【小説】それゆけ!山川製作所 (#14 財前の独り言)

どうも皆様こんにちは。
株式会社山川製作所、代表取締役社長の財前でございます

今回の社員紹介では初めて3話分のお話となりました。
2話でまとめようとしたら、10,000字を超えてしまいそうだったものでして。
いつもは何とか2話分のお話をひねり出しているっていうのに、まさか逆に収まらないなんて日が来るとは思いもよりませんでしたねぇ。


「書きたいことが多くて削るのが大変なんです」
「いやいや、私はただまとめるのが下手なんですよ」


なんだか、謙虚に言っているつもりで、大いにこちらを煽ってくる小説家が言いそうな台詞ですねぇ。
ははは、私もついにそちら側の人間になりましたか。



とか言ってますけどね。



これ、ただ単に『マルチネスアッパー』の紹介に文字数を割きすぎたからなんですねぇ!

当然、あの部分は漫画系広告を思いきり参考にさせていただいております。
もはや、機械的に打ち込んだようなものなんですねぇ。
あれがなければ、いつも通り2話でお話が完結していたことでしょう。

正直ね。
『マルチネスアッパー』のくだりは、分かる人にはわかるけれども、わからない人には全く何のことだかわからない内容なんだと思います。
非常に悩みましたよねぇ。書くかどうか。
少なくとも、万人受けはしないだろうなとは思ってましたねぇ。

でも結局は書いてしまったんですねぇ。
私も大好きなんですよ。漫画系広告。
いつも最後まで見てしまうんですねぇ。

まぁここは『書きたいことを書くのが一番』だなんて使い古された言葉をもってまとめさせていただければ、これ幸いなんですねぇ。


ところで私ね。
社内恋愛だとか社内結婚だとか、実は大いに賛成している側の人間なんですねぇ。
黒川の奴も同じでね。
今回紹介させていただいた椿木君と立川さんについては、2人でよく社長室で噂してるんですねぇ。

ただ、経営陣のみんながみんな肯定的ってわけじゃない。
役員の中にはそれをよく思っていない者もいるんですねぇ。

恋愛や結婚はすべてが上手くいく訳ではありません。
否定派の意見としては、破局した場合の2人の関係性が、会社内の不協和音に繋がりかねないというものなんですねぇ。
まぁまぁ。その意見も理解はできます。
しかしながら。


その2人が末永く幸せになった場合はいかがでしょうか。


おそらく、出会いの場となったこの山川製作所は、2人にとって特別な場所となることでしょう。
もしかしたら、会社は2人の人生において、切っても切り離せないようなかけがえのない存在になれるかもしれません。

2人がこの山川製作所により愛着を持ってくれる。
2人がこの山川製作所を人生の一部として認識してくれる。


会社を経営する者にとって、これほどうれしいことはないんですねぇ。


ハッピーエンドかバッドエンド。
その結末は誰にも予想することはできません。
結局のところ、どこまで行っても所詮人間同士ですからねぇ。


ただ私はね。
どうせ賭けるなら、より多くの社員が幸せになる可能性が高い方に賭けたいんですねぇ。

だめならだめでしょうがない。
だって人間なんですから。
私は、社員は会社にとって都合の良い存在なのではなく、社員は皆1人の人間であり、会社こそ各社員にとって生活の一部に過ぎないのだと考えていきたいんですねぇ。

いやいや、かつての私からしたら想像もできない考え方でしょう。
社員1人1人に目を向けたからこそ。何より椿木君と立川さんのような関係性を持っている人間が社内にいるということを知ったからこそ生まれた考え方なんでしょうねぇ。

私はね。
彼らは本当に幸せになってもらいたいんですねぇ。

いまだにお互いに一歩踏み出せないこの2人。
まぁ仕方がないじゃないですか。
だって、物心ついた時からそんな距離感が当たり前だったんですから。

でも、山川製作所に入ってから2人の心境は確実に変化しているように思える。
今までとは違う『社会人』という環境が、彼らに刺激を与えているのかもしれないんですねぇ。
学生時代と違って、周りには人生においてあらゆるステージに立っている人間がたくさんいますからねぇ。

2人が『その時』を迎えたその瞬間。
彼らの共通項の1つが、この『山川製作所』だということ。

とても小さなことだし、2人にとっては改めて認識すらできないかもしれないほどの些細な共通項。

だとしても、私は2人の大切な瞬間に立ち会える会社の社長であるということが、たまらなくうれしかったりするんですよねぇ。


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