
「憶えのない殺人」を見た率直な感想と、「僕ならこうする」
昨日は暖かくて天気も良いので(トナさんの運転で)南部をドライブ。
木曜ぐらいからまた少し寒さが戻るらしいけど…。
NHKの特集ドラマ「憶えのない殺人」を鑑賞。
主演の小林薫や尾野真千子、医師役の橋本じゅんのキャラクターと演技は素晴らしくて説得力のある物だったし、ラストシーンもじんわりしたんだけれど、全体的に、見終わった後は、僕もトナさんも二人して「………」て感じだった。
何なんだこの後味の悪さは…。
何なんだこの物足りなさは…。
相変わらずトナさんは理屈をこねない人なので、僕だけが勝手に「いまいち」だった理由をこねくりまわしてみた。
ドラマ「憶えのない殺人」が大好きで、面白い、満足した、と感じている方々にとっては全く意味のない文章なので、この先は読む必要はないです。
僕らと同じように「何となくモヤモヤした」という方々にとっては少しスッキリする内容になっているかもしれないし、さらにモヤモヤさせてしまうかもしれません。
また、ドラマには満足しているけれど、とりあえず他の意見にも興味がある方も、よろしかったらどうぞ。
いずれにしても、ドラマの内容に触れるので、まだご覧になっていない方はご注意下さい。
こんな感じでスクリプトドクターごっこをするのは、以前「宙わたる教室」について書いて以来かも?
余計なお世話で身の程知らずなのは承知しておりますが、一応自分もシナリオライターを目指して作品を書いているので、「自分だったらこうする」みたいなことを考えてみちゃったんですけど…て感じで。
ではスタート。
僕らの年代にとって、認知症について考えることは日常茶飯事である。
いつなんどき、あすにでもやってくるかもしれない問題だからだ。。
「憶えのない殺人」は、僕が現在持っている知識を基にする限り、認知症の描き方に関して異議はなかったし、ストーリー自体は非常に面白いと思った。
認知症にかかっている人間の身近で殺人事件が起こる。
自分が以前から被害者のことを良く思っていないことは、人に知られている。
しかも、犯行時間に自分が現場近くで目撃されている。
ただ、全く「記憶がない」。
このようなことが起きたら、憶えがなくても警察に疑われてしまうことは実際あるかもしれない。
「ひょっとしたら殺したのは自分かもしれない」と思ってしまうことも…。
自分も主人公と同じ状態に陥ったとしたら、きっとこうなるだろうなぁ、と感情移入できたし、疑いを向ける刑事の気持ちもわかる。
というわけで、上記のような「状況設定」は非常に面白いと思った。
なのに、見終わった後に不満が残ったのはなぜなのか?
物凄く長くなりそうなので、初めて「インデックス」を作ってみた。
「僕が感じる5つの疑問点」
まず最初に、僕が「どうしても納得がいかない」点を5つ挙げてみる。
とっても面白いストーリーなのに、なぜこんなに後味が悪く、且つ、「見て良かった」と心の底から思えなかったのかという理由を、僕なりに考えてみた。
その1「殺したのは誰か?」
このドラマは90分。
真犯人が分かるのは70分を大幅に過ぎてからだ。
つまり、ドラマの大半は「本当に主人公は殺したのか?」という謎で引っ張っていく構成になっている。
結果として、主人公は犯人ではなかったのだけど…。
このドラマの中で、殺害された男と直接関係があるのは、以前、男の逮捕に協力した元駐在のおまわりさんである主人公と、その男にストーカーの被害に遭っていた女性だけだ。
この二人だけ。
だから、犯人が主人公ではないとしたら、残りは彼女しかいないわけ。
全く作品に登場していない第三者が犯人だった、という何の伏線もないオチは、ドラマツルギー的にありえないからだ。
70数分後に真犯人が分かったとき、認知症の主人公が犯人ではなかったことには安心したけれど…。
それと、ドラマの面白さは別だ。
だって、彼女が犯人だとしたら、かなり後味の悪い物語になるからだ。
その2「真犯人の殺人動機」
真犯人の女性は、執行猶予を終えたストーカー男に再び何度も付きまとわれてノイローゼ気味になり、「彼を殺すしかない」と思い込んでしまったとのこと。
でも、ドラマ内では、女性の側の描写が全くなかったので、彼女がそこまで追い詰められていたことを具体的に想像できなかった。
なので僕は「え? そんな理由で殺したの?」と思った。
回想シーンにおける彼女の供述の最初の言葉は、「これでやっと自由になれます」だった。
しかも、うっすらと笑みまで浮かべているではないですか。
ちょっと怖い。
それなのに、その後の供述の回想シーンでは、殺してしまった後は、自分も死のうと思っていた、とか言ってるし。
へ? じゃあ、さっきの笑みは何?
