司法試験下位合格者がやてみた「楽に二回試験を突破する」方法
はじめに
法曹になりたい人が司法試験合格後に受けさせられる通称二回試験
不合格者は近年だと10人前後、74期では5人しか落ちない試験といえども全員合格するわけじゃないから受ける側としたら嫌な試験
参考までに不合格者数を記載してくれているブログ記事
コロナ禍でも狭い教室に集められて本人訴訟でしかみない手書きの起案をさせられる前時代的なこの試験に、できるだけ煩わせられたくないと思ってる人も多いはず
そこでそれほど法律が得意じゃないわたし(合格順位4桁)が実際にやってみて少なくとも落ちなかった方法論を紹介してみます(74期時の情報)
あくまで落ちなきゃいいという人向けです
念のためですがこれを実践して落ちても責任はとらないのであくまで参考にとどめておいてね
成績開示がきたら成績を追記します
総論
不合格答案の概要を紹介してくれているありがたいブログ記事
不合格になる場合としては
誰でもわかる常識がない(刑事弁護なのに被告人と違うことをいうなど)
重大な事実誤認をする(原告と被告をとりちがえるなど)
形式的不備(綴り紐で答案が閉じられていない)
があげられる
あと実際に多そうなのは試験当日に体調を崩すということ
1日7時間以上もある試験を5日も受けるとなると大変だしね
体調が悪ければ問題文を読み間違えることもあるかもしれない
ということで、わたしが思った二回試験で落ちないために1番大切なことは毎科目途中退室することです
これは大真面目にいっていて、9時45分の着席から17時45分の試験終了、そして退室できないと18時20分頃まで待たせられる可能性がある
そのうえで駅からやたら離れた場所にある司法研修所から試験についてあれやこれや語りたがる修習生の群れと一緒に帰ると体調悪くなること間違いなし!
途中退室すればそんな雑音とは無縁だし駅までのバスも座って乗ることができる
答案を綴ってから出すので綴れなくて答案として無効になったみたいな事態も起こらない
だからみんな途中退室しよう!
本番いきなりやるのは精神的に難しいと思うので、集合修習の頃から途中退室を目指して起案に取り組むといいです
集合は本番よりも制限時間が短いから集合で途中退室できるなら本番でも楽に途中退室できる
自然と重要なことだけをコンパクトに書くクセがついてくるし
他の細々したこととして
試験にあたっては会場付近のホテルを6か月前くらいから確保しとくことが重要。奪い合いになるからね
試験場までの行きは駅前でタクシーを拾うのが快適。お金が苦しければ仲の良い同期と相乗りしよう(同期と仲良くなるのが難しい?そうれはそうかも)
昼食をとるかどうかはその人の体質次第。わたしは食べると眠くなるからさっさと終わらせて早く退出して早めに夕食をとってた
民事裁判
各科目の書き方について一から詳しく述べることは(面倒なので)しません
民事裁判においていちばん大切なことは最低限の要件事実を身につけていることにつきる
要件事実が終わってると事実認定の対象をも間違えて不合格一直線になってしまう
民事弁護でもある程度重要になる
じゃあどれくらいのレベルが必要なのか。大島本を読み込むとか問題集をやるとか?
