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【読書感想】 たんぽぽ娘



あらすじ

たんぽぽ色の髪が風に舞う、未来から来た女はいった。「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」…SF作家ロバート・F・ヤングは、生涯で約二百作の短編を遺した。その魅力を日本で初めて紹介した名訳者・伊藤典夫の編集でおくる、甘く切なく美しいヤング傑作選。永遠の名作「たんぽぽ娘」改訳決定版の他、全十三編。

裏表紙より

感想

タイトルだけを聞いたことがあり、こんなに短かったのかと思ったが、小説で大事なのは長さでないことに気付かされる。

主人公のマークは丘の上で初めて会うたんぽぽ色の髪の娘ジュリーにこう言われます

おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた

「たんぽぽ娘」97p

詩的でありなんともロマンチックなセリフである。本作を語るうえでこのセリフは外せないだろう。

妻を持つ身であるマークだが、一気に彼女に惹かれていく。
また合う約束をして、未来の話やお互いのことを話し合うが、彼女は父が亡くなったこと、タイムマシンが壊れかけているため過去に戻れない可能性があることをマークに伝える。
そして、これが最後になるかもしれないと彼への愛を伝えて行ってしまう。
次の日もまた次の日も丘の上で待ち続けるが、彼女が現れることはなかった。

原文は
「Day before yesterday I saw a rabbit, and yesterday a deer, and today, you」
シンプルだけど物語を読み進めていき、彼女の気持ちを知ると、また意味合いが変わってくる。

作者が1915年生まれでかなり前の作品ではあるが気にならない。
昔なんかは今よりはるかに娯楽が少ないだろうから、こんな感じで小説の短編は重宝されただろうとも思う。

終わりに

他の短編も面白かったので興味があればぜひ。


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