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「宙わたる教室」~とっても良かった。けど僕ならこうする~

先日、ドラマ「宙わたる教室」をトナさんと一気見した。

僕は、小学生の時に「学研の科学」を定期購読していた時の気持ちを思い出してワクワクした。
あと、70代の定時制高校生の集団就職の話も懐かしかった。

トナさんも、ドラマに色々刺激されて、昔の記憶の蓋が開いたようだった。

ドラマに関係なく、お互い自分の昔話をして、さらに理解が深まった気がする。

何度も書いているけれど、僕は9年前に沖縄に移住した。
その数か月後、僕とトナさんは56歳と50歳で初めて出会った。
お互いに「育ちすぎ」なので自分が出来上がっている。
これから理解を深め合い、関係性を築いていくのは難しいかなぁ、と思ったけれど、テレビドラマがその手助けをしてくれたと思っている。

いきなり自分の生い立ちを語り合って自己紹介なんてできない。
そんなの「自分大好き人間」みたいで、お互いドン引きだもの。

けど、ドラマの中の、ふとしたエピソードで記憶の蓋が自然に開き、「ドラマではこうだけど自分はこうだった」みたいな会話が僕らの距離を縮めてくれた。

「宙わたる教室」は、正にそれにピッタリなドラマだった。

有名な原作小説があるらしいけれど、僕らは読んでないし、ドラマに満足した場合は、あまり原作にはこだわらない。
唯一、原作をチェックしたのは「ミステリと言う勿れ」のみ。
それは、ドラマが面白いにもかかわらず、どこか不完全燃焼で二人とも違和感が残ったからだ、ということは以前も書いた

原作に忠実かどうかは別にどうでも良くて、ドラマが面白く感じられたら大満足でそこで完了、というのが、僕らのドラマ鑑賞の基本スタイルであり、今回もそんな感じだった。

とにかく、良いドラマだった。
かなりの満足感。

ただ、僕には、ただ一点だけ気になることがあった。

ここから先は、僕個人の感想を書く。

8話目。
JAXAに見学に来た小学生たちが、科学者の相澤努(中村蒼)に質問するシーンがあった。
男の子は皆、科学の質問をするのに、女の子の質問は「結婚してますか?」「好きな色は何ですか」だった…。

これって…違和感。
トナさんは何も感じなかったとのことだけど。

僕は、このシーンが、無意識に作られたのか、意図的に作られたのかが、とても気になった。

「未来の科学者がいるかもしれませんよ」と言われて、質問に答えているシーンなのに。
ここで「男女差」をわざわざ強調する必要がどこにあるというのだろう。

このドラマのテーマは、「科学の前では人はみな平等である」じゃなかったの?

定時制高校の学生が科学コンクールに出たっていいじゃないか、という、差別と偏見に立ち向かうストーリーに、僕は感動していたのに、このシーンには心の底からガッカリした。

もし、「子供らしさ」を表現するために、無意識に演出されたシーンだとしたら、その無意識さが不気味だと思った。

「こっちの差別」には敏感だけど「あっちの差別」には鈍感。

そういうの…なんか…怖い。

シナリオを担当した澤井香織氏の真意が知りたいと思った。
いや、シナリオはあくまで設計図だし、シナリオ通りにドラマが演出されたかどうかはわからないから、シナリオライターのせいだけではないと思うけれど。

以下、少々内容に触れます。

科学者でありながら政治力に長け、効率優先の命令をトップダウンで叩きつける石上教授役は、女性(高島礼子)だった。
まるで「科学界の三原じゅん子」って感じ。

一方、主人公のよき理解者であり恩師の伊之瀬教授は、かなり高齢の男性(長谷川初範)で、最終話では主人公を海外での研究へと導いてくれるステキな存在。

小学生の質問といい、この二人の教授の設定といい、なんか古い、と思った。

いや、新しいとか古いとかの問題じゃなくて、「意識の違い」って感じ?

僕には、この「教授たちの性別設定」と「小学生の質問内容」が、完全に「ペア」な関係に見えた。

ドラマ全体が新鮮でワクワクする出来だった分、ここの部分が気になって仕方なかった。

とっても生意気であつかましくてずうずうしいのは百も承知だけど…。

僕だったら、この二人の教授の性別を逆にする。

日本の学会システムに執着するガラパゴスな価値観の石上教授は、「老害」っぽいおじいさんキャラの方が合う。
ベタ過ぎるけれど、ベタで良いと思う

そもそもが「定時制高校で科学部なんて…」という社会のベタな偏見に立ち向かう話だよ。

それに、「権力を持つ側」が三原じゅん子(違う)だと、「これだから女は…」という別の偏見が生まれてしまうんじゃないだろうか?

男性の多い理系の世界で女性が活躍するには「政治力」も大切だ、という発想にはある程度リアリティを感じるけど、このドラマは、そういうことがメインのドラマじゃないでしょう?

もっと夢のあるドラマだ。

そして、主人公に影響を与えた伊之瀬教授女性に設定し、ドラマ「監察医 朝顔」「茶子先生」みたいな陽気なキャラにした方が良かったと僕は思う。

アメリカの研究所は、性別や肩書に関係なく「自由である」ということを表現するのなら、なおさらだ。
バリバリ研究して海外で評価が高い女性科学者の方が、ガラパゴス日本との対比になるし。

そして、小学生の質問のシーンは、男女ともに「科学の質問をする」のが良いと思う。

大体、あの小学生たちは、なぜJAXAに見学に来たのだろうか?
あの人数の少なさから察すると、強制的に全員参加の課外授業というよりは「希望者を募った」可能性が高い。
だったら、男女ともに科学の質問をする方が自然だよ。

以上。
僕の生意気な意見でした。

自己紹介ページに書いているように、僕は、ドラマ好きが高じてシナリオを書き始めるという、いい歳こいて身の程知らずな趣味を持っている。
まぁ、フレイル防止がメインの目的であって、実際にライターを目指してるわけではないのだけれど…。
でも、「なれたらいいな」ぐらいの図々しい夢は持っている。

なので、自分も作品を書いているのなら、他人の作品を批判ばかりしてないで対案を出すべきと思い、今回は「僕ならこうする」というのを書いてみたのでした。

名付けて「スクリプトドクターごっこ」

「僕ならこうする」は、誰に頼まれなくても今後勝手にシリーズ化して書こうかな。

色んな人の意見を聞いてみたい。

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