ケーキ屋株式会社 3章
その後、ケーキ屋株式会社は5年間配当なしになり、配当すべきお金を年間200万ずつ積み立てて、5年かかって1000万円つみたてました。それによって念願の2店舗目をつくりました。良子達、頑張りましたね。
2店舗目が稼働し始めると、会社の純利益は2倍の400万円、1株益は40万円になりました。
さて2店舗目稼働移行のPERはどうなるでしょうか?また純利益をすべて配当する場合、配当利回りはどうなるでしょうか。
問題
この時、PER=100万円(株価)÷40万円(純利益)=2.5倍
配当利回り=40万円(純利益)÷100万円(投資したお金・株の値)=40%
しかし「今後もできる限り店舗数を増やしたい」というのが経営者兼大株主である良子とその他少数株主の意見です。しかも、借金も増資しない、という方針です。
そこで、年間400万円の純利益のうち、配当するのは半分の200万円だけで、残り半分の200万円は内部留保することにしました。
問題
この時のPERと配当利回りはどうなるでしょうか?
この時、一株益は40万円、一株配は200万円です。
PER=100万円÷40万円=2.5倍
配当利回り=20万÷100万円=20%
稼いだ利益のうち配当に回す割合を配当性向といいます。
この例では利益の半分を配当しているので配当性向は50%です。
日本の上場企業の配当性向は平均30%くらいです。つまり稼いだ利益のうち30%だけ配当し70%は内部留保するというのが日本の上場企業の平均的な姿ということになります。
内部留保された金額の合計額は利益剰余金という名前で呼ばれ、会社四季報などにも掲載されています。この利益剰余金は投資家に配当されるべきお金を内部に保留したものであり、その分だけ会社の資産が増えて収益力が高まると考えられます。つまり内部留保によって会社の価値が高まり、1株の価値も高まるということがいえます。
ちなみに2023.12.25日付の日経新聞の一面に、
「上場企業の配当最高16兆円」とあります。ここにも変化の兆しが表れています。
さて株式投資で複雑なのが、この内部留保というしくみです。良子たちケーキ屋株式会社は最初こそ叔母さんに純利益の200万円を全額配当していました。1株益と1株配は一緒の金額です。
しかし良子たちは途中から純利益の半分だけを配当に回す事にしました。将来の店の成長のために純利益を残しておく事にしました。
この純利益を半分、内部に留めておくというのが内部留保という意味です。
なんかややこしくなってきました。なぜなら利益と配当が一致しないからです。しかしこのケーキ屋に成長性があるならばこれは株主にとって良いことです。なぜならケーキ屋がどんどん店を増やし更なる利益を株主にもたらしてくれるかもしれないからです。
一時、配当が減るのは株主として残念ですが、この先のケーキ屋株式会社が大きくなるならばむしろ株主としては嬉しいことです。
ところで良子たちはこれまで株の売買は仲間内で行っていました。これをプライマリーマーケットと言います。ケーキ屋株式会社はどんどん店を増やし成長していきます。そしてついに東京証券へと上場する事になりました。これをセカンダリーマーケットと言います。
次回へと続きます。
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