「朗読とヴィオラダガンバで届ける愛の詩」に寄せて⑬
「朗読とヴィオラダガンバで届ける愛の詩」に寄せて⑬
今回の朗読プログラム内で
マックス・ダウテンダイの詩を
菅原敏さんの現代語訳で取り上げます。
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マックス・ダウテンダイ(1867〜1918)
ドイツの作家、詩人。
ヴュルツブルクに
写真士の息子として生まれる。
この時期は文学史的には写実主義の時代で、
先行のロマン主義を否定し
社会の現実に目を向けて
これをありのままに描こうとする作家たちが主流を占めていた。
学業が苦手であった少年ダウテンダイに
父親は家業を継がせようと
3年間彼をアトリエで使うが、
幼少時より夢想家で定住意識が薄く、
また画家を志していた息子は
父の実践的な仕事を嫌い
結局最後には父も折れてしまう。
作家として住んだベルリンを皮切りに
ダウテンダイは、スウェーデン、ミュンヒェン
ロンドン、パリなどヨーロッパ中を転々とし
各地の文人と交わる。
スウェーデンではストックホルムの豪商の娘
アニー・ヨハンソンと知り合って結婚し (1896年)、
1897年から 98年にかけて
彼女と一緒にニューヨークとメキシコに旅行する。
1905年には一旦故郷のヴュルツブルクに落着くが
それも束の間
1905年 12月から1906年 8月にかけて、
エジプト、インド、中国、日本を経て
ハワイ、アメリカ本土へと渡り
ロンドンを経由して帰国するという
長駆の旅を成し遂げる。
1914年 彼は再びアジア旅行に出る。
スマトラ島、ジャワ島、
ドイツ領ニューギニアまで達するが
同年7月 28日に勃発した第一次世界大戦の為に
捕われの身となって抑留生活を余儀なくされ
本人のみならず
本国の妻や友人たちの努力も実を結ばず
マラリア感染病と望郷の念を抱えながら、
1918年 8月 29日ジャワ島のマラングで客死する。
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色彩と色調によってなされる
自由でリズミカルな詩と散文により、
ダウテンダイはドイツにおける印象派の
最も重要な代表者の一人となった。
彼の作品は、
自然への愛とその美学にあふれ
彼は言語に対する卓越した才能を持ち、
官能的な印象に対する感性を
印象派の言語芸術作品に翻訳したとして
高く評価されている。
「紫外線」(1893)と題された彼の最初の詩集は、
色、香り、色調、気分の詩的に設計された
印象派の視覚力の始まりを示すものであり
日本滞在時に着想を得たと推察される
「琵琶湖八景」(1911)は、
彼の作品の芸術的なハイライトと言われる。
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演奏会のご案内
〈朗読とヴィオラ・ダ・ガンバで届ける愛の詩〉
『かのひと 超訳世界恋愛詩集』菅原敏
マラン・マレ 「人間の声」「アラベスク」他
2024/3/16(土)
淡路町カフェカプッチェットロッソ
11:30〜、14:30〜
3500円 ドリンク&お菓子つき
完全予約制