北海道、十勝のパン屋で働いてみた🍞
4回目のおてつたび。
今回はパン屋で1ヶ月働いてみた。
十勝に着くまでの話は、この記事のメインじゃないので
本編からどうぞ。
前々日譚
今日は9月1日、早朝。
集合は9月3日18時、帯広空港。
青春18きっぷが余っていたので、東京から十勝まで普通列車で行ってみることにした。
今日はここまで。公園に移動。
前日譚
夜中、本八戸駅前の公園のベンチで寝て、雨が降ってきたら駅の直角のイスで寝て
フェリーターミナルが開く時間になったので移動。
屋根があるの幸せ。
横になって寝れるの幸せ。
今日は24km先の空港にのんびり向かうだけ。
十勝ヌップクガーデンで観光。
再開。
15時半、集合場所の帯広空港に到着。家を出発してから47時間。羽田→帯広空港の20倍以上。文明の発展振りと、日本の広さと狭さを同時に感じる。
結果、東京から北海道は飛行機で来た方が良い。
女性の先輩が迎えに来てくれる。旦那さんが飛行機で来るというので、3人でお店の方へ。普通列車と徒歩で来たと言うと驚かれる。
今日は宿に案内してもらい、終了。
本編
9月4日
お仕事初日。
9時、出勤。
「おはようございます!今日からよろしくお願いします」と緊張しながら入店。
スタッフは4人いた。高校生からおばさままで。みんな明るく迎えてくれる。「帯広駅から徒歩で来た人だ」と話題にされてる。
今回のおてつたび内容は、パンの焼成ではなく、車での訪問販売。
今日は自分は運転だけで、隣で先輩の営業を見る日。
「元タクシードライバーなので、運転は任せて下さい!」と揚々と言い、車を走らせる。
いきなりプチトラブル。高速道路の無料区間の最後で降りると言われていたが、助手席の先輩に降りる前に確認すると、「まだ降りないよー」と言われる。再確認した上で有料区間に突入。料金所に進入し、スピードを落としていく。しかし、どれだけ落としてもバーが開かない。え??
慌ててブレーキを踏むも、「ゴンッ!」バーに接触。係員が全力疾走で走って来る。先輩もびっくり。まさかの非ETC搭載車だった。そりゃ開かんわ。結局先輩の勘違いだったっぽい。
気を取り直して営業スタート。
色んな事業所に訪れる。
建設会社
運送会社
郵便局
銀行
交番
商工会
役場
消防署
病院、薬局
介護施設
ガソリンスタンド
小学校、中学校、高校
などなど。
ほとんどは過去に訪問してるので、慣れた感じで通される。学校の職員室とか何年振りだろ。
隣に立って先輩の営業を見る。パンの種類と値段、そしてパンに関する説明(産地や食べ方、中身など)の覚えることの多さに閉口する。
1日が終了。色んな事業所に入るのに気疲れした。
今日一日を通して気付いたことは、これ、めっちゃタクシーの仕事に似てる。
・1日の走行距離が大体200〜300km
・営業回数は25件前後
・コンビニで座席倒して休憩
・何時にいくらの売上かの日報を書く
・「この時間に来て」と迎車時間に追われる
初めての仕事とは思えないほど似てて、なんだか変な感じ。お客さんの質は天と地だけどね。
9月5日
研修2日目。
今日は運転に、会計が加わる。値段覚えてないから、スマホ使いたてのお爺ちゃんのように必死に操作。でもスクエアレジですぐ覚えられた。
老人ホームで印象に残った、おばあちゃんの言葉。
「ここのパン以外食べないのよ。」
早くも営業のやり甲斐を感じる。
最後の営業、先輩に「1人で行ってみる?」と言われ、勇気を出して消防署に営業。
重いケースを持っている自分を見て、消防士がドアを開けてスリッパも置いてくれる。パンの質問されてちゃんと答えられるかな?と不安になりつつも、先輩の接客を思い出して何とか答える。会計の際に、男気じゃんけんやるか、と言っていた。消防士ってノリ男子校なんだな。あと筋肉がすげえ。