彼女が自首してきたのは、犯行直後に、深夜を徘徊している主人公の元駐在さんに久々に会って「頑張ってね」と励まされ、「やっぱり生きようと思った」からだって…。
なんか、支離滅裂、というか、犯人の女性の気持ちが全くわからない。
物凄く好意的に解釈すると…。
女性は、ノイローゼになり、自由になるためには男を殺すしかないと思い、男の家に行き犯行に及んだ。
しかし、殺してしまったあとで我に返り、大変なことをしてしまった、と、自分も死のうと決意する。
しかし、元駐在さんと偶然会い、優しく励まされたことで、「やっぱり生きよう」と思った。
それから一週間。
考え抜いた女性は、「生きるために、キチンと罪を償おう」と、自首した。
最初に浮かべていた笑みは、「これからしっかり生きていこう」という前向きな表情であった。
彼女の笑みを、最初は不気味な感じで演出したのは、視聴者の興味を逃さないための意図的なミスリードであった。
て感じ?
そこまで好意的に解釈しても、やっぱり納得いかないものは納得いかない。
殺人の回想シーンで、彼女は部屋中で長い髪を振り乱している。
殺人現場は、普通髪の毛一本まで鑑識さんが調べるんじゃないかなぁ。
揉み合った形跡があり、被害者ではない人間の髪の毛が発見されたら、その髪の毛は容疑者の物である可能性が高い。
今一番疑われているのは、認知症の元駐在さんだけど、そうすると、あの髪の毛は誰の物?
ぐらいのことは、いくらなんでも警察は調べているんじゃないだろうか。
しかも事件は1週間前だよ?
あと、凶器である血まみれの灰皿を、女性が無造作に公園のごみ箱に捨て、そのゴミ箱を、主人公の元駐在さんが、深夜の徘徊中に「なんとなく」拾い上げたため、灰皿には主人公の指紋が付着していた、というのも、なんだかなぁ…。
真犯人が自首してくる直前、警察には「灰皿から元駐在男性の指紋が出た」という連絡があり、それと同時に「記憶がなくても、自分がやった可能性があるのだから自首する」と決意する主人公が描かれる。
ここが一番のクライマックスで、「いったいどうなるの?」と一瞬は盛り上がる。
でも、それと同時に犯人の女性が自首してきて、一気に終盤へ。
指紋の種明かしは、ちょっと酷いと思った。
盛り上げるために、あんな、あざとい演出する?
一気にドラマの質が下がった気がした。
その3「主人公のリアクション」
さらに気になったのは、真犯人が、自分が昔助けてあげた女性だったと知った時の主人公のリアクションだ。
自分が守ってあげたいと思っていた女性が実は犯人だったのに、主人公のリアクションが殆ど描かれていなかったのは不可解だ。
自分の嫌疑が晴れたのは良いけれど、彼女が犯人だったとは…と、ショックを受けるシーンが皆無なのだ。
彼女がそこまで追い詰められていることも知らず、何もしてあげられなかった自分を不甲斐なく思ったりするシーンを、どうして省いたのか。
そこらへんの主人公の細かい感情表現を一切無視して、一足飛びに、「主人公の励ましのおかげで女性は生きようと思い自首を決意した」というラストに強引に持って行ったのは、どうかと思った。
主人公が真犯人の女性の気持ちを思いやるシーンが全くなかっただけではない。
そのあとの主人公は、娘に自分の介護をさせても全然平気なのである。
自分が認知症になったときに、「たまたま」、世界中を放浪していた娘が帰って来た。
だから介護をしてもらうのは「当然」みたいな?
主人公が、夜中に徘徊して無意識に「乾電池」を買ってしまうエピソードは、「娘との思い出」にリンクしていたのだから、主人公の、娘への思いは強いのだと思う。
娘が自分を介護してくれる気になっているとしたら、彼は父親として、心強くて嬉しいだろう。
でも、「本当にそれでいいのか? 無理してないか?」ぐらいは確認しないだろうか?
「いままで散々自由にやらせてもらったから、今度は私がお父さんの面倒見る番だよ」と、娘が「心の底から」発するセリフぐらいは、あっても良いんじゃないだろうか。
そして、そのときの主人公のリアクションも、欲しい。
常識で考えたら、いくら娘にその気があろうとも、40代になるまで好き勝手に世界を放浪してきた女性が、親の介護をしながら、今から地元に生活の基盤を作るのは大変なことだろう。
仕事は? 貯金は?
