砂漠雑感#068 蚕から考える日本の強さ、そして守るべきものとは
群馬出身で実家が養蚕業を営んでいた人生の先輩(御年64歳)から聞いた面白い話を紹介したい。
養蚕では、蚕の成長過程で繭の均一性をいかに確保するかがポイントとなる。糸の物性にバラツキがあると、繊維が切れてしまう。均一で不純物が少ない程良い。そのため、餌の品種、桑の葉の管理も重要になる。滋賀県長浜にさなぎ、幼虫センターがあり、ここが技術の要となっている。これを全国に配給する。
餌の管理。蚕は濡れた桑を食わないので、朝4時に桑を採取し、食べさせる。なぜか水を嫌う性質があり、ドライな葉でなければならないという。こうした細部にわたる技術が世界最先端の絹糸、織物を作り出していた!
発祥の地チャイナ品は、残念ながら、ばらつきが多く、日本品にはかなわない。藍は藍より出でて藍より青しか。
ところで、天然ゴムも然り。不思議なことに、まさに自然の為せる業、微量の脂肪酸、タンパク質は別として全てシス型のポリイソプレンでできている。合成のポリイソプレンは、トランス型が混ざる。よって、どうしてもポリマー鎖が切れやすくなる。(因みに、天然のトランス型ポリイソプレンが、いわゆるガタパーチャであり、歯科の根管治療で使われる硬いゴム状の樹脂である)
ちなみに、コンドームも、昨今はポリウレタン製もあるが、天然ゴムで製造されてきたのもうなづける。
余談だが、養蚕家では、猫さまさま。ねずみは幼虫を食ってしまうため。ネズミは天敵となる。
ところで、生糸とフランスとの関係。(先輩は、JETROの元パリセンター長であった)最大のシルクセンターはリヨン。金融機関クレディリヨネは、まさにシルクファイナンスの役割を担っていた。
19世紀、リヨンの養蚕業が不運にも病原菌でほぼ壊滅、そこで日本の生糸が長野から、八王子を経て、横浜港からマルセイユを経て、リヨンへ。フランスの絹織物を助ける。一方、フランスからはマシンを京都の織物産業へ。西陣織は、フランスの機械で、更なる進歩を遂げた。知られざる日仏の織物交流の歴史があった。
そして、富岡製糸所。決して女工哀史の世界ではないというのが先輩の見解。各藩の武士の娘が富岡にはせ参じ、故郷の期待を背負って、技術を学び、故郷に錦を飾った。まさに人材育成センターでもあったのだ。
さて、本題。生糸、天然ゴムの様に、原材料の均一性はもちろんだが、労働力における均一性こそが日本の製造業の強さではないか。文化的な同一性、均一性が阿吽の呼吸でのコミュニケ―ションが可能になる。異文化集団でのチームプレイは極度に専門性が高い分野(スポーツ、芸術等)は別として、チーム力は低下せざるを得ない。
移民政策の推進は、日本の均一性の破壊につながる。移民を増やすことにより、日本のコミュニティーを破壊し、日本の国力を低下させようとする邪悪な外国勢力の謀略、しかもこれは、10年、20年単位での執拗な日本に対する攻撃として続いていくに違いない。こうした攻撃から日本をいかに守るべきか、いよいよ真剣に考える必要があるのではないか。
小職は反ダイバーシティ、ソリダリティ(SOLIDARITY:結束力)推進派である。結束力、凝集力を高め、日本の国力を取り戻したい。
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