空間には役割がある
最近、引っ越ししたくてたまらない。
一人暮らしを始めて、もうすぐ10年近くになります。同棲やルームシェアなど、人と生活する機会に恵まれなかったせいか、実家を飛び出して初めて借りたアパートからいまのマンションまで、ずっと1Kで過ごしてきました。1Kって家賃がお手頃なんですよね、それに本当に一人で過ごすだけなら機能的には十分なんです。
1Kは1ルーム+キッチンの構成なのですが、キッチンが実質玄関と1ルームの間の廊下に配置されているので、正味の生活空間としては1ルームがメインとなります。この1部屋の中に、食事スペース、睡眠スペース、団欒スペース、そしてテレワークなので仕事スペースが詰め込まれているのです。なので、部屋の家具の配置を考えないと、とにかくゴチャつく。あらゆるところで、専用のはずのスペースの役割が混ざったり、共有になったりするのです。
例えば。
食事スペースと団欒スペースは簡単に混ざります。いまの配置的に、低めのテレビ台に載ったテレビを壁際に置いて、その前にちゃぶ台のような低い洋テーブルを置いて、そこに座布団を敷いてます。ソファとかも置くスペースがなく、必然的に食事もテレビを見る憩いの時間も、ちょっとした時間を過ごすのも、この座布団とテーブルになるのです。座布団なので長時間座りづらいですし、背もたれもないのでゆったりできません。
また、睡眠スペースと団欒スペースも混ざります。部屋の窓際にベッドを置いているのですが、ベッドからテレビが見えるようになっています。そのため、寝るためのベッドの上で寝転がってテレビみたりできるので、必然的に他の憩いの時間もベッドで過ごすことになります。
さらに、仕事スペースと団欒スペースも混ざります。先ほどの洋テーブルと座布団の後ろには仕事用のデスクとワークチェアを置いているのですが、そのワークチェアが座りやすいのでそこに座ってテレビを見てしまうのです。なので、その椅子に座っても仕事モードに切り替えが必要で、なんか居心地悪いなぁと感じています。
一人暮らしを始めた頃は、とにかく一人の空間があることだけで嬉しくて、生活空間の細かいことなんて気にしていませんでした。特にコロナ禍前は、家で仕事をするなんてなかったですし、ベッドで1日中ゴロゴロするのも楽しかったですし、人を家に呼ぶこともなかったので、部屋の中が公私混同してても問題なかったのです。
ところが、自宅で仕事をするようになったり、彼女を家に呼ぶ(結果的に来たことありませんでしたが笑)ことになったとき、人に見せられる空間と見せられない空間が混ざりすぎていて、リモート会議で部屋の中を映せる場所がなさすぎたり、人を呼んだときにあまりにもプライベート空間を隠したりすることができないと気づきました。
部屋の中に複数ある役割が違うスペースがすぐに混ざり合い、プライベートとパブリックな空間を区切ることもできないこの1Kという間取りが、果たしていまの自分のライフステージに合っているのか、という疑問が噴出しました。
部屋の中の空間の役割、という考え方は、実はちょっと前に興味があって調べていた伝統的な日本家屋の考え方が素敵だなと思って、ずっと頭の中にあったものでした。僕は畳のある和建築が好きで、観光地の旧跡の屋敷やお寺など行く機会があると、その伝統的な日本家屋の雰囲気を堪能します。(ちなみに、ご紹介できる和建築はあまりないのですが、函館五稜郭の函館奉行所は再建されたばかりで素敵なお屋敷でした)
建築的な細かい専門的な話はあまり覚えてないですが、伝統的な日本家屋は空間の役割を大事にしていて、一つの家屋、屋敷のなかでもふすまで空間を区切って、世俗な空間から神聖な空間としても役割を与えることができる、みたいな話を知って、そういえば一つの部屋でも空間としての役割を考えたことなかったなと気づいたのです。
半年ほど前、こういった気づきから、部屋の模様替えをしてみました。上で紹介した家具の配置は模様替え後の位置で、模様替え直後は我ながらうまく配置したなとも思いましたが、結局書いた通り空間が混ざってしまいました笑。
模様替えで意識したことは、
ベッドを窓際に置き、ベッドと他の空間を区切るように腰の高さの本棚を配置、ベッドは窓と本棚に挟まれるように配置することになり、睡眠時は壁に囲まれた印象になります
洋服タンスもベッドの足元の位置に配置し、本棚の区切りのプライベートスペース側に位置するように配置
テレビ、洋テーブル、仕事デスクを、もう一方のスペースに配置、こちらをパブリックスペースとした
で、結果的に狙った効果は出せました。ベッドがちゃんと区切られたスペースの中に収まったので、プライベートスペース感も感じますし、カーテンを開けて寝ることで朝の目覚めも快適になりました。
(日差しを浴びて寝ることが増えたせいか海にでも言った?と言われる機会が謎に増えました)
ただ、テレビスペースと仕事スペースが共存していてワークチェアからテレビ見たり、団欒スペースの居心地が悪すぎてベッドから無理やりテレビ見てるようなルール違反を起こして、結局役割が曖昧になってしまったのが敗因でした。何でもそうですが、役割とか作戦を混ぜるとよくないですね。
ということで、せめて1LDKにして、1ルームは寝室にしてプライベートスペースに、LDKをテレビとソファやダイニングテーブルなどを置いて居心地よくして、パブリックスペースで完結するようにしたい、役割を明確にするために必要な家具を置けるスペースが欲しい、というのが願いです。
マジでいまの1Kだとソファもテーブルも置けないくらい限界ギリギリなので。
そんなことを考えている、直近の引っ越し願望でした。よく10年近くも部屋のアップデートをしてこなかったなと、我ながら驚きと反省なのですが、なんとなく過ごしてしまいました。
仕事スペース、LDKと1ルーム、どちらに置こうかな。
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