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おばあちゃんは小学生に似ている ~私の寂しさの治し方~
空の巣症候群に陥る
子どもが大学進学で巣立ってから、ずっと胸元が寂しかった。
それまで高校生の子を抱きしめていた訳ではないけれど、保護すべきものが無くなった寂しさでスースーするのだ。手のやり場がなくて、何かを抱きしめたくなる。
ペットがいればと思うが、あいにくアレルギー体質。犬に舐められて蕁麻疹が出たことがあるし、ホームステイ先にネコがいて鼻水が止まらなくなったことがある。
子どもってなんてすてきな存在だったんだろう。好きなときにいつでもギューッて抱きしめることができた。それがどんなに幸せなことか、育児の渦中には考える暇もなかったけれど。
介護の仕事に出会う
ポッカリ開いた穴を埋めようと、いろいろやってみた。勉強したり、派遣で働いたり、頑張りすぎて病気になったり。
ついには入院して手術を受け、医療関係者に大変お世話になった。命を救う仕事に向き合う方々に頭が下がった。助けていただいて、ただただ感謝しかない。
その恩を少しでも返したくて、私は介護の仕事に就いた。高齢者施設での訪問介護だ。
仕事に少し慣れたころ、おばあちゃんたちの体格が小学生に似ていることに気づいた。年を取って背が縮まり、肉付きもそれなりに落ちている。そして、高齢でも女性だから柔らかい。
体に手を回して介助すると、なんか良い抱き心地なのだ。かわいいものを手中に収めたみたいにホッコリする。
介助するとオキシトシンが出る
語弊がありそうだが、私はおばあちゃんたちに触れるのが楽しみになった。
人様に触らせていただけるのは、この仕事の特権。ベッドから車いすへ、車いすからトイレへなど、全介助の移乗も苦ではない。お下のお世話をしたり、お風呂で体を洗ったり。パーソナルスペースに入ることを許され、受け入れてもらえたと感じる。
ニコニコしているおばあちゃんだと、移乗のついでにずーっと抱きしめていたくなる。いかつい性格のおばあちゃんでも抱き心地はいい。自分より小さい存在に母性本能をくすぐられ、なでたりさすったりしたくなる。が、ベタベタされるのが嫌いな方もいるので、ちゃんと自粛はしている。
それでも、少しずつ触れるたび、私の中でオキシトシン(幸せホルモンの一種)が放出されるのか、硬くなっていた心が和らいでいく。相手の重みと体温と柔らかさを感じ、私は癒やされる。利用者さんの中にもオキシトシンは生まれているだろうか。
支援しているのに癒やされている
ふと気づけば、私の胸元の寂しさは消えていた。高齢女性たちの癒やし効果は絶大だ。
支援しているつもりなのに、実はもっと大きなもので包み込まれているのかもしれない。彼女たちの放つ母性愛のオーラのようなもので。
やっぱり、大先輩の女性たちにはかなわない。
介護の仕事には、机上の仕事では味わえない温かい充足感がある。
空の巣症候群や、何らかの理由で寂しさを抱える人たちに、こんな解消の仕方もあることを伝えたい。ミッドライフ・クライシスを迎え、第2の自分探しをしている方々にも、介護という分野に目を向けていただけたらと思う。
※ 以下のサイトで、幸せホルモンの出し方が学べます。ご参考まで。