自分の老後資金は?
父親は定年後11年という設定だから71歳だ。
介護はあと20年以上続く可能性があるんだよ?
60代になって、一人残された娘はどうなるの?
親なら娘の立場を想像して、心配しろよ!
と思った。
この二つの「リアクション」が省略されていたせいで、せっかく今まで感情移入して見て来た主人公に激しく幻滅を感じ、最後の最後で裏切られた気がした。
実は僕にとっては、この「主人公のリアクションの薄さ」が、この作品に乗れなかった「一番の理由」なのでした。
だって、認知症はまだ初期段階であり、このぐらいの会話は出来たはずだから。
ていうか、症状が進む前に、言わなくてはいけないことは、絶対に言っておきたい、と、僕が認知症なら思うからだ。
その4「地下アイドルという設定」
殺人事件の真犯人の女性は、元地下アイドル、という設定だった。
ファンの男にストーキングされ、それが度を越して怖くなり、ついには逮捕、という事件があったのが11年前。
その現場に居合わせた地元駐在のおまわりさんである主人公は、その後まもなく定年退職。
執行猶予を終えた男は、女性の自宅に押し掛けて再逮捕。
女性は、恐怖のあまり街を出たのに、どこへ行っても付きまとわれて…ついに、という設定は、理屈としてはおかしくはないと思う。
でも、地下アイドルを目指して上京した若い女性が、あの街を選ぶだろうか? という疑問はあった。
「駐在さんが近くにいてくれる環境が安心できるから」と彼女が話す回想シーンが何度か出てきたので、まあ、そういうこともあるだろうな、と思える範囲ではあったけど…。都心からかなり離れた超田舎、みたいなロケ地だったのが気になった。
あと僕は「地下アイドルとストーカー」という手垢のついたアイデアを、何の工夫もひねりもなく、ストーリー展開のため「だけ」に単純に利用してるんじゃないか、てことが気になった。
若い女性がアイドルを目指すことに関して、駐在さんは好意的な目で応援している感じ。
彼女に付きまとうストーカー男だけが、一方的な異常者として描かれる。
でも、「地下アイドルを目指す」って、そんなに全ての人が感情移入できる設定かなぁ?
どちらかというと少数派で、「なぜ、そういう仕事がしたいのか」という説明が無いと、あんまり理解できない気がする。
演技が好きだから俳優を目指す。
歌が好きだから歌手を目指す。
みたいな具体性が、「地下アイドルを目指す」という行為からは感じられにくいからではないかと僕は思う。
「不特定多数の人にチヤホヤされたい」という承認欲求以外に、僕にはあまり思いつかない。
アイドルを目指す少女たちが「みんなに夢を与えたい」という場面を何度か目にしたことがある。
「与える」って…なにその上から目線。
そんな風にヒネて考えるのは僕だけかもしれない。
今の世の中では、アイドルという職業は、「花屋さんになりたい」「ケーキ屋さんになりたい」とかと同列に普通に語られる職種に入っているのかもしれない。
だとしたらホントに余計なお世話ですみません。僕が無知なだけです。
ただ、あの、ストーカー男の描き方の陳腐さはどうだろう?
いい歳をした男がアイドルに夢中になるという時点で「異常である」みたいな偏見を利用していないだろうか?
出てきただけで視聴者に不快感を催させ、殺されて当然、みたいに思わせるキャラクターとして、「アイドルファンの男」を利用してはいないだろうか?
ストーキングという行為は、相手の意志には関係なく勝手に夢中になることで起きるのだから、別にアイドルとファンの関係じゃなくても日常生活に発生することだと思う。
わざわざ「地下アイドルとファン」という設定にしたのは、なぜだろうか?
僕には「パターン化しやすく、理解しやすいから」という理由以外には思いつかないし、もしそれが理由だとしたら少々安易だと思う。
「地下アイドル」という「今風」な職業を登場させることで視聴者の興味を引こう、という安直さを感じる。
別に「コンビニ店員と客」でも成立するエピソードなのに…。
女店員さんの笑顔が「俺だけに特別に向けられている」と勘違いしてストーキングが始まる、とか、普通にあり得るだろうに、と思う。
その5「被害者の男があの街に住んでる理由」
最後まで疑問だったのは、殺された男が、なんで自分が逮捕されたあの街に舞い戻って来たのか、ということだ。
すでに元地下アイドルの女性は住んでいないというのに…。
女子高生を付け回している男の姿を、主人公の元駐在さんに目撃させるため、としか思えない。
そして、殺されたときに、元駐在さんに嫌疑がかかるようにするため、近所に住んでいる設定にしたとしか思えない。
あまりにも都合の良すぎるスクリプトだ。ご都合主義にもほどがある。
あの男があの街を離れられない理由ぐらいは設定しておいてほしかった。
たまたま舞い戻って来た…って。
東京都市部近郊には、いったい何個駅や街があると思ってるんだろう?
