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思いがけない優しさに触れる
今日、仕事でとても嬉しいことがあった。
仕事はイタリアンのホールをしている。
11時OPEN。
本日、スタートからのお客様の入りはそれほど多くなく、いつも通り仕事をこなしていた。
それから、ご予約のお客様が4,5組ほどいらっしゃり、フリーのお客様も含めてそろそろ席も残り少なくなってきた頃、お店の入り口でお待ちのお客様がいらっしゃった。
50代後半くらいの女性と、その方のお母様といった方の、お二人。
「ご予約のお客様ですか?」
「え?予約してないけど… ここ予約しないと入れない高級店なの?」
「いえ、そういうわけでは…。ご予約される方もいらっしゃいますので、確認致しました…
少々お待ちください」
(心の声)
キッチンにオーダー済みの表を見て、4組オーダー済みの方がいらっしゃる、まだお客様入れても大丈夫だ。店内入ってすぐのところにフリーのお席がある。うん、入れられる!
「ご案内致します」
「あ、入れるんだ」
メニュー説明をして、お水を持っていき、ご注文を伺う。
50代後半くらいの女性が
「お店の前にディスプレイのあった、パスタとお肉と野菜がのってる◯◯円の、2つで。デザートと飲み物は、また後で考える」
当店で人気のメニューをご注文される。
まずはサラダとパンを提供し、暫くしてメインが出来上がり、お席までお持ちする。
親子なのかな、二人で楽しそうにお食事されているなぁと、思っていたら、お母様の方が私を手招きでお呼びになった。
「あのね、私日本人だから、あったかい日本茶が飲みたいんだけど。」
「申し訳ございません、日本茶はご用意はないのですが…紅茶ならございますが。」
「そうよね、わかった。」
そうだよなぁ、やっぱり緑茶って、高齢の方は飲みたくなるよね…。私も大好き。
それから、他のテーブルのお料理を運んだり、カッフェを準備したりしていると、また、あのお母様が私をお呼びになった。
「いかがなさいましたか?」
と言ったか言わないかの間に私の両方の腕を握ってこられて、
「私、80も過ぎてるから、嬉しいことがあったら、200%嬉しいの。これ、あなたにあげたいと思って。貰えないって知ってるけど、もう、あなたにあげるから。美味しいのよ。」
「本当はいただけないのですが…でも、お気持ち嬉しいです、ありがとうございます。」
お母様が、何がとても嬉しかったのかは、具体的にお話しされなかったのでわからなかったのだが、お客様とのやりとりに誠意を込めた対応をすることだけは心がけているだけで、心当たりはなく、いつも通りの対応だった。
お客様から思いがけない優しさに触れ、ほっこりして、忙しい仕事の合間に、少しだけ心があったまった。
仕事終わり、お菓子をいただき、小倉餡の優しい甘さにも癒された。
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