お客様は神様?①
①「日本人は『お客様は神様』だと思ってるから変えないといけない」⁉
最近「『お客様は神様』と思ってはいけない」という話を多く聞きます。
「日本人は『お客様は神様』だと思っているからサービスしすぎて、現場が疲弊する」「過剰なサービスや品質で提供しすぎて、生産性が悪い」「だから労働者の賃金が安い」という意味で使われることが多いのだと思っています。
でも本当でしょうか?
「現場が疲弊している」のも「過剰なサービス品質」なのも「労働者の賃金が安い」のも分かるのですが、「お客様は神様」だと思っているせいなのでしょうか?
私はそこに因果関係を感じていません。
②「お客様は神様」という考え方はサービス提供者(お金をいただく)側の想い
もともと何を勘違いしているかというと、「お客様は神様」という言葉の方向性です。
これをサービス提供者側が発することに何も問題がありません。
「そんな考え方もあるんだな」くらいのレベルです。
「そこまでお客様を大事にしているんだ」と感心する時もあります。
では何がおかしいかと言うと、これをお客様や第三者が言っているからです。
「『お客様は神様』でしょう?」と…
③当事者意識を失った管理職
当然自分のことを「私は神様だぞ!」と思っている人はお客様ではありません。
ただの頭のおかしい人であり、モンスターカスタマーです。
当然対応する現場の人たちは分かっていますし、相手をしたくありませんが、なぜだか言うことを聞かないといけない状況に追い込まれてしまいます。
直接対応しない上司が、現場の人たちにそうさせてしまうからです。
「何とかしろ!」「トラブルにするな!」「お客様だろう?」
さまざまな階層の上司が、それぞれ現場の人たちと意識が離れすぎて、評論家・第三者になっています。
④世界中にいる「魔法使い」たち
当然それを分かって、現場の人たちをかばってくれる上司もいます。
しかしそれでもクレーム化してしまうと、その上の上司が「何とかできなかったのか!」「トラブルにしないようにするのが仕事だろう!」と言い出し、現場の管理者を責めてしまうのです。
この上司たちはモンスターカスタマーの問題に対応していないどころか、解決する努力もせず、現場の人たちに「何とかしろ」と言っているだけです。
私はこういう人たちのことを「魔法使い」と呼んでいます。
「何とかしろ」と言えば、何とかなる、誰かが何とかしてくれると思っている人たちです。
魔法使いは世界中にいますが、日本は特に管理職以上、経営層にたくさんいる特殊な国だと思っています。
特に日本の大企業や公務員のような大組織は、現場の人たちが優秀で本当に何とかしてしまうため、魔法使いほど出世してしまう傾向にあります。
「半沢直樹」の世界です。
世の中の中枢にいるこの「魔法使い」たちが、日本の「現場を疲弊」させ、「過剰なサービス品質」を提供させながら、「労働者の賃金を安い」ままにしている犯人だと思っています。
②に続きます。