9月6日
研修最終日。
今日は先輩は助手席で道案内だけで、後は全部1人で営業。
不思議とほぼ緊張しない。この2日間でお客さんの優しさに気づいたからかも。
JA、カルビー工場、幼稚園など色んな場所に行く。パン持ってるだけでどこでも入れるのすごい。もはや公権力。
9月7日
今日から1人デビュー。
1人で運転すると、タクシー時代を思い出す。舌打ちされないし、椅子蹴られないの幸せ。
土曜日の今日はディーラー巡り。日産、トヨタ、フォルクスワーゲンなど。
1件目。おじさんに「いつもの人じゃないね」と言われ、おてつたびの説明をする。「良いじゃん、40歳くらいまで好きなことしたらいいよ」と肯定してくれた。さすがに40は遅いけど、好きなことして歳を重ねられたら幸せだよな。
仕事が終了したので、先輩に報告すると「明日休みだし、夕飯行かない?」とお誘い。1人デビューでめっちゃ疲れてるけど、この街にいるのも短いし、行ってみよう。
「蝦夷マルシェ」という飲み屋に到着。
店長夫婦と、その友達家族(酪農家)と、店員さん(こたろう君とあいねさん)2人の計10人くらいで飲む。
再び、帯広駅から帯広空港まで歩いた話で紹介され驚かれる。いや、ちゃんと紹介してくれ。
日本一周したとか、タクシーやってたって言ってさらに驚かれる。
地方創生や飲食店事情などを店長さんに聞きながら、ハイボール、焼酎、日本酒を飲み、少し酔う。自分はもてなされる側だからか、周りがワイワイしてても自分が発言するとみんなニコニコしてこっちを向いてくれる。
9月8日
休み。温泉に行こう。
パン屋貸し出しのママチャリで24km先の温泉まで。
ラード成分が濃い珍しい温泉。風呂上がりの海風が頗る気持ちいい。
暗くなる前に帰らないと、と思いつつ夕焼けがあまりに綺麗で長居。
長居しすぎた。焦って自転車を漕ぎ始める。
無事、真っっっっ暗に。街灯無いし。
視界は自転車のライトのみ。森からはガサガサ音が聞こえる。クマかな?
人生でTOP3に入るくらい怖い経験になった。大真面目にスマホに遺言を残すべきか迷いながら漕いだ。
真のnoterだったらどれだけ暗いか写真撮るべきだったけど、余裕が無かった。遺憾。
9月9日
デビュー2日目。
えりも、という海沿いの街が今日の拠点。美しい海岸線を走りながら営業。
仕事が終わり、先輩に「襟裳岬寄っても良いですか?」と聞くといいよ!と言ってくれたので、寄り道。
仕事の疲れが、毎日絶景によって吹き飛ばされる。将来北海道に移住したい想いがますます強まる。
9月10日
休み。近場のカフェで過ごそ。自転車は懲り懲り。
店に入ると、店員さんはなんと、あいねさん。「ジュンさん、この前はベロベロでしたね笑」と余計なことを言われる。
本読んだり、note書いたり。
また来ますと言って、店を出る。店員さんに覚えてもらえるの嬉しい。
道の駅で野菜を買って帰る。
9月11日
今日も今日とて工場や老人ホーム、建設会社などなど回る。
ある介護施設で、「お兄さんと喋ってると買いそうになるから危ないわ」と言ってくれたおばあちゃんがいた。営業できるようになってきたのかな。嬉しい。
あと、トヨタで初めてチップをもらった。10円だけど。
9月12日
今日は農家多め。今農家は繁忙期だから働き手が多く、それに伴いパンの売り上げも上がる。
介護施設での営業後、ダスキンの営業で来てるおばさま1人とすれ違う。どうやら店の入口の足元に敷くマットの営業らしい。重そうにしていたので、手伝おうとしたらもう運び終えたと言われる。すると、「手伝おうとしてくれたから!」と言ってパンを買ってくれた。運送系の力仕事同士、交流ができた。
