まだいける、もう駄目だの間でのたうち回る
勉強も出来ない。自慢出来る容姿もない。
誰かの顔色声色ばかり伺って生きづらい。
お金なんていつも無いから、休んでなんていられない毎日。
そんな自分でも絵だけはそれなりに描けた。
伝えたい事を人へ伝えるのは難しい。
って言ってもこれは仕事でなくて、ただの趣味で
自分がどうしようも無く思えた時に、唯一肯定できるものが絵だった。
特別上手くもない、何だか恥ずかしい趣味。
誰か分かってくれないだろうか私の絵を。
何か創作のヒントになる音楽はないだろうかと、You Tubeを開いて検索していると、一点を見つめる女性のサムネに目が止まった。再生ボタンを押して聴き入る。
フワッと心が跳ねて、喉の奥が下がるのを感じる。
どこにも行けない私の事だなんて、まるで私の事だ。
「クリープハイプ」と何回も検索しては、聴き続けた。突き放すような歌詞に、抱かれる気持ちが心地よかった。
CDを買って出勤時の車で何度も何度も聴いた。
1日の腹が立った事、恥ずかしかった事、嬉しかった事、全部消化してくれる。
どの曲も絵にしたいイメージがどんどん湧いてくる。早く描きたくて、仕事中もウズウズしていた。
初めてクリープハイプを生で聴いたのは、香川県で開催される野外フェス、MONSTER baSH。
早速と現れて、音と言葉を叩きつけて、少し猫背に早足でステージを後にする尾崎さんが、とても印象的だった。
ロックスターだ、、きっとクールな人なんだろうと言うのが第一印象だった。
もっとこの人の話しが聞きたいと、尾崎さんがナビゲーターを務める、J-WAVE SPARKのラジオを聞くようになった。
ラジオの中の尾崎さんは、お茶目で、親しみやすく、最初の印象とのギャップに、さらに尾崎世界観の魅力に引き込まれた。
ラジオのオリジナルグッズのデザインを募集していて、選ばれる訳では無くとも、私の絵を見てほしいの一心で、勢いで応募することにした。
「いいのが来たんですよ」
尾崎さんの一言に心がザワつく。
指の隙間から覗くような気持ちで聞いた
「エムエスケー」という、私のペンネーム。
夢かと思った。まず本当に見て頂けたことが信じられなかった。
その後も、尾崎さんのご厚意で2018年のホールツアー『今から少し話しをしよう、懐かしい曲も歌うから』での、グッズのデザインをさせて頂くことに。
初めて自分が「自分」で良かったと思えた。
憧れの人に、真正面に私の絵を評価してもらえたこと、それがすごく嬉しかった。
それからは、自分の絵に自信と責任を持ちたくて、趣味ではなく仕事として絵を描く事を始めた。
有り難い出会いにも恵まれ、応援してくださる方々の顔を想像しながら描く事が、何より幸せだ。
今もバズるわけでも、有名な絵描きになったわけでもなく、定期的にもう駄目だの波は押し寄せるけど、その度に、クリープハイプのライブへ行きたくなる。
昨年のライブ“今夜は月が綺麗だよ”での、ラストの曲「風にふかれて」は、私のこれからのための一曲だった。
君はまだ 生きる 生きる 生きる 生きるよ
君はまだいける。そう言われたとも聴き間違えて、今日も絵を描く。恥ずかしい絵を。
まだいける、もう駄目だの間でのたうち回っては
また助けられるんだ。
だからこれが真実。
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このような素敵な企画をありがとうございます。
文章で表現することの難しさと、楽しさを体験できました。もっと勉強したいです、、
色んな形で表現し続けることが出来るよう、頑張ります。
どうかこれからも、
クリープハイプがあり続けますように。
いつもありがとうございます。
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