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5000人の第九

先日、国技館5000人の第九コンサートに参加してきました。

第九といえばベートーヴェンが作曲した有名な交響曲。年末になるとNHKやCMなどでよく聞くあの曲です。

ベートーヴェン、結構壮絶な人生。アル中父のせいで経済的に困窮した少年〜青年期、難聴に悩まされた壮年期。でも生きてるうちに評価されて良かった!


大阪では毎年10000人が集まって第九を歌うイベントがあるらしい、というのは昔テレビで見て知っていた。
昨年のある日、友人から東京でも参加できる第九のコンサートがあると聞き、わー歌いたい!と思い立ちすぐに応募した。

私にとっては初めての第九だし、合唱自体も久しぶりで大丈夫かなぁ?と不安と期待を胸に膨らませていた。と同時に1〜2週間に一度、合法的に大声を出せる機会があることが嬉しかった。歌は健康法なので🎤練習会場は墨田区役所内の巨大なホール。朝、昼、夜の部があり、夜の部は帰り道に見えるスカイツリーがとても綺麗でお気に入りだった。

さて私のパートはソプラノ。主旋律だし知っているフレーズも多いし歌いやすいかな😊などと呑気に考えていたけど大きな間違いだった。
めちゃくちゃ難しい。
とにかく高音パートだらけである。毎回頭の血管が切れそうになりながら、仰け反りながら歌った。風邪とかで少しでも喉の調子が悪いと出せない音域。
ドイツ語の歌詞もなかなか頭に入ってこなくて脳の老化を感じた。新しいフレーズを脳にインプットすると以前習ったフレーズが出ていってしまう。ちょまてよ、出ていくな、困った。
さらに一つの音符に対しての歌詞(言葉)の量が多くて、口が回らない…。本場のドイツ人の方はどんな感じかな?とYouTubeでカラヤン指揮の第九をみてみた。恐ろしいほどに歌声が揃っており、まるで機械のようにハキハキと歌っていて色んな意味で衝撃が走った。す、すごいな、、

ここまでのレベルに到達するのは無理として、、普通に歌えるようになりたい。
練習終盤はもう試験勉強のように唱えるしかなく、身体に叩きこむ感じで覚え何とか歌えるようになった。しかし本番は暗譜、不安しかない。

そして9月から5ヶ月間の練習を経て2025年2月23日、本番でした。

結論、凄く楽しかった。少し緊張したし、舞台の緊迫感が久しぶりでゾクゾクした。全く完璧にはいかなかったし歌詞も飛んでしまったし反省点は多々あるけど、間違ったタイミングで歌い出してしまうとか大きなミスはなく、最後まで歌い切ることができた!大勢で歌うたのしさ、これこそが合唱のたのしさであると思っているので、4700人で歌うって言葉には出来ない迫力と感動があり楽しかった!!そしてオーケストラの演奏とともに歌える喜び。とても贅沢な時間でした。

終演後、指導してくださる先生が「何年もやってきてるけど毎年毎年違って新しい発見があるんです」と仰っていたことを思い出していた。
音楽や芸術って、終わりがないし答えがないからおもしろくて楽しいんだろうなぁ、と改めて思った。

今回の参加者約4700人のうち1/3が初めての参加らしい。私もそのうちの1人。このメンバーで歌うのはこれ一回限りとなると一期一会だなーと。またどこかで一緒に歌えたら嬉しいですね。

そして素敵なビックリな出会いもあった。
前の席のマダムたち。どこかのコーラスグループの方達みたいで仲良さげにお話ししているのが聞こえてきた。何やらやたら耳馴染みのあるイントネーション。。え?お、お母さん?こ、これは完全に私の国の言葉。
話しかけてみたら見事に同郷の方だった。こんな偶然ってあるんだなぁ。本番当日の朝、故郷のお菓子をくださって、一緒に記念写真も撮ったり、と本当にあたたかい時間でした、ありがとうございました🫶この場を借りてお礼申し上げます。


第九は、その曲調からおめでたい雰囲気と年忘れ的な祭り、祝祭の印象があったけど、かつては戦死者のために歌われたり、日本では東日本大震災の追悼で歌われたりと鎮魂の歌としても歌われてきた歴史があるそう。未だ戦争がなくならない世の中だけど、一刻も早く戦争が終わることを祈って平和な世になるように、とそんな気持ちを込めて歌った。5か月間向き合った感想としては、とても難しく、でも華やかで厳かで迫力がある不思議な魅力をもった音楽だと思いました。また来年も歌いたいなと思います!おわり。

おまけ:
国技館ならではのマス席、今回初めて座りました。合唱団の半分はイス席、半分はマス席って感じでしょうか。お座布団で待機も初めてで新鮮でした。
実は第九は第一楽章から第四楽章まであり、約70分という長さ。そのほとんどがオーケストラによる演奏で合唱が登場するのは最後の第四楽章から。それまで50分あまりの時間をオケの演奏を聞きながらお座り待機しなくてはなりません。正座なんてのは痺れて起き上がれない未来が待っているので、体育座りまたはあぐら状態でその時を待ちます。いよいよ合唱が始まる、その直前の「立つぞ」のポーズが面白かったです。クラウチングスタートで待ち構える数千の人々笑。そんな体験もここ国技館でしかで味わえないのだなぁ、と。貴重な機会をありがとうございました♪

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