の心を優しく打ちなさい」

人生を辿ると名前が思い出せない恩人が何人かいる

読者の方も今「パッ」と思い浮かぶ
人生の恩人が何人かいるだろう

わたしを育ててくれた恩人たちは今、
何をしているのだろうか。。。

恩人について、朧げながら思い出せることがある

彼らはわたしの「英雄」だった
わたしは彼らの何に憧れたのだろうか。

30歳を超えた今だから分かる。

長年陽か当たらなく、くたびれてしまった背中に

理不尽という「寒さ」にかじかみながら、人生を紡いだ腕に

不運という「悲しみ」で頼りなくなった足に

心を痛くする「囁き」を退けつづけた耳に

「可哀想に」といわれる人生の底をみた目に

折れなかった使命に
何万キロも歩いてきた姿に
孤独に耐え抜いた心に
捧げられた多くの時間に

少年のわたしは勇気をもらい、心を打たれた

わたしの「英雄」は、名もない人たちだ
世間は彼らを知らないし、この先見つけることもないだろう

彼らがわたしの人生の路地裏に腰掛け、静かに教えてくれた

「あなたは、人に手を上げてはいけない、その手で人の心を優しく打ちなさい」

幼い頃、何度か扉をノックされた
わたしにしか聞こえない不思議なノックだ

その音を感じる度に、わたしの薄暗い世界にランプが灯った