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【読書感想】ロング・ロング・アゴー
文庫で398p 著者:重松清
本作は2009年に刊行された「再会」を改題したものである。
あらすじ
最後まで誇り高かったクラスの女王さま。親戚中の嫌われ者のおじさん。不運つづきでも笑顔だった幼なじみ。おとなになって思いだす初恋の相手。そして、子どもの頃のイタい自分。あの頃から時は流れ、私たちはこんなにも遠く離れてしまった。でも、信じている。いつかまた、もう一度会えるよね──。「こんなはずじゃなかった人生」に訪れた、小さな奇跡を描く六つの物語。『再会』改題。
感想
重松清の作品は読んだことが無かった。理由は特になく、いわゆる食わず嫌いのようなものだった。
本当に適当に選んだだけでしたが、読んで良かった。そう思える作品でした。
六つの短編が収められてどれも良かったけど”いいものあげる” と "チャーリー”は特に刺さった。
”いいものあげる”は大型ショッピングセンターの開発部に勤める父の転勤についてきた娘と、街にあるデパートの経営者の娘の交流を描いた物語。
新しいショッピングセンターにより老舗のデパートの経営は苦しくなっていく。そのような罪悪感を抱きながら付き合いを続けていく様子は読んでいて胸が苦しくなってくる。
”チャーリー”は「ピーナッツ」のチャーリー・ブラウンのように勉強もスポーツも得意でない子供がひょんなことから学級委員に立候補して、周りの変化や頑張ろうと努力するがうまくいかない自分自身に悩む話。
頑張りたいのに空回りしてしまう様子が痛々しくもあり、子供って残酷だよなー、子供って大変だよなー、なんて忘れていた感覚を思い出させてくれる話だった。
文章がスッと入ってくるような読みやすさがあり、個人的に好みの作風でもあった。他の作品も読んでみようかな。