答えは白表紙の「事実摘示記載例集」を写経すること
集合修習はともかく本番でこれに書かれてる以上のレベルが出てくることはまずない。少なくとも事実認定の対象となる要件事実については
だからこれにのってるものについてこのとおりに書ければ危機的状況にならない
民事裁判の事実認定は大雑把にいって
判断基準をかく → 動かし難い事実を抽出する → 事実を評価する
起案時間の多くを動かし難い事実を抽出するに費やすことになるけれど、基本的には作業なので独創性を発揮する必要はない
契約書のあるなしみたいな超重要な事実を見落とさずに積極消極どちらかに評価しやすい事実を適度に拾えば落ちはしないでしょう
民事弁護
二回試験において基本的に小問対策は必要ないと思う
その例外が民事弁護
民事弁護の小問は
司法試験までにやってきた範囲外のものが多い
問題数が多い
という特徴がある
救済措置になりやすいけどまったく対策してないとできないかもしれない
小問対策としては集合起案の復習とか他班(ABの反対側)や過去問を知り合いから手に入れてやるのがいい
知り合いをつくるのが難しい?それは(略
幸いインターネット上でもこんなありがたいサイトがあります
小問をあらかた答えられれば不合格から一気に離れるでしょう
民事弁護の起案は型がない、みんな苦戦する
ということは裏を返せばそれなりのものが書けてればいいと割り切れる
基本的には資料に出てきている主張とおりにかけばいい
資料の相談者は優秀なので最後のページには相談者のお気持ちが法的主張を書きやすいように綺麗にまとめられていている
最終準備書面ならそれまでの準備書面で主要な主張はわかるようにでている
そういうわかりきったことを項目をつけてかけばいいかな
検察
途中退室できないとしたらこの科目
検察については人によっては途中退室を妥協してもいいかもしれない
でもあんまり妥協してると本番でも時間内に終わらない可能性があるから集合の段階から早く起案するくせをつけよう
検察はまず型を覚える、ということはみんなやってるし避けられない
「終局処分起案の考え方」でまとまってるからむしろ一番型がわかりやすい
刑事裁判や刑事弁護でも基本的な考え方は同じなのでむしろコスパはいいです
いちばんの問題は分厚い資料をどう処理するかということにつきる
付箋を使うという手法もあるけど本番で配られる付箋は細くて正直あんまり使えない
わたしは、はじめに資料を読む段階で証拠一覧表をつくってた
具体的には草稿用紙に証拠の題目(検察講義案の略称)と概要とページ数をひたすらメモった
これ自体は時間のかかる作業だけど、犯人性でも犯罪の成否でも事実を引用する回数がとにかく多いから、そのたびにぱらぱら資料をめくるのは余計時間がかかる
一覧表をつくる段階でこの証拠はなにに使おうというのがみえてくる
犯罪の成否や小問では法律知識が要る場面もあるけれどそこが甘くても型通りに終わりまで書けば落ちるレベルにならない、はず
小問対策として検察演習問題なる冊子もあるけれど正直必要性はそんなにないと思う
小問対策としていえるのは先に小問を解くこと。どの科目でもそうだけど終わらない可能性のある
刑事裁判
「刑事事実認定ガイド」なる冊子があるものの刑事裁判教官はそんなに型を要求していない(わたしのところだと)感があった
よくわからない科目
型がない、というのであれば検察の型を流用すればいい
ただし認定根拠については争いのある供述部分を除いて証拠の標目をあげるだけにして、検察の型より大幅に簡略化した
理由は、
刑事裁判には枚数の目安が指定されていて根拠を細かくかいていると目安を大幅に超えること
集合修習を通じてなんとなく、刑事裁判教官は事実の評価において悩みをみせたほうが評価が高そうな印象だったこと
とふわっとした理由だけど落ちなかったのでヨシ
刑事裁判の小問もあまり対策する必要性は感じない
やりたければ司法試験時代に使ってたまとめノートや参考書を読み返すくらいでいいと思う
刑事裁判では無罪で起案すると落ちるという説があるけど正直眉唾かなー
74期は事実認定問が2問あって片方を無罪で書いたけど落ちはしませんでした、参考までに
刑事弁護
刑事弁護は書き終えるだけなら14時頃には終わる、個人的には最も楽な科目
そのかわりどうしたら高評価になるのかはよくわからない
刑事弁護で気をつけることはただひとつで、依頼者に逆らわないこと
無罪主張してるのに有罪路線で書いたりしない
これさえ気をつければ落ちはしないと思う
刑事弁護はすでに出来上がってる検察の主張を崩せばいいので書く対象がはっきりしてる
要は
直接証拠は信用性を否定する
間接事実は事実がないか推認力が乏しいとする
供述の変遷については型どおりかく(「みんなでつくるケース・セオリー」20ページくらいから参照)
成立する間接事実と両立するケース・セオリーを提示する
と無罪主張ならこうなる
刑事弁護の小問対策もそんなに対策が必要なタイプではなく初見でもなにかしら書けそうなタイプの問題
なのでなにかしらをする必要はないと思う
まとめ
ということでわたしの二回試験対策を修習の時系列順に並べると
事前課題~導入修習では「終局処分起案の考え方」で検察の型をしっかり覚える(刑事裁弁や刑事弁護はそれを流用する)
導入修習で民事裁判の判断過程~動かし難い事実の仕方は覚えておく
友達ができなさそうなら導入修習の民事弁護のレジュメはしっかり保管しておく
実務修習中盤くらいに二回試験のための宿をとっておく
要件事実に不安があるなら実務修習以降時間があるときに「事実摘示記載例集」を写経する
選択修習・集合修習の時期に民事弁護の小問対策をする
集合修習は頑張って途中退室できないか模索する
二回試験はなるべく途中退室して体調に気をつける
ではみなさんよい修習生活を!