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私道(しどう)ってどうなの?投資物件にありがちな接道が私道の場合の注意点について解説します。

ひろべえです。

今回は「物件の接道が私道」だった場合についてお話ししようと思います。

なぜこのテーマにしようかと思ったかというと、コンサルや相談で「私道ってどうなんですか?」と聞かれることがあったからです。

投資物件ではこのパターンって結構ありがちな気がします。

初めて物件を買うときに、こういうよくわからない状態の物件だと、価格が安くても不安になってきますよね。

私道なんて、多分普通に生活していると、多くの人が全く意識しないと思います。

人はよく知らないもの=恐怖と感じます。


かくいう私も、私道に初めて関わったのは自分の自宅を買ったときでした。

そして、その後購入した投資物件も接道が私道。

ちょっとややこしくはありましたが、どういうことに気をつければいいか理解できれば大したことはありません(私道の所有者に変人がいなければ大丈夫です(笑))

なので、私道の気をつけねばならないこと、逆に気にしなくてもいいことを正しく知って不動産投資に励んでいいただければと思います。

私道とは何か。通行等との関係とは?

私道とは読んで字のごとく、個人が所有している道路のことです。

気にしていないとわからないですし、表面上では見えないものですが、実は結構存在しています。

私道は、多くが自治体など公に道路として指定されているわけではないので、維持管理は所有者が行います。

私有地ですので、他者の通行を認めないこともあり得ます。また通行料を徴収することもできます。

よくトラブルになるのが、私道所有者と、私道を通らないと自分の敷地に入れない土地を所有している人との通行や工事の問題です。

長年にわたって使用してきた私道が所有者の代変わりなどで、急に通行できなくなることもあります。テレビなんかでもたまに取り上げられていますよね。

こういうトラブルがあるので、私道のみが接している投資物件はリスクがあるんですよね。

私道自体も、多く持ち主に細分化されていることもあり、こうなると事態はさらにややこしくなります。全ての持分の場所を通行するなら、全員から通行の許可を取らねばなりません。

持ち主が近所に住んでなかったり、もはやわからなくなってしまっていると最悪です…

私の投資物件では、接道が私道で複数の所有者がいました。しかし、公道〜投資物件までの経路が1人分の土地だったのでめんどくさくならずに済みそうでした。

が、これがまたおかしな状態になっており、持ち主は法人(どうやらその住宅地を開発した組合)で仲介業者が追跡してもすでに解散しており、権利を継承している人が不明というよくわからない状態でした。

「そんなことある?」という感じですが、昔のことなのであったようです。適当だったんでしょうね…

通行の許可を取ろうにも取るべき相手がいないのでそのまま放置しました(笑)

また、放置したのにはもう1つ理由があり、実は自治体の指定する「位置指定道路」というものになっていたので、気にしなかったというのもあります。

これは、基本的に道路として自治体が指定しているので、持ち主以外の人も道路として通行する利益を享受することができるものです(あくまで利益であって「権利」ではないことに留意)。指定されると、持ち主は勝手に開発したりはできなくなりますが、条件によって固定資産税が減額または免除されます。

私が購入した自宅の中古物件も同様の状態でした。接道が複数の所有者がいる位置指定道路だったので、通行については特に問題がなかったです。

ただし、そうは言ってもやはり本来的には所有者に通行の許可を取る方が当然良いです。また、通行以外に下水や水道・都市ガスへの接続など、道路を掘削する必要がある場合に備え、承諾書を取っておくのが基本です。

では、どうすればいいのか具体的に解説します。

「通行掘削等承諾書」を取得せよ!

こういう場合には「通行掘削等承諾書」を私道所有者全員から取得します。

「通行掘削等承諾書」ってなんですか…ということなんですが、平たく言うと通行と道路を掘削して行う必要がある工事について承諾をあらかじめ取っておくものです。

実需だと基本的に売主が仲介業者を通じて私道の持ち主から取得してくれます。私が自宅を購入した時がそうでした。

ちなみに、内容はこんな感じです。

ただし、投資物件だとそうはいかないことが多いです。売主側から買主が自分で取得してくれと言われてしまうこともあります(そんなんで売れるのか?という気がしますが…)

また、この承諾書を売主から取得してもらうのもポイントがあります。

「土地が第3者に譲渡されても承諾は承継される」、また「位置指定道路が第3者に譲渡されても承諾が承継される」という文言を入れてもらうことです。

この文言により、売主から買主に不動産が売買された後、もしくは位置指定道路の持分が現在の持ち主から第三者に譲渡されても通行掘削の権利が保障されます。

これは、自分で承諾書を取得する場合も使えますよね。物件を売るときに買主側に「承諾書がすでにあります」と胸を張って言うことができます。

…ただし、これにも実は問題があります。

この内容の承諾書は、実は売主と私道持分所有者の間でしか交わされたものではないため「買主との約束はない」と言われてしまうとそれまでだからです。

だから、本来的には買った後に改めて承諾書を取得する必要があります。私道の持ち主が代替わりしても同じです。

こう言った問題を避けるために、売主に「買主の名前で」承諾書を取ってもらうことも考えられます。しかし、例えばローンが通らなくて売買自体がおじゃんになったりする可能性を考えると、売主にそこまでさせるのは難しいと言えます。

私道の持分が細分化されていたら、承諾書をとるだけで相当労力かかりますからね…。

なので、売主が取得する承諾書はあくまでも「お守り」ということになります。

「ひえ〜じゃあ私道にしか接していない物件は買わないほうがいいんですか?」

と思ったかもしれません。

しかし、私が買った私道に接している投資用の物件は、権利の持ち主がもはや追跡できず、周辺の住民もそんなこと気にしたこともなく、位置指定道路になっていたので気にせず買いました(これが位置指定道路でなければやめたかもしれません…)。

物件価格も十分に安かったので、必ず利益が出ることが見込めたのも理由の1つです。

物件が浄化槽でプロパンだったので、将来的に下水や都市ガスに接続するときに少々困るかもしれませんが、そのまま売ってしまえば特に問題はありません。

実際、この物件はオーナーチェンジで購入価格の倍以上の価格で売ることができました。

また、最近では下水やガスなどのインフラの場合は、通行掘削承諾がなくても掘削することが可とされるようになってきているようです(2021年4月の民法一部改正で他人の土地でも必要な範囲で設置や使用できる電気・ガス・水道などのライフライン条項が公布(施行は公布後2年以内))。

まあ、都市ガスなどの場合、ガス会社側が提案してきた工事であれば工事に関する通行掘削等承諾書を工事事業者側で取得してくれる場合もあります(私の自宅がそうでした)。

結論としては、その私道のリスクを自分で負えるかどうか…ということになります。

しかし、しかるべき承諾が取得できる状況で、いつまで物件を所有するか、どれくらい利益が出せるかを勘案して十分出口が見えるのであれば私としてはアリだと考えています。接道が私道ということで物件が安いことも多いですからね。

まとめ

接道が私道でも、しっかり状況がわかっていれば怖いことはありません。

キチンと対応していれば問題は起こらないと思います。

従って、買う前に

・私道の持分を持っている人に連絡が取れるのか
・承諾書を取ることが可能か
・位置指定道路になっているのか
・近隣住民の私道利用状況はどうか

をしっかり押さえて判断すれば問題はないです。現に私の自宅や投資物件では問題は起きていません。

ただし、ややこしい私道所有者がいる場合はやめた方がいいと思います。トラブルが起きると入居者がかわいそうですからね。

私道を正しく認識して、変に恐れることなく物件選定をしていきましょう!

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