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無人販売所

 宮城県仙台市の話である。

 仙台市は東北地方唯一の政令指定都市であり、その指定を受ける為、過去に周囲の自治体との合併を繰り返して人口を増やし、結果として西に隣接する自治体は山形県山形市になったという逸話を持つ(らしい)。

 したがって、仙台市と言っても農村部は多く存在し、無人の野菜販売所を見受ける事も珍しくない。
 先日、ある用事でとある地区に行った際、無人販売所を見かけた。

野生の動物対策で網がかけてありますが、立派な販売所です。
1袋100円か200円、昭和のプライス(?)です

 なるほど、普段の食材購入は家内任せな筆者でも、鮮度と安さは直ぐに理解出来た。
 しかし、この日は一人で来た為、何を買って良いのかが分からず、眺めて帰る事にした。

 その刹那である、ある事に気付いた筆者は驚愕し、息をのんだ。
 「そんな!?」

ひとめぼれ玄米30kg販売開始
ーすぐにお渡しできますー
TEL 050-++++-++++
までご連絡下さい。

 電話番号が「050」、IP電話である!
 てっきり仙台の市外局番「022」かと思いきや、若い人が農業に勤しんでいる事が容易に想像された。

筆者は昭和にタイムスリップした訳でない事に安堵し、帰宅した。
(「ササニシキ」と「022」の組合せなら相当焦ったと思う)

 

~後日談~
 その地区の近くに住む知人に聞くと、無人販売所の存在は知っているが、購入した事は無いと言う。

 理由を尋ねると、「自分でも作っているから」だと言う。
筆者が納得していると、その知人は訝し気に語った。

 「あの地域は数軒しか民家の無い限界集落で、若い人は居ない。
 その先は山道で事実上の行き止まりで、わざわざ買いに来る人もいないと思う。
 本当に野菜を売っていたのか?」






 後日、再度訪れてみる予定です。

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