【たまには鉄分】大糸線にまつわる話
鉄道のない八丈島に移って来て、もうすぐまる8ヶ月。
たまには鉄分の補給を。
カバー写真は22年6月に行った大糸線 南小谷(みなみおたり)駅。
ヒエラルキーの塊で左から、発車を待つ新宿行き電車特急E353あずさ(JR東)、中:これもJR東、ハイブリッド臨時快速リゾートビューふるさと、右:北の地、糸魚川からとことこやって来たJR西キハ120。ここから北側のJR西日本区間は非電化。
さながら真ん中の電柱がかの半島の38度線のようだ
特急あずさは現在、大糸線の南小谷駅に毎日1往復乗り入れているが、来年3月15日のダイヤ改正で白馬駅までの短縮が発表された。
大糸線は実に味のある路線で、フォッサマグナの西端と言う危なっかしい場所をとことこ走るロケの妙味もさることながら、
米坂線と並んで極めて珍しい「訓読み」路線
例えば東京と千葉を結んで京葉線。訓読みなら「きょうば線」
北海道の最果て、釧路と網走を結ぶ「釧網本線」、これは難しい、せんもう本線。釧路の釧を「せん」と読めるのは根釧台地(根室~釧路間の台地、こんせん台地)を先に読めないとまず無理
塩の道。上杉謙信が武田信玄に塩を送った塩の道。大糸線沿線に塩の道跡が遺されていて、小谷村では今でも毎年、塩の道祭りが行われている
カバー写真の通り大糸線途中の南小谷駅は、
北側はJR西日本が、南側はJR東日本が統治する分断路線の中間駅で管轄はJR東日本
北側の起点「糸魚川駅」は3セクえちごトキめき鉄道の管轄で、JR西日本の在来線とつながらないと言う「飛び地駅」
そして今回、唐突に発表された「あずさの白馬短縮」。
JR東日本においても白馬駅~南小谷駅間の赤字額は大きい。よってこの決定は近く大糸線の終点が白馬になるんだろうことを示すが、果たしてその間の大糸線をなくして良いものなのか。
私の結論は、「無くて良い」。
これは白馬~糸魚川間をクルマと実際の乗車で実際に体感した結論である。
端的に言うと、南小谷(長野県)と糸魚川(新潟県)ではそれぞれに生活圏が大きく異なる。
この区間を乗り通す必要がある住民は居ない。
従って鉄道廃止によく行われるバス代替の必要もない。
クルマで走ってみればよく分かる。道路(国道148号線)と大糸線と姫川(一級河川)はずっと並行して走る。線路と道路の間にたいてい姫川が有る。ついでに言うと、フォッサマグナも漏れなく並行して走る。
大糸線の駅は秘境駅に近い、へんぴな駅ばかりである。
対して道路側は、スノーシェードと言うかほぼトンネルに覆われた区間が長く続く。道路と駅の接点はほんの一部を除いて無い。鉄道は日に何本もない各停、道路はバイパスで特急(大型トラックは怖いくらいにぶっ飛ばす)だから、長野県と新潟県を行き来するにはみな車を使う。自明の理である。
ちなみに国道148号線の長野県最北端のコンビニ(ローソン小谷店)と新潟県最南端のコンビニ(セブン糸魚川大野店)の間は30㎞以上もある。
すなわち、この間には「何にも無い」のである。
この30㎞の間に大糸線の駅は6個。降りる人乗る人を見つける方が難しい。
鉄道を無くすなと地元民は言う。普段乗らないのに、確かに鉄道に頼る学生やお年寄りは少数いるだろうけど、残したいならほかの人だって沢山乗らなければならない。ノスタルジーだけでは残せない。大糸線の維持だって、JRは出来ることはすべてやっている。
鉄道を無くす、その代わりにバスを走らせる。バスになったお陰で、駅から離れていた病院や役場の目の前で乗り降り出来るようになってありがたい。そう言う場所はバス転換したらよい。
でもここ、大糸線は違う。
試しに1日止めてみたらいい。鉄オタ以外誰も文句を言わなかったらそのまま廃線だ。
なんてね。
大糸線(JR西区間)は乗ると凄いんです。姫川の激流を、トンネルと鉄橋を駆使して走り切る。まるで秘境区間のミニ飯田線ですが、電車の飯田線に比べてディーゼル1両の大糸線キハ120の愛おしさ。
地元の足の鉄道としてでなく、アトラクションとして残してくれないかな。
もっともこの区間、雪や豪雨でしょっちゅう止まるから保線が大変ですけどね。
も少し詳しい旅のルポはこちら
♪冬が来る前に/塩の道と大糸線(西) https://unyoubu.blogspot.com/2022/11/blog-post.html?spref=tw
糸魚川~静岡構造線上でわしも考えた(大糸線JR西日本区間南下大作戦) https://unyoubu.blogspot.com/2022/05/jr.html?spref=tw
<おまけ>
GoTo秘境駅
♪冬が来る前に-2/飯田線秘境駅探訪Again
(了)