9月13日
ある建設会社の営業が終わって、車に戻りパンの補充をしていると、さっき買ってくれたおばさまが建物から出てきて話しかけてきた。
「言葉に癖がないですけど、どちらからいらしたんですか?前と違う人ですね」
東京、と答える。ここのパン屋は1カ月間隔でおてつたびを募集してるので、事業者からすると、毎回違う人が来ることになる。
北海道どうですか?仕事慣れました?とか聞かれる。元々タクシーやってたので運転は平気ですけど、営業がまだまだ課題なんですよね、と言うと、
「いえいえ、誠実さはすごく伝わってますよ」と言ってくれた。たかが訪問販売のお手伝いしてる奴に、こんな優しい言葉をかけてくれるなんて。
もう1つ。
ある商社で「ここのパン屋さんはいつも人が良い」という言葉を頂いた。
嬉しいことが2つもあった日。
9月14日
今日でデビューして1週間。先週と同じく土曜なのでディーラー巡り。
トヨタで、コーヒーをご馳走になる。
1週間色んな場所に営業行って気付いたことは、不機嫌な人が1人もいない。なんでなんだろう。地域性?
夜、温泉行って飲みに行こう、と店長が誘ってくれた。
さっきの疑問を店長に聞くと、十勝の気候が関係してるらしい。すなわち、晴れの日が多いから明るい人が多い。青森とか山陰とか、曇りが多い地域は鬱の割合が高いみたい。イギリスに暗い曲多いのも、天候が関係してるんだって。
アルカリのぬるぬる系の温泉。ヨガマットが何個かあって、芝生で寝っ転がれるのが贅沢。
再びあの飲み屋へ。
こたろう君も覚えてくれてて嬉しい。
ちなみに彼は女装が趣味らしい。
途中サクテイカの人が合流。
サクテイカ?
聞くと、”削蹄家”とは牛の爪を切る仕事らしい。体験もやってるから是非、と言われ、紙に連絡先を書いてくれた。新しいこと好きだから絶対行こう。
9月15日
飲んだ後、深夜1時に帰る。マッチングアプリを頑張ってる友人に通話で成果を聞いた後、朝5時に就寝。
昼前に起きると、店長から「BBQやるんやけど来る?」と連絡。
疲れてたけど、せっかくの短いおてつたび期間、なるべく顔を出そうと思い行くことに。
行くと店長と、こたろう君と、世代バラバラの知らない人達7人。
キタキタ、苦手な大人数の場。
軽く自己紹介した後、とりあえず食べる。最後までみんなが何の人なのか分からなかったけど、1人だけ部外者の自分にも「もっと肉食べな?」と優しくしてくれた。
大きな工場を誘致すると、働く人が集まって町の出生率が上がるとか
2組の子連れ家族、これから出産を控える店長とかがいるから、子供が生まれる時のエピソードとか、同世代じゃあまりしない話が新鮮。
陣痛来て病院行くのに、パパが焦って道間違えて、ママが冷静に道案内したっておじさんの話にみんなで笑ったり
キャバクラの姉ちゃんに猫余ってるって言われて、譲ってもらえると思って「飼うよ」って言ったら「買う」ことになって4万取られた話とかで盛り上がる。
昔は大人数=苦手だったけど、最近はどうやったら上手く立ち回れるかな?って考えながら参加するようになった。牛歩だけど進歩してる。
9月16日
祝日だから農家巡り。新規営業も出来るようになってきた。
9月17日
休み。温泉と町唯一のカフェに行こう。というか、休日行く場所がその2つしかない。
アルカリ性の肌がヌルヌルになる温泉。今日の気温は23℃。露天風呂を出た後の外気浴が気持ちいい。満足度と混雑度合いは反比例する。
再びカフェ。
途中こたろう君が入って来た。「ジュンさん、何書いてるんですか?」
