ホラゲ「赤マント」のストーリー解説と考察
都市伝説としての赤マント
赤マントという怪物はこのゲームが発祥ではなく、日本の都市伝説または学校の怪談として古くから存在しています。
今回は舞台が学校なので学校の怪談の赤マントが話の下敷きとなっています
「トイレで紙が切れて困っていると誰かに『赤い紙と青い紙どっちが欲しい?』と尋ねられ、赤い紙と答えると血まみれにされて惨殺される。青い紙と答えると皮膚が真っ青になるまで血を抜かれて殺される」
これが学校の怪談の赤マントです。
本作では赤マント誕生の謎がテープレコーダーによって明らかにされていきます。
赤マントのストーリー
始まり
本作で操作する主人公は学校の人気者の男子と仲がいいことで、それを妬んだ女子からいじめられています。
変な怪物が出るらしいと噂されている廃校を無理やり探索させられているのです。
学校に入ったあと主人公はトイレに入ってドアに付いている赤い紙を取ります。
赤い紙を取ったので主人公は赤マントに血まみれにされて惨殺されることになってしまいました。これが原因で赤マントに追いかけ回されます。
テープレコーダー
校舎に10個のテープレコーダーがあります。それをまとめると赤マント誕生の背景が浮かび上がってきます。
この学校に転校してきたアツシは顔が良く無口だったので早速校長の息子の小林たちにいじめられます。それに気づいた担任の中島はテープレコーダーを渡して証拠を録音するよう言います。
しかし彼は録音しようとはしません。彼にとって小林のいじめなど大したことではなく、政治家である父親からの虐待のほうが深刻でした。
アツシの父親は妻に捨てられてしまったことで憎しみが生まれ、妻に似ているアツシに対して暴力を振るうようになってしまいます。
「美しさは内側にある」
アツシの父親はそう言いながら息子を虐待します。
しかしアツシの父親は表向きは立派な政治家なので誰もアツシの言うことを信用してくれません。頼れる人がいない彼は自信を失ってしまい無口になってしまいます。
アツシはいじめ問題を解決しようとしてくれた中島なら信じてくれると期待しますが中島も信じてくれずついに最後の頼りの糸が切れてしまいます。
その後酔った父親に初めて顔を殴られてしまうのですが追い詰められたアツシは血を流すことに快感を覚えてしまいます。
中島と同僚の田中はアツシが手首を切り刻んで自殺したことについて話し合います。どうやら父親も手首を切り刻んだ状態で死体として発見されたらしく、自殺かどうか断定されていないようです。ですが恐らく追い詰められたアツシによって殺されたのでしょう。
中島が学校のトイレで用を足していると赤い紙か青い紙かどちらか選べという声が聞こえてきます。最初は抵抗しますが青い紙を選んだ中島。すると死んだはずのアツシが現れ、
「美しさとは内側にあるものだ」
というセリフとともに中島は殺されてしまいます。
赤マント=アツシだったのです。
「美しさとは内側にあるものだ」についての考察
このセリフはもともとアツシの父親が息子を虐待する際に使われていました。
父親はアツシに向かって「お前はあのクソ女に似ている」と言っているので母親もアツシのように端正な顔立ちをしていたのでしょう。
そして父親は自分を捨てた妻のような
外見だけ良くて中身が無い人間 が嫌いだったのでしょう。
なので外見が良い息子に虐待をし続けたのだと思われます。
一方アツシは父親に虐待されてるにも関わらず誰にも信用されませんでした。彼の中身を理解してくれる人間は一人もいなかったのです。
「美しさとは内側にあるものだ」
父親に虐待されながら言われた言葉ですが自分の内側を誰にも理解されないアツシにとってこの言葉は非常に意味を持った言葉になっていきます。
父親の政治家という外面のステータスだけを見て実情を見ようとしない人々に対して父親が自分を憎むように、アツシも憤りを感じていたのでは無いでしょうか。
そして父親に顔を殴られ出血したのをきっかけに自身の内側から出てきた血液に美を見出し、父親も血だらけにして惨殺、自身も自殺という行動を取ったのです。
人間の本質である内側を見たい
その欲望によりアツシは赤マントとして殺人を繰り返しているのではないかと考察してみました。