アラブの王女時代のキオク
ある国の王女のお話。
優しい王子さまとなかむつまじくくらしていました。
四季の花が咲き誇る庭で語り合い、 いつもお互いの顔を見つめて、微笑み合っていました。
男性は身分が低いけれど、勇敢で頭がよく、 貧しい人に優しく、 困った人には助けてあげたり、食べ物を分けてあげるなど、町の人から信頼を得ている若者でした。
いつからか、この男性と王女が知り合い、惹かれ合うようになりました。
王女は、父親を説得し、二人は宮殿で一緒に過ごすようになりました。
幼いころに母親を亡くし、悲しみを抱えている王女をいつも慈しんで、気遣ってくれる優しい王子様を、王女は心から愛していました。
ある日
王子は突然いなくなりました。
旅に出ると使用人に言い残し、王女が眠っている間に宮殿を後にしました。
王女は目が覚めて、王子が居ないことに、戸惑い落胆し、使いをだして町中を探させました。
涙が枯れるほど泣き、憔悴していきました。
その日も、泣き疲れて王女が眠っていると、不思議な夢をみました。
あの王子が王女の前に立っています。
「もうどこにもいかないで」
「ここにいて」
と、王女が言うと、王子は
「幸せな気持ちはわすれない、
いつまでも覚えている」
「あえなくても、存在することを感じていてほしい」
「いつでも心は繋がっているから」
夢から覚めた王女は、愛しい王子に向けて、たくさんの光が降り注いで、心がいつも健やかで、幸せに包まれているように、と毎日心から祈りを捧げるようになりました。