日記、と答えると「かわいい〜」と言われる。なんじゃそりゃ。
あいねさんも。「いつまでこの町いるの?」とかタメ口で話せるようになった。常連になれたみたいで嬉しい。
削蹄家の人と連絡取れた。楽しみ。
9月18日
仕事。花屋さんの底抜けの明るさに癒される。
帰り道、めっちゃ早いアウディQ5に付いてったおかげで、47kmをぴったり30分で帰れた。レースみたいで楽しかった。
9月19日
今日は静内エリア。日高山脈の峠を越えると、そこはもう海。なんとも、得も言われぬ景色。
帰り道、2回シカと接触しかけた。
9月20日
JAで営業してたら、なんと向かいにもパン屋の訪問営業が。めっちゃ気まずい。JAの職員さんも、どっちのパン屋行けばいいか迷ってて、全員困惑。
自動車学校の営業があった。自分は1種と2種で計5週間免許合宿行ったから懐かしさを感じた。先生たちにパンを売りに来るなんて、未来は分からないものだ。
9月21日
営業でネイルサロンに行った。いつも通り普通にお店入ったけど、そういやネイルサロンって人生で絶対入らない場所じゃん。そもそもネイルって何?あれは塗ってるのか何かを付けてるのか。世の中にはまだ知らないことがたくさんある。
2週間前の「40歳まで好きに生きたらいいよおじさん」にまさかの再会。「頑張ってねジュンちゃん!」と、店の人たちが笑いながら応援してくれた。(このパン屋は居酒屋みたいに名札を付ける)
夕飯、こたろう君おすすめの居酒屋へ。1人でカウンターで呑むと大人になった気分。
9月22日
休み。近所の公園で、毎年3000人参加するという祭りがあり、店長が誘ってくれたので行った。
この日の気温は13℃で、こっち来てから初めての雨。最初の飲みで会った酪農家奥さんに遭遇。「今日の雨からグッと気温下がるよ」。自然相手の仕事してる人は敏感。
店長夫妻と合流。店長の友達がライブで演奏するというので聞く。
演奏間のトークが印象的。
「東京では、寂しさや孤独を感じていた。でもここに来てから人の温かさに救われ、自分に足りないもの全てを補ってくれた。」
東京で息苦しさ、生きにくさを感じてる人やっぱりいるよなぁ。それで北海道に移住して、色々活動してるのかっこいい。
ライブ最後の曲に感動。この場所から帰りたくないよ。
9月23日
農家巡り。
いつも行く場所はリスト化されてたけど、今回初めて「この辺開拓しといて」と言われ、ノープランで農家を巡る。
どこも初訪問にも関わらず、みんな「頑張ってね」とか応援してくれる。
9月24日
休み。毎週恒例の温泉とカフェ。
あいねさん、こたろう君、万里慧さんが温かく声を掛けてくれる。
この平穏で落ち着く休日も、残りわずか。あいねさんに「今日がカフェ来るの最後かもしれない」と伝えると、Instagramの交換を提案してくれた。こうやって各地でお世話になった人と繋がれるのが嬉しい。これでどこ行っても応援できるね。
9月25日
出勤前は腰が重いけど、何件か営業すると元気になってる。お客さんに元気を貰ってるのかも。
今日回る清水エリアは、研修振り。
ある建設会社で「あれ、1人で回るようになったの?」と聞かれる。3週間前に来たの覚えててくれたんだ。
9月26日
高速に乗ってる時、路肩にカラスの死骸があった。そういや都会では見ないな。すぐ片付けられるからか。牧場特有の臭いもないし。自分の生まれ育った東京は”不衛生”とさせるものは排除されてる。都会は消費地だけで、生産地を見る機会ないよな、とカラスを見て思う。
昼前から営業時、自分の声のボリュームが上がってる気がする。やっぱりお客さんに元気貰ってる。
砂利屋さんのおばさまが、今朝からストーブを使い始めたらしい。9月の北海道をなめてはいけない。
