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おかえり物欲

1ヶ月半静まり返っていた私の物欲が、帰ってきた。

毎日着たいと思えるワンピースを手に入れてから、私の物欲は驚くほど静かに、ピタっと消えていたのだ。

先日、久々に1人で試着旅に行った。
めちゃくちゃ楽しかった。
そしてまた物欲が復活した。

楽しかった試着旅をさらっと記録しておこうと思う。



銀座の朝の絶望



午前中、銀座に到着。
朝ごはんを食べ忘れてしまったので、猛烈に空腹だった。
よし!ずっと気になっていたトリコロールに行ってみよう✨
トリコロールは、モーニングもやっている銀座の老舗喫茶。
行ったことのない銀座のカフェを、開拓してみたいと思っていたところだった。

並んでるのかな?待つのかな?とワクワク足を運んだ。

あれ…??
なんと、定休日だった。

私は絶望した。
お腹すいた…。

お腹が空いている時、寒い時、疲れている時、重い荷物を持っている時、私は絶望しやすい。今回の絶望は空腹由来のもので間違いなかった。

もうどこでもいい。
何でもいい。
とにかく、何か食べたい。

必死にウロウロして、喫茶店的なところを探すも、朝だったのでまだ開店前のお店が多く、その度にくそぉ!と叫んだ。絶望しながら、うろついた。

すると、良さげなお店を発見した。
ソノコカフェ。

体に良さそうなメニュー、ガラス張りの明るい店内。その子さん…。
ここにしようかな…。
後10分待てば開店するようだった。

でも、、、、
お腹すいた。後10分、待てない。
もうダメ。
私はその近くのノアカフェに入店した。

ノアカフェは、私がこの近くで会社員をしていた頃、何度か行った事があるお店だった。せっかくだから、新規開拓をしたかったけど、空腹で限界だった。

入店するとそこは広い店内。
外国人旅行者のグループが何組か、ワッフルを食べていた。

モーニングメニューもあったが、あまりに空腹だったのと、せっかくだからテンション上がる物を食べたいと思い、通常メニューのブルーベリーワッフルとブレンドコーヒーを注文した。

運ばれてきたワッフルを見て驚いた。

 アイスと生クリーム付き🍨


なんてきれいな色…。
ツヤツヤのブルーベリーソースが、まるで口紅のような色で、うっとりした。
ああ、こういう紫色、好きかもしれない。
神秘的で、でもどこかにぎやかで、奥深い色。
そしてブレンドコーヒーが、期待以上に美味しくて、びっくりした!

しかし、私は食べ終わり、店を出て、再び絶望した。
全然足りない…。
まだお腹すいてる…。

ふと顔を上げると、先ほどのソノコカフェが開店しており、おしゃれなご婦人たちが食事をしていた。
ああ、今からソノコカフェ行けちゃう。
まだ、食べれる。
行こうかな…。
お腹すいた…。
ノアカフェは朝ごはん枠、ソノコカフェは昼ごはん枠として食べたら、問題ないんじゃないか?

いや、待て。
私は今日、新宿紀伊國屋書店に行こうと思っていたのだ。
でも、松屋リタズダイアリーに行きたくなってしまい、予定を変更してここまできたのだ。
今、ソノコカフェに行ったら、、食欲に振り回され過ぎている。
私の「なりたい」は、少なくても、朝ごはんと昼ごはんを連続で食べる人ではない。

理性を取り戻した私は、松屋銀座に向かった。

おかえり物欲


松屋銀座のリタズダイアリーは、訪れるたびに、素敵な知らないブランドに出会える。
去年は、ミュベール、アキラナカ、アカネウツノミヤと出会い、大興奮した。
そして今回は、「mii」というブランドに出会い、ときめいた。
ブランド名は「メイド イン インディア」の頭文字で、インド人とフランス人のカップルによるブランドなのだそう。

この左の紫のセットアップが、可愛かった…。美しい繊細な輝かしい刺繍。
優しい触り心地の生地。まるでさっき食べたワッフルのブルーベリーソースのような色。黒以外の服もチャレンジしたい!と思っていたところだった。
柄物は似合わないからな…と思いながら試着。

