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たんぽぽの憧れ②

(昨日の続きです)

さっきから、土いじりに夢中の子供たちです。
「何をしているの?」
 たんぽぽは思い切って声をかけました。
「宝物を、土の中に隠すんだ。じゃんけんで負けたおにが、それをさがす遊びだよ。」
と、冬真君と千秋ちゃん。そう言って見せてくれたのは壊れたおもちゃでした。
「宝物?」
二人はそれに答えず、一心に
土いじりを続けます。
「もういいよー。」
「はーい。」
鬼の渚ちゃんが、やってきました。渚ちゃんは、土を指で優しくなぞっていきます。
「あ、ここだ。」
渚ちゃんが、そっと土をどけると、そこにはさっきのおもちゃがありました。
 それは、ピカピカのセロハンで覆われ、リボンやビーズで美しく飾られていて、キラキラと本当の宝物のようです。
 たんぽぽはいいことを思いつきました。
「僕も土の中にうめて隠してちょうだい。」
「え、たんぽぽさんをうめるの?」
「うん、宝物のように、うめてほしいんだ。」
「わあ、なんだか楽しそう。」
 子供たちは、変わった遊びが大好きです。
さっそく三人は、じゃんけんを始めました。
 たんぽぽは、ワクワクドキドキで、胸がいっぱいです。これから子供たちの手で、桜のように美しくなるのです。

  つづく

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