9月28日
霧だけど、ガソリンスタンドのお姉さんに飲み物ご馳走になり、気分は晴れる。
様似という街に来た。海が見えるだけでテンション上がる。
帰り道、峠道でプロボックスとレース。日に日に運転が上手くなる。
9月28日
午前、いつもの訪問販売と異なり、幼稚園のイベントに出店。
家族連れで買いに来る。色んな家庭の教育が見れて興味深い。
午後は福祉施設で出店。暇すぎてインボディチェックしませんか?と言われるがまま検査。
最後、帯広で余ったパンの営業。種類少ないから売れない。前行ったガソリンスタンドにダメ元で行くと、前行った時と同じ人たちが。顔馴染みということで5000円分買ってくれた。3件断られた後だから、優しさで泣きそう。
夜は恒例の蝦夷マルシェ飲み。昼に祭りがあって、中には打ち上げと思われる大量の人が。
うわ、苦手な大人数だ。知らない人ばっかりだったけど、1番奥にいる、前会った酪農家ご夫婦が自分に気付いて、手招きしてくれた。飲み物も代わりに大声で注文してくれた。あまりにも優しい。
店長の万里慧さんが泥酔したため、お開き。2軒目へ。
みんな適当に座ったので、全員お互い知らない人だし、全員地元ここじゃない、すごい卓。
新しく出会った人の話を聞くのが楽しい。
東芝で働いたけど1年で辞めて、ずっと公務員のおじさんとか
教員免許取ったけど違うなと思って、カフェと花屋で働くお姉さんとか。
みんな結構仕上がってきて、テンションが尋常じゃなくて楽しい。世代、出身地、職業が違くたって仲良くなれる。
最後、お姉さんが泥酔し、失踪。
9月29日
休み。以前から気になってた、隣町のカフェへ。ここは、なんと無料。定年後暇だからボランティアでおじさん2人(会社で上司部下の関係だったらしい)が運営してる。ずっと吉田拓郎の弾き語りしてた。
素晴らしい時間。余生を友人とギター弾いて過ごすなんて素敵。
15時から、店長に誘われてRIZIN観戦。
格闘技全く分からんけど、せっかくだから行ってみる。
行くと、店長、花屋の工藤さん、整備士おじさん、中3の男の子、農機具会社の社長の草刈さんの計6人。俺以外のみんなは知り合いらしい。昨日に続いて、どういう会??
格闘家のキャッチコピーって変。「地獄のエンジェル」とか「足立区のバカストイックマン」とか。
武道12年やってたから格闘技気になるけど、なんせ教室の値段が高くて中々行けない。
ビールをチェイサーにサワー、焼酎、日本酒を飲む。酒、スポーツ、政治、ビジネス、時事ネタとか色んな話をして、気付けば試合も終わり、7時間経ってた。
中3の子、すごいな。その年でおじさんたちの飲み会に参加できるって貴重。大体自分はどこ行っても最年少なことが多いから新鮮だった。
9月30日
今日は本別エリア。
10月1日
休み。楽しみにしてた削蹄の日。2週間前に飲みで会った西尾さんという削蹄家の人と合流。
早速体験スタート。
「やってみましょうか!」と言われ、なんとか見よう見まねで試してみる。不器用な自分でも機械、刃、ナタで何とか削蹄出来るくらい、丁寧で分かりやすく教えてくれる。
先端の方は硬くて削りにくい。牛が暴れたりするからそれに注意しなきゃいけない。生き物だから当然個体差あるし、怪我してる子は手当する必要がある。なんとも、難しい。
牛のストレス管理が非常に重要で、「たかが爪」と思うかもしれないが、牛の健康は出荷乳量に影響し、それが広い意味で酪農畜産業の活性化に繋がる。そのような信念を持って、西尾さんはこの仕事をやっている。
↓西尾さんnoteもInstagramもTikTokもやってるから是非。
あっという間に3時間が経ち、体験終了。
