声と英語と、音楽と
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音と光の伝わる速度(光の速度はどれだけ早いのか)
十代の半ば頃、わたしはすっかり洋楽にはまってしまった。
と言うのも同じバスケットボール部の仲間に熱心に勧められたからだ。
それは丁度コンパクトディスク(CD)が定着しはじめた頃だった。
最初その洋楽(ガンズ・アンド・ローゼス)のCDを渡されて、正直なところわたしは面食らった。今も昔もわたしは英語がわからないし、当時は音楽を聞く習慣もなかったからだ。
しかもガンズ・アンド・ローゼスの音はロック慣れしていない人の耳にはかなりうるさく聞こえる。だから、一曲だけ聞いてそのうるささに驚いたわたしは友達にCDを返そうとした。
しかし彼はそれを受け取らず「ちゃんと聴いてみてほしい。November_Rainは傑作だよ。曲の最後に雨の音が入っているんだ。コーヘイは気にいるはずだ」そう言って改めてそのCDを渡してきた。
そしてわたしは洋楽にはまった。
英語はわからないのに、だ。
今となってはそれらの洋楽が十代の荒んだわたしの気持ちにぴたっとはまったのか、それとも他の音楽を聴いてみなかったからそればかり聴いていたのかわからない。ともかく高校時代のわたしは「ガンズ・アンド・ローゼス」と「エアロスミス」、この2つのロックばかり聴いていた。
そして現在、今更ながらにYou Tubeの便利さに気がついたわたしは英会話の習得に取り掛かっている。
英語の発音で面白いのは「R」のように日本語には「無い音」が「ある」ということ。普段自分が発することのない音があるというのがとても新鮮なのだ。なぜ英語を習得したいのかと言えば、第一に洋楽の歌詞がわかる、第二にラジオ好きなわたしは英語のネットラジオが楽しめる、第三に英語で何かを発信することができる。だから英語を習得したいのだ。
その英会話学習に利用しているYou Tubeでは他にわたしが楽しんでいるものに「封印された科学」がある。これは都市伝説になるのだろう。その中に「光の速度が一番」と言うのは間違いだ、とする話があった。では光より早く伝わるものは何かと言えばそれは「音」なのだそうだ。
わたしにとって一番身近な「音」。
それは「声」だと信じたい。
なぜ、それを信じたいのか。
それは今のわたしには、声を出す、話す、歌う、機会が極端に少ないから。
通勤で使う毎日の満員電車。
毎日同じ時間に同じ人を見かけるが、わたしはその人の「声」を知らないし、その相手はわたしの声を知らない。
しかしわたしたちは決して自分たちの身近では無いテレビに出演する芸能人の「声」には馴染みがある。これはなんだか奇妙なことだと思う。
光よりも早く伝わると言う音。
われわれの「声」。
声に秘められた力があるのなら、どうせなら「良い声」を身につけたいものだ。わたし個人で試しても色々な声が出せる。
では無理のないところで自分が出せる声ではどの声が一番魅力的な「光より早く」宇宙へ届かせるべき「声」なのか。それを知る必要がある!
「自分の声探し」これは義務教育に取り入れるべく大切な課題だとわたしは思っている。
「四十過ぎたら自分の顔に責任を持て」などと言うが、それよりも「声に責任をもて」これこそが正解だなのだ。