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「インフォーマ」と「VIVANT」における「スゴイ!」の温度差
土日は、トナさんと旧作ドラマの配信をイッキ見するのが日課。
海外ドラマは長いので完走するには何週にも何か月にもわたってしまうことが多い。
(現在は「デクスター」にチャレンジ中…)
が、土曜の朝、僕はメシ食った後に、うっかり30分ほど昼寝してしまった。
そういうときトナさんは普段なら僕が見ないアニメとかを鑑賞して待っていてくれるのだが、その日はたまたま見つけたドラマ「インフォーマ」を見たとのこと。
僕が目を覚ますと、トナさんは「一緒にもう一度最初から見るから、是非!」と勧めてきたので、とりあえず1話目を見てみたら面白くてハマってしまった。
というわけで、僕らは犬の散歩以外は土日の予定をすべて大幅に変更し、来週まで取っておくつもりだったお菓子を全部食い尽くしながらドラマ「インフォーマ」のシーズン1(全10話)、シーズン2(全8話)をネトフリでイッキ見したのでした。
シーズン1は、各話が30分以下という短さが良かった。
これから面白くなりそう、というところでブツっと終わるので、ついつい次のエピソードを見てしまう。
(スマホの課金マンガって、こんな感じなのかな、と思った)
とにかく「無駄を一切省いた」感じが良かった。
タイアップの「テーマ曲」や「挿入歌」は一切なし。
20数分過ぎたところでドラマの進行と同時にキャスト・スタッフの名前が画面下に出てきて、ラスト、ドアップで「INFORMA」とタイトルが出て終了、という簡潔なスタイル。
カッコいい。
オチは、正直「むむむ?」て感じだったけど、勢いに押されて面白く感じてしまった。
特に、乱闘シーンの長回し撮影は圧巻だった!
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいな良い意味で無責任なラストシーンも良かったし。
シーズン2は、なんと前半は海外ロケというゴージャスさ。
エピソードによって30分を超える回があったり、エンドクレジットにテーマソングがくっついていたのは少々残念だったけど、内容は文句なしに面白かった!!
テーマ曲はスキップするから無問題!!
カーチェイス、銃撃戦、大乱闘、全てが良かった!!
俳優陣は、全キャラクターが最高だったけど、特に一ノ瀬ワタルが面白過ぎる!!
僕らは加齢で名前が覚えられないので、この人がドラマに出る度に「サンクチュアリの人」と言っている。
「インフォーマ」は、ちょっとやりすぎなぐらい毎回主人公たちを絶体絶命の場面に追い込む。
そして、様々な方法で危機を脱出するのだが、その脱出の仕方は「なるほど、その手があったか」と思ったり、「え? それで解決なの?」と思ったり…。
でも、危機に陥ったときの絶望感の演出がスゴイので、とにかく盛り上がるのだ。
国枝史郎の伝奇小説みたいな感じ、という例えは古すぎて誰にも伝わらないないかもしれないけど。正にそんな快感の連続だった。
海外ロケ、といえば…。
長期海外ロケのあるテレビドラマを見たのは、「VIVANT」以来かもしれない。
僕らは「VIVANT」を最初は楽しく鑑賞していたけれど、週を追うごとにテンション下がりまくりだったのを覚えている。
一応完走はしたけど。
ドラマ本編全体から「スゴイでしょ?」「ね、スゴイでしょ?」という「圧」をかけてくる演出が次第に息苦しくなってきて、最終回では「やっと終わった」とホッとした。
リアルタイムで週イチで見ていたから良かったけれど、イッキ見だったら数話でリタイアしていたと思う。
「スゴイでしょ圧」をかけられると、人は逆に「いや、それほどでもないのでは…?」と冷静になってしまうものではないだろうか?
ていうか、お金をかけて、あのチープな映像はいったい何なのですか?
誰かが製作費の中抜きでもしてるんですか?
としか思えなかった。
その点、「インフォーマ」には、そんな圧を全く感じなかった。
それどころか、「こんなん作っちゃったんで、見てちょ~♪」みたいな軽さがとっても良かった!!!
だけど、見終わった僕らの感想は、文句なしに「スゴイ!」だった。
特にシーズン2はお金をかけた分のゴージャス感が十分画面から伝わって来て凄かった。
中抜き感ゼロ!!
「VIVANT」と「インフォーマ」シーズン2を両方見た人ならわかると思うけど、日本の「あの組織」の描き方が全然違う、ということは、特筆に値すると思う。
「インフォーマ」シーズン2の海外ロケは、バンコク。
劇中でも、バンコク、とハッキリ言っている。
実際のバンコクがあんなところかどうかはさておいて、実在する国と都市を堂々と出してやりたい放題の撮影をしていた。
世界公開の配信ドラマなのに、劇中の描写にタイからクレームがついているという話は特に聞いていない。
大体、日本でロケされた海外(特にアメリカ)の映画やドラマだって、勝手に彼らがイメージする「日本」として描かれているから、日本人が見ると違和感凄くて、逆にそれが自虐ギャグとして面白かったりして、みたいなことだらけだしね。
そして、劇中での「あの組織」は、ハッキリ言って悪役に描かれている。
「VIVANT」のロケ地はモンゴルだったけど、劇中の設定は「架空の国」だ。
ドラマの内容や設定上、実際の国名を出すことは誤解を招くリスクが高いので当然とは思うけれど、日本の「あの組織」をヒーローとして扱うのは良いのね、思った。
つまり、見ようによっては、「あの組織」を美化して「日本スゴイ!」を言うために、わざわざ架空の国を設定して物語を作った、とも解釈できちゃうわけで。
なんか醜悪というか加齢臭がするというか…(個人の感想です)。
全然関係ないけど、モンゴルと言えば。
20数年前、東京のバーで会ったモンゴル出身の人との会話を思い出した。
日本語がペラペラなので言われるまでモンゴルの方だとは気付かなかったのだけど、その方曰く、「勤めている会社の同僚との会話が辛い」とのこと。
ことあるごとに、同僚から「モンゴルにはコピー機あるの?」「カッターの使い方知ってる?」「これはホチキスだよ。見たことある?」と言われるんだって(注:20年以上前の話です)。
当時は、モンゴルといえば草原のゲルで生活する遊牧民というイメージしかなく、モンゴル都市部は日本と全く変わらないぐらい発展しているということを知らない人がまだ多かったのかもだけど、それにしてもちょっと…ねぇ…。何様…?
「輪ゴム、見たことある?」って言われたときには、さすがにキレそうになった、と、笑い話として語ってくれた。
さらに思い出すと…。
確か、バブルの頃。
どっかのファッションブランドの広告で、モンゴルの素朴な子供たちに最新ファッションを着せる、という企画があった記憶がある。
最新ファッションと、「赤ら顔の田舎の子」とのミスマッチを狙った広告だったと思う。
「日本の子供たちは、みんな垢抜けてしまったので、わざわざモンゴルまで行ってスカウトして撮影した」という裏話があったような…。
いや、日本にもあの程度の雰囲気の子供は居るでしょう、と僕は思った。
わざわざ他国に出かけて「田舎」を探す、というのが本当にやりたかったことなんだと僕は感じた。
悪趣味でイヤだったなぁ…。
今思えば、あのころから既に、他国と比べて「日本スゴイ」をやってたんだね。
「VIVANT」は、その頃の感覚をまだ引きずっている広告代理店臭がプンプンしていたと僕は思う。
あ、だから「中抜き」のせいで、結果としてあのチープ感…(以下略)。
年寄りは余計な無駄話が長くなって申し訳ない。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。