また、10年前にストーキングしていた女性によく似た感じの「女子高生」に付きまとっていた、というのなら、この男は根っからの「若い子好き」なんじゃないだろうか?
あれから10年もたっているのに、同じ女性をストーキングし続けてるって…ちょっと違和感だ。
過去に購入したビデオやグッズや写真集やチェキには執着するけれど、10歳も年齢を重ねた「本人」に対する執着が、そんなに続くだろうか?
集団アイドルに「卒業」というシステムがあるのは、「常にある程度若い子」で構成しなくてはいけないからなんじゃない?
アイドルとしてじゃなく、ひとりの女性として本気で惚れたから、10歳年齢を重ねても全然構わない、というのなら、なぜ、「若い」女子高生を追い回したりするの?
彼女に面影が似ている女子高生を追い回していたのだとしたら、ますます、この男は「そういう年頃」の女性に執着している、ということになり、なおさら「10年後の彼女」を追い回している、というのは理解しがたい。
つまり、「あいつは変態野郎だから」というざっくりしたイメージだけで作られたエピソードだと僕は感じる。
まぁ、僕はゲイなので女性に執着する男性の気持ちが全くわからないのでアレだけど。
以上が、僕がこのドラマに感じた違和感である。
「僕ならこうする」
最後は、いつものように(ていうか2回目だけど)、「ぼくならこうする」で、お仕舞にしようと思う。
「憶えのない殺人~僕ならこうするバージョン」
犯人は元駐在の主人公か元地下アイドルの女性の二人に最初から絞られているのだから、最後の最後まで「謎」として取っておくのは時間の無駄、というか、あまり意味のない「引っ張り」だと僕は思う。
「誰が殺したのか」だけで引っ張っても、ラストの「なぜ殺したのか」がキチンと用意できないのなら、無理して謎を引っ張ることはしないで、ちゃんと「なぜ殺したのか」を丁寧に描きたい。
僕だったら、ドラマの中盤で「元地下アイドルの女性」が犯人であることを視聴者にバラす。
前半のテンポをもう少し速くして、主人公の元駐在さんが認知症であり、殺人の容疑をかけられ、最初は怒りを感じるが、やがて「もしかしたら…」と思い始めるまでで50分ぐらい。
元地下アイドルの女性との出会いと過去の事件も、もちろん前半で全て登場させる。
そして残り40分あたりで、妄想なのか現実なのかわからない、という表現で、元駐在さんと元地下アイドルが深夜の公園で再会する場面を登場させる。
その深夜の公園の回想シーンをきっかけにして、元地下アイドル女性の描写に入る。
彼女がいかに追い詰められていたかを説明し、殺人に至るまでを描く。
ストーカー男は、11年前に、自宅マンションをあの街に「購入」していた。
そして彼女に「一緒に住もう」としつこく迫っていた。
彼の頭の中では、彼女と結婚することがもう決定しているのだから、それぐらいの行動はしてもおかしくない。
だけど彼女には拒否され逃げられ、彼は2度も逮捕された。
彼が保釈後にあの街に戻ってきたのは、「購入したマンションだから」だ。
今でも彼女を忘れられない男は、どこに引っ越しても彼女を探し出し、自分のマンションで暮らそう、と迫り続ける。
「俺、マンション持ってるから」というのを自己アピールに、彼女を追い続けるわけ。
今は中古マンションが高騰しているので、11年前に買った物件も値上がりしている。物件の値上がりを、自分の魅力がアップしたと勘違いした男は、ますます自信満々で彼女を追いかける。
彼女がノイローゼになり、「この男を殺すしかない」と思うほどに、具体的に、イカレた精神状態で彼女を追い続けるシーンをキチンと描く。
「なにをやっても、あの男がいる限り無理」と彼女が思ってしまうような、具体的エピソードが必要だ。
大切な仕事に行くときに男が追いかけてきて、怖くて逃げたために仕事に穴をあけて信用を失う、みたいなことが頻繁に起きる。
ステキな男性が近くに現れても、男が先回りしてあることないこと吹き込んで彼女から遠ざかるように仕向ける、とか。
その都度「お前は俺から絶対離れられないんだ」と言われ続け、心が壊れ、「もう殺すしかない」という気持ちが視聴者に理解できるようにしなくては、と思う。
