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無理をし過ぎた私②
続きになります。まだみてない人は、最初からみてね🐣✨
しかしこの頃の私はもう疲弊しきっていた。
ナツコさんとのお付き合いに限界を感じていたのだ…。
ナツコさんは並外れた体力の持ち主なのだ。
昼間ジョギングに付き合うこともあった。
ナツコさんは自転車で私は走るスタイル。
私は仕事をしながらナツコさんのお付き合いもすることにだんだん疲労が溜まっていった。
でもナツコさんはいつも楽しそうにしてるので誘いを断ることも出来ずにいた…。
何故かいつもジャージ姿で登場するナツコさん。
ジャージ姿以外みたことがない。
食事の時もジャージ姿でガツガツ食べまくる感じであった。
とくに餃子が大好きで、ラー油をどっぷりとかけてがぶりきつ
「マジうめ〜!!最高だぜぃ♪やっぱ餃子にビールは付きもんだよな〜」
と言いながら、瓶ごとグビグビと飲みだすのだ。
ナツコさんはなんというのだろう。
そう!凄く大胆な人であった。
それと同時に私は疑問を感じていた。
この人は独り身でもないのにこんなにいつも出歩いていて良いのだろうか?
私はそいえばナツコさんのことあまり知らないかも。
明日聞いてみよう。
水温チェックの時間だ。この時間はもう殆どのお客様はいない。いるのはナツコさんくらいだ。
私はお風呂場のドアをガラガラと開けた。
すると浴槽の中で大の字になってナツコさんが日本酒の飲んでいた。
ナツコさんがこちらに気づく。
「お〜!ひよちゃん、貸し切りマジ最高だわ〜。」
私はあることに気づきナツコさんに指摘する。
「な、ナツコさん!そんな女性が足を広げちゃはしたないですよ💦」
「別にいいじゃ〜ん!ひよちゃんしかいないんだしさ〜ぁ」
顔を真っ赤にしてかなり酔っている様子だ。
「いい湯だなぁ〜あははん♪」
ナツコさんは気持ちよさそうに歌いながら天才と刺繍されたタオルを頭に巻いていた。
でもこのままじゃナツコさん倒れちゃうかも!
「ナツコさん、そろそろ出ましょう。のぼせちゃいますよ。早く帰らないと旦那さんも心配しますよ」
私はナツコさんに肩をかし、脱衣場まで連れて行く。
ナツコさんはブツブツと独り言を言っていた。
「どうせ帰っても旦那は寝てるんだから」
とだけ聞こえた…。
ナツコさんの服を着させたのはいいが彼女はベロンベロン状態だ。
このまま一人で帰すのも心配だ。
私はナツコさんを家まで送ることにした。
ナツコさんを送るのはこれで2回目だ。
割と近くて歩いて5分くらいのところにあるので助かった。
ナツコさんは大きな一軒屋に住んでいた。
ナツコさん家についたものの、彼女はベロンベロンになってちゃんと歩けそうもない。
「もも〜お利口だな〜おまえは〜むにゃむにゃ………」
だめだ…こりゃ💦
仕方なく私はインターホンを鳴らした。
「ピンポーン」
「はい。」
「あ!夜分遅くに失礼します。私〇〇銭湯のものでして、奥様が酔っておられましたので送らせていただきました」
「あ…あぁもしかして日和さんですか?」
「は…はい」
「妻から話は伺っております。いつもありがとうございます。お待ち下さい」
「はい…」
ガチャ
ドアが開く。
出てきたのは優しそうな顔をした男性であった。
これがナツコさんが大好きな旦那さんかぁ。
思ったよりかなり落ち着いてる方でちょっとびっくりした。
ナツコさんのイメージからもっとチャラい人かと勝手に想像していたからだ。
「すみませんね…ナツコ、おまえまた酔っ払っているのか?人さまに迷惑かけたらだめじゃないかぁ」
「ち!うっせぇな〜!クソジジイ」
「ほら。部屋にいくぞ」
「あ!日和さんもせっかくですから少し上がっていってください」
「あ!いえ、私はナツコさんが心配で送らせていただいただけなのでお気遣いなさらず」
「毎日お世話になってますし、お礼させてください。もし時間がまだあればですが」
まだ少しなら大丈夫かな〜…。
「ありがとうございます。じゃあ少しだけ…」
ナツコさんの旦那さんはとても穏やかでこれといって欠点もないような人であった。
「これよかったらどうぞ」
差し出されたものを受け取る。
「あ!これすごくお高いものじゃないですか😳いいんですか?💦」
「いつも妻の面倒見てくださってますから」
「あ…ありがとうございます」
私は一呼吸してから気になっていることを聞いてみた。
「あの…奥様が大事になさっています…そのぉももちゃんってご存知でしょうか?」
旦那さんはゆっくりと頷く。
「あれは妻が私と出会う前に旅行先で出会ったものみたいですよ。あのぬいぐるみを買ったあとに僕と出会ったからお守りだとか言ってたかな…」
「なるほど…そうだったんですね」
「とても奥様に愛されているんですね。」
旦那さんはちょっと照れくさそうにして笑う。
「いや…でもガサツで困ったもんですよ…酒ばかり飲んで…」
私は少し考えてから言った。
「きっと…寂しいのかもしれません。」
旦那さんは考え込んでいたが顔を上げて言う。
「そうですね。私は医者という職業柄多忙でなかなか妻の相手をしてあげられていないのが現状です…」
「お医者様でいらしたんですね。」
「そうですね。命を扱う仕事ですものね…でも一途でステキな奥さまだと思いますよ」
旦那さんは急に真剣な顔をして言った。
「日和さん!どうか妻をこれからもよろしくお願いします!日和さんと出会ってからの妻は本当に笑顔が増えたんですよ。お願いします!お願いします!」
え!?え〜😱💦💦💦
私は急に頭を下げてお願いされたのであわててしまう。
「旦那様、顔を上げてください💦わ、わかりました。私で良ければ…」
旦那さんは満面な笑顔で私の手を握り、ありがとう!ありがとう!と言っていた。
私はついそんなことを言ってしまったが、これがあとで後悔することになることも知らずに…。
続く。
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