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「満月と三日月」散文と詩

「満月と三日月」散文
男「人の事なんてそんなに知らないほうが良いのだよ」
女「あの素敵な満月を見ていたらいっぱいあなたの事を知りたくなったわ」
男「満月の夜が綺麗なのは一瞬ですよ。あの満月さえもすべての半分しか見せてないからね。然もこうして遥か彼方から眺めているから綺麗なのさ」
女「でも、知りたいのよ」
男「思い出してごらん出逢ったあの日の夕方の事を、あの時は夕闇せまる西の空に妖しくひかる三日月があったのをさ。それを見て君は『あの三日月が大好き』って言ったよ」
女「覚えているわ。そうでしたねえ」
男「三日月はね、月の本当にほんの僅かしか見せてないのさそれだから人を惹きつけるのですよ。あの夢二が好きだった宵待草でさへ日が沈んで暗くなってからひっそりと咲くのだから‥しかも、月が見れるかなんて分からないからね。"ほのかな恋"とか"移り気"とかつけられた花言葉があるけどね移り気なのは月の方ですね。月の事は手の届かない遥か遠くで耀いているから素敵なのできっと、側へ行ってすべてを見たら鉱物ばかりでザラザラの岩ばかりできっと、ガッカリすると思うけどね‥‥。」

男「君は少し酔っているのですね」

「満月と三日月」詩

窓越しの月を見ていた

何故か檻の中を出ようとしない
鍵は無く何時でも出られるのに
安全地帯で思考を鎖で繋ぎ合う
檻は外敵から身を守りはしない
迷わされて動けない人を繋ぎ止めてる
誰も居心地の良い鎖を外しはしない
あの日の月が私から鎖を外したのに

檻から見る月はいつも満月です
私は檻の外から月を見ている
私は三日月を見ている

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