オープンして10日ほどの、「おだいどころ風土」というご飯屋さんでご馳走して頂いた。
食べながら、ビジネスの話。第一次産業の後継者問題。削蹄という仕事の認知度とSNSの可能性の話など。
お礼を伝えて解散。体験自体はもちろん、敷衍して酪農や街おこしの観点から色々考える材料をもらった。貴重な経験させて頂きありがとうございました。
10月2日
研修振りの更別村で営業。
あいねさんに帰る日を連絡すると、カフェで待ってると言ってくれた。
帰る日が着々と近づいてる。
10月3日
今日は広尾エリア。いつも通り。
10月4日
1ヶ月振りのえりも営業。
帰り道、黄金道路という海沿いの道を120km/hで走ってると、雨でハイドロプレーニング現象起きて、アンダーステアになった。ほどほどにしよう。
10月5日
みたたび、「40歳まで好きにしたらいいよ」おじさんに会う。来週東京帰るんです、と言うと、また縁があったらよろしくと言ってくれる。
3回目になるトヨタにも伺う。同じく伝えると、「最後なの?じゃいっぱい買ってあげるね」とお姉さん達が買ってくれる。
ガリバーのお兄さんに、おてつたびの説明をすると、「俺もとうきびの収穫したことあるよ、二度とやりたくない」と共通の話で盛り上がる。
夜、夕飯を予約してくれてるらしいので、お店へ。ありがとう。
この街はどうだった?仕事は大変だった?とか色々聞いてくれる。
グルメを堪能したり
十勝の自然に感動したり
人の優しさに心温まったり
温泉、BBQ、蝦夷マルシェ飲み、行きつけのカフェ、削蹄体験などなど
濃い時間だったな。沢山外に誘い出だしてもらった。酔いながらも、店長の「(投稿者の)話が得意とは思わへんけど、おもんない奴だったら誘わん。」という言葉が素直に嬉しかった。
2軒目。
パン屋のこの先の展開を聞いたり、この前の公園祭りに関して、主催側の反省だったりの話。イベントは「誰に向けてか」が大事。
10月6日
休み。温泉へ。
10月7日
仕事終わりにご飯を誘ってもらう。
今日は仕事に関することで、お店にとっても迷惑をかけてしまった。自分のせいじゃない事案だけど、申し訳なさで胸が苦しい。店長夫婦は明るく振る舞ってくれる。自分だけ引きずって暗くなると、2人の好意を無碍にすると思い、何とか切り替えて気にしてない振りをする。
そんな中でも、ちゃんと仕事してる、と認めてもらってるらしい。売上が大体6〜7万のところ、この日は8万8千円。そこそこ頑張った。
明日が最後の休み。行きたいところに連れてってくれることになって、楽しみ。
10月8日
朝7:30に店長と合流して、キャンプ。
2人でドライブしてると、店長が兄貴みたいに感じてくる。
少し移動して、サウナ付きのカフェへ。
店長は仕事に戻る。忙しい中連れてってくれて、ありがとうございます。ご馳走様でした。
いつものカフェへ。
閉店の時間。
「この街はどうだった?」「また来たら飲みに行こう」と嬉しい言葉を頂く。
最後撮ってくれた。
夜、最後の蝦夷マルシェへ。
毎週色んな人と飲んだ思い出の店。
入ると、こたろう君だけ。遅れてくる店長を待ってる間、お喋り。彼とはよく会うけど、ちゃんと話したことないな。
彼も東京出身。貧乏なのと勉強が嫌いだったため、中学を卒業してから働いてる。
「東京に帰ったら何するんですか?」と聞かれたので、友達に会うかな、と答える。すると
「面白いですか?」
何とも、心が見透かされてるようなことを言われ、非常に驚く。
ここ1年ほど、友達と話しても楽しくないと思ってしまう自分がいる。今まで楽しかったのに、なんで?とモヤモヤしていた。
こたろう君も働き始めてから同じ経験をしたらしい。