貯金が尽きた男は、生活のために近所のスーパーでバイトするが、態度が悪くてすぐにクビになり、主人公の元駐在さんは、その場面を目撃し、男が街に戻っていることを知る。
周囲に個人的に聞き込みをすると、男の評判は非常に悪く、前科もちで、アイドル好きで変態でキモイ、という噂ばかり。
女子高生を追いかけていた、というのは、「噂話」としてあくまで「伝聞」で元駐在さんの耳に入る程度で良いと思う。
とにかく、元駐在さんの脳内で、「戻って来た悪い男を退治しなくては」という強い「正義感」が生まれた、という結果になりさえすればよいのだ。
そして主人公は、己の強い正義感のため、「記憶にない殺人をしてしまったかも」という妄想にさいなまれる。
真犯人を視聴者に知らせた後の、残り30分では、主人公が刑事に疑いをかけられる様子を、ひたすら描く。
(凶器から指紋が出た、という、あざといエピソードは一切カットする)
視聴者は、真犯人は元地下アイドルの女性であるということを知っているから、一方的に主人公が嫌疑をかけられるという展開に、やきもきする。
怒りも感じるだろう。
そこが狙いであり、作品のテーマでもある。
ここで登場するのが、主人公の主治医だ。
「何も覚えてないからって罪を擦り付けるのは人権侵害ですよ!」
というセリフは、この展開の方が刺さると思う。
刑事は、主治医の言葉にハッとし、自分の祖母との出来事を思い出し、認知症患者に対する自分の偏見に気付き、反省する。
自分がやったと「思い込んだ」主人公が自首を決意し、警察に行く直前に、現場に残された毛髪のDNAの結果から真犯人がわかる。
それとほぼ同時に、真犯人の女性が出頭してくる。
深夜の公園での出会いが、彼女に生きる希望を与えた、というエピソードは、まあ、あってもなくても良いかも。
もし入れるのなら、殺人を犯した瞬間の彼女の精神がおかしくなっていたこと、殺した直後に我に返って愕然とするところをもっと丁寧に回想させる必要がある。
そして、自分の犯した罪を受け止めきれずに、自殺してしまいたくなった瞬間に、あの元駐在さんとの再会と彼の笑顔を思い出す、という回想は、必須だと思う。
真犯人が彼女だと知った主人公は、自分が守ってあげられなかったために、彼女が追い詰められて罪をおかしてしまったのだ、と自分を責める。
なぜなら、主人公は、元地下アイドルの女性に、自分の娘を重ねていたからだ。
そして、海外を放浪中の娘が帰ってくる。
「日本に定住してお父さんの面倒を見る」という娘の申し出を、主人公は断固拒否する。
娘は、父が自分の将来を案じて、無理しているんだと思う。
「お前が人生の後半を費やして一生懸命俺の面倒を見てくれたところで、俺はそれを忘れてしまうんだぞ? そんな虚しいこと、おまえはしなくていい。自分の人生を自分で見つけて生きなさい」
そして娘は去る。
再び海外を放浪するもよし、老後のことを考えてキチンと就職するもよし。とにかく、父の介護はしない、という展開にしたいと思う。
娘(血縁者)なんだから当然、という流れは、絶対に作りたくないから。
主人公は訪問介護を受けることにする。
1年後、ヘルパーさんに連れて来られたお祭りで、主人公は自分を追い詰めた刑事と再会する。
刑事は、改めて、深く深く詫びるが、主人公は刑事のことを覚えていない。
刑事は「わたしはあなたのことを決して忘れません!」と叫ぶのだった。
おわり
ぶっ飛ばして書いたので、意味が伝わっているかどうか心配だけど…。
もし、僕だったら、同じストーリーをこんな感じで構成してシナリオにしてみたいと思うのでした。
とにかく、殺人の「動機」が「はぁ?」みたいなミステリーはダメだと思うんで、その辺はしっかりと構成したいと思う。
おまけ
「刑事コロンボ」の「忘れられたスター」って、超傑作だったと思う(わかるひとだけ反応して下さい…)。
それから、「駐在さん」と言えば「ガンニバル」だ!!!
完結編が今月から配信開始なので楽しみにしている。
それにしても、前シーズンから丸2年ぶり!!
打ち切りかと思ってたから超嬉しい!!