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これから精神病棟へ入院する人へ、僕の体験を語ります。
僕は、今年の五月の終わりから、八月の手前まで、精神病院の急性期病棟というところで、入院していました。
入院に至った大きな要因は、重度のドライブ依存、破壊衝動、眠るのも憚られる悪夢でした。
ある日の診察時、僕は、ふんわりとした意思の上で、病院から2、3週間後に、入院になるだろうと伝えられました。
しかし急遽、部屋が空いたため3日後に入院ということになりました。(僕は個室を希望していて、その部屋が空いたのです。)
そして、心の準備ができないまま、入院生活が始まりました。
入院初日のことをよく覚えています。不安ゆえ病院食が受け付けず、くそほど不味く感じました。
そして、すぐそばにまだ母がいる安心感と、何とか上手く伝えたら、帰れるんじゃないか、という気持ちで、発する一言一言に、緊迫感を含ませて、何とか情に訴えかけるように、入院したくないのだと言いました。
しかし、母の意思は固く、僕は帰れませんでした。最初の2日間は、ホームシックが激しく、辛かったです。公衆電話で、帰りたい、と破裂しそうな思いで、叔母に何度か伝えました。慣れない環境と、赤の他人の出す雑音、どれも苦痛でした。
結論的に言うと、本当に辛かったのは最初の2日間だけで、残りの2ヶ月近くの期間は惰性でなんとか、過ごせました。しかし、今思うと、入院生活に後悔が一つあります。それは、部屋を変えられたのに、変えなかったことです。僕の部屋のお隣さんは、かなり、重症な方で、時折、部屋にあるものを激しく叩きつけたりして、その音がまぁ、凄まじいこと。
僕はその轟音が、聞こえるたび、ナースステーションに行き、頓服をもらっていたのです。
その後、看護師さん達から、まだ個室が空いているから、その部屋に移ってはどうかと、勧められたのですが、僕は面倒くさがって、断りました。退院後、大きな物音にさらに敏感になってしまったので、このことは、かなり後悔しています。
ですが、僕の強烈な葛藤は初めの2日間にありました。(多くの人が、初めだけが辛いとは言えません)
では、退院した後、現在のことを語ります。まず、家がずっと恋しかったので、家族に接する態度も変わり、家族とは、以前よりも、喋りやすくなりました。(入院前はピリピリしていました。)そして、家族も、自分に対する態度が変わりました。
しかし、家族に対し、時折苛立つことなどはあります。それはもう、症状云々の話ではなく、人間関係なので、仕方がありません。
退院して、少し経ち、僕は入院して良かったと思います。何より、心に余裕ができたことが大きいです。それに、人に対し、慈愛のような気持ちを持ち、それを持続させることもできるようになりました。
これは、入院前には、決して持ち合わせなかった気持ちです。
以上、僕の精神病棟の入院を通しての体験でした。
ご覧いただきありがとうございました。