③ 第三劇場
三劇に入って、最初の仕事が「天界無宿」のスモーク係だった。
37年前、1986年4月、僕は芝居の裏方としてデビューした。
舞台照明で、光のすじをだすために使うスモークマシーン、(当時ロスコとかカーチスと呼ばれていた)オイルを気化させて煙をつくりだすのだが、この機械の扱い方を先輩Kさんに教わり、ダンスシーンなんかで、ガンガンにたいていた。うす暗い、ほこりの匂いのする上手ソデが、僕の最初の仕事場だった。
金土土日の4回の上演、少し緊張もしたが、劇団の一人として仲間に入れたうれしさもあった。
三劇の同期は、役者スタッフを入れて10数人だった。
いまでは、連絡をとれるメンバーは少ないが、
Tとは、巡り巡って、劇作家兼演出家と照明家として、年に1回東京の劇場で、そいつん家に居候しながら、一緒に芝居を創っている。
そこの子供たちにとっては、さぞかし不思議なおじさんだろう。
また、Fは、劇団を主宰し、岸田戯曲賞をとったが、数年前に早逝した。
子育てを終えた2人も女優として活動を再開している。
いつか、みんなで同窓会ができればいいけど、見果てぬ夢かも知れない。