「久々に中学のやつらと会ったら、超つまんなくて。」
そうそう。上手く言語化出来ないけど、何かが変わったのかもしれない。
旅中に会う人は、刺激的で濃い人ばかり。一方、地元の友達は、似た話が多い。流行ってるドラマとか、会社の愚痴、昔話ばかり。自分が日本一周したり、これからすることに対して「いいなぁ」と言う。もし良いと思うなら自分で行動すればいいじゃん、と感じてしまう。前は無職とかイジってたのに、急にいいなぁって何?と困却しているのが正直な印象。
そんな話をしていると
「ジュンさんお腹空いてるなら、ジビエ食べます?」と言って、鹿肉を出してくれた。
鹿肉は融点が高くて脂は美味しくないって知らなかった。
知り合いに猟師も漁師もいて、今度本マグロをお裾分けしてもらえるらしい。
また来ないと。
店長と人間関係とかビジネスの話。
人は周りの環境に影響を受けるから、人付き合いは取捨選択せざるを得ないとか
事業の目標で、売上〇〇まで!とか分かりやすく数字を掲げてしまいがちだが、達成した時に次が無くなるから、長期目標は概念のが良いとか
そういやこの人、ここのパン屋を100店舗以上全国展開したすごい人だった。兄貴みたいに親しみやすいんだよな。
最後撮ってくれた。
10月9日
いつも通り。
10月10日
今日は鹿追エリア。
かなり売って、褒めてくれた。
10月11日
最終日。お店の人たちに挨拶を済ませ出発。ずっと居ればいいのに、また来てねなどと言ってくれる。
静内エリア。今までで1番早く売り切れた。
帰る前、海辺で思い出を振り返る。あっという間の1ヶ月だった。
帰ると、店長奥さんが「また冬来てね!」と見送ってくれた。
10月12日
帰る日。
お店に宿の鍵と制服を返しに行く。
毎日パンを焼いてくれた店員さん達に挨拶をして、店を後にする。
終わり。
感想
今までのおてつたびで、1番長期間だった。期間が長い分、思い出深い。
1つ、重要な経験をした。仕事が、苦じゃなかったのだ。
これまでこバイトや仕事は、出勤が億劫だった。自分にとって仕事は、単にお金を稼ぐ手段であり、労働=苦痛という認識だった。
しかし、驚くことに、ここでは出勤が待ち遠しかった。理由は心当たりがある。人の優しさだ。訪問販売なので、パンを売って帰るだけなのだが、数分の会話でも魅力的を感じる人に会うことが少なくなかった。
重いケースを持っている自分を見て、走って扉を開けてくれる人がいたり、車のトランクまで開けてくれる人も。
訪問すると、会社の人に声を掛けてパン屋来てますと周ってくれたり
気を付けてね、頑張ってねなど激励の言葉を頂いたり。
人のエネルギーとはすごいものだ。良くも悪くも、自分というものが持っていかれる。
あと、自分は携わってないけど、パン屋というか、自営業面白そうだなと思った。パンの価格設定、販売量、商品開発、人事、募集方法等
仕事が無限にあって、とてつもなく大変そうだが、自分で考えて試行錯誤してってすごくやり甲斐あるし、何より楽しそう。人や会社の指示とかじゃなくて、自分で決めて動くのが、自分には向いてる気がする。
店長を始めとして、居酒屋やカフェの店員さん、酪農家、削蹄家、農機具の社長、花屋さん、整備士、宇宙産業の人、中3の男の子
普段逢えない人にたくさん会った。
人の魅力に触れ、色んな価値観、生き方、人生の選択肢を教えてもらった。
これは4回のおてつたびを通して学んだことでもある。
そろそろおてつたびを卒業しよう。
今度は学んだことを、してくれたことを、自分が実行する番。
来年も、変化の年に。
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