電流!とまではいかないんだけど、意外に似合っていて嬉しかった。
なりたい、好き、似合うに分類するなら、迷わず「好き!」に入れる。
可愛くて素朴。
「好きなものは、似合わない」と思っていたけれど、意外とイケるかも…!と思えて嬉しかった。
またこのブランドを、次回もチェックしよう!と心に決めた。

その後は、普段使いの黒いワンピースを探した。
今、毎日着ている黒いシャツワンピがあるのだが、やはり、一枚では洗濯が厳しい。お気に入りは2枚あると、もっと過ごしやすいな、と思ったのだ。

ワイズやヨウジヤマモトを試着。
松屋のワイズとヨウジヤマモトは、明るくて広くて、店員さんも優しくて、とても良かった…!

どれもため息が出るほど素敵だった。

でも、明らかに、私の普段使いの服ではなかった。
パーティに行く人とか、セレブ学園のお授業参観の人とか、夏木マリさんとか、只者じゃない雰囲気だった。素敵すぎる。私にはドレッシーになりすぎてしまう。

私の、スーパーに行ったり、公園に行ったり、駅のホームでパンを食べたり、たまにお出かけしたりする、という日常とは、かけ離れている。
着ていたら近所の人に「どこかお出かけですか?」と聞かれてしまいそうだった。
これらの服を着て、駅のホームでパンを食べていたら、ギョッとされてしまうだろう。

カジュアルなカットソーワンピースも試着したが、首の空き具合が、私には気になってしまい、しっくりこなかった。
私は、首周りには襟かボタンなどの飾りがないと、くたびれた人に見えてしまう。しかし、襟付きのワンピースでは、かしこまり過ぎて、お出かけムードが漂ってしまう。
冬ならハイネックを着れば解決だが、夏は難しい!難しい問題だ!

そもそも、黒の無地のシャツワンピースというもの自体が、すでにキレイめなアイテムなんだなぁとぼんやり思った。
すると、今私のお気に入りのyee黒シャツワンピは、黒のシャツワンピースなのに、リラックスな雰囲気があり、駅のホームでパンを食べていても微笑ましい、おしゃれしたい日にも着れる、奇跡のワンピースなのだなと、しみじみ実感した。

yee奇跡のシャツワンピース。(画像はfashion snapよりお借りしました)


松屋の後は、三越に移動して、恒例のナゴンスタンス試着をした。
私は、ナゴンスタンスの雰囲気が大好きで、隙あれば試着をすることにしている。でも毎回似合わないのだ。
今回も、似合わなくて絶望した。
めげずに、似合うものに出会えるまで、チャレンジしようと思う。

🌱🌱

ホクホクした気持ちで帰路についた。
素敵なお洋服にたくさん出会えた。
適度に絶望しながらも、良い1日だった。

気づくと、あれも欲しいな、これも欲しいな、と妄想している自分がいた。
思い返せば、物欲が消えている間、満たされているんだけど、何かつまらないな、退屈だなと感じていた。
久々に、物欲の高揚感や、刺激が楽しくて嬉しくてワクワクした。

「欲しいけど、買えない!」とか、「買う?!買わない?!どっち?!」と悶絶する苦しい物欲ではない。
ふわふわ〜と、あれ素敵だったな。これも良かったな。というような楽しい物欲。
「今、必要なものは揃っているから、焦って買わなくても良い」という、安心感の上にある物欲。焦燥感のない物欲。

午前中の私のような、お腹がぺこぺこで、何でも良いから食べたい!と焦って必死にお店を探すのとは違う。
今度、何食べようかな、新しいお店開拓したいな♪と、お腹が空いていない時にワクワクする気持ちと似ている。旅行のガイドブックを見ながら食べたい物を探す時のような…。

欲望って、苦しかったり切羽詰まったものだと思っていたけど、穏やかな欲望もあるんだなと思った。
物欲は、全くないより、適度にあった方が楽しいんだな。
それは、食欲と同じだ。
食欲がないのは、命の危機だ。
物欲がないのは、心の危機なのかもしれない。

適度な食欲や適度な物欲は、ワクワクした気持ちにさせてくれる。
満ちている時も、欲望を持っていいんだ。
欲望があったほうが、楽しいと気づいた。

これからも、知らないカフェを訪れるような気持ちで、ファッションを楽しんで行きたいと思う。

おわりです。

なかまちん





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