あさくら的サイクリング
「深夜徘徊は若人の特権だから奪わないで上げてほしい(でも捕まったらその時はおとなしくしなさい)」という全面同意レベルのTweetが流れてきたので、自分が10代だったころを振り返りつつ。
大学1年の夏、自転車を買った。
私は1浪していて、かつまだ10代だったのだから、大学1年のことで間違いない。あと幾日かでハタチを迎えようかという休みに、小遣いでクロスバイクを買った。父に購入を咎められないよう、都内の量販店でだ。
(私は父との相性が決定的なまでに悪く、ほぼ絶縁状態にある。子供がいることさえ教えていないほどだ)
購入したクロスバイクはルノー社のもので、クロスバイクはいうものの、車輪は細くなかった。ちょっと良いパパチャリといったところか。
値段は3万円した。高性能なクロスバイクに比べれば一枚も二枚も劣るが、大学1年生にとっては大金だ。ただ、3年ほど恋焦がれたシリーズということもあって福沢諭吉A,B,Cとの別れを惜しむことはなかった。
池袋の量販店を後にして、新品のサドルにまたがる。今までママチャリにしか乗ったことがなかったので、勝手が違い、少々手こずった。それでもなんとか護国寺の坂を下り、水道町を神楽坂方面に登り、神楽坂から靖国通りへ向かう。試走もかねて、わざわざアップダウンの多い道を選んだのだ。
靖国通りの舗装された道は自転車で走るのに最適で、お濠からの涼しい風も相まってとても爽快だった。初夏の陽光に照らされた水面を見ながら、私は大学へとペダルを漕いだ。
すでに契約済みの駐輪場へ愛機を停める。守衛に挨拶をして大学を後にする。ふとガラス張りの校舎の窓に目をやると、逆光に映る私の相貌は少し上気しているように見えた。それは暑さによるためだったのか、はたまた。
数日前からある計画を立てていた私は、金曜日の朝食を食べながら、母に「友人宅へ泊まるので明日の朝に帰る」と伝えた。先に出た弟によれば、彼は部活の友達とごはんに行くらしい。帰りは遅くなるそうで、母は「じゃあ今日私一人だから奮発しちゃおうかな!」と楽しそうだった。父?知らん。
その日は数時間後の計画が楽しみで仕方がなく、どうにも上の空だった。
授業はなんだったか……。金曜だから英語はあった気がするが、それ以外はろくすっぽ覚えていない。
ようやく5限のチャイムが鳴ったので、校内のセブンイレブンで簡単なご飯――当時ハマっていたねぎ塩だれの豚カルビ弁当と唐揚げ棒――を買って、駐輪場に向かう。
そう、何を隠そう、この計画とは!
自転車で都内を夜通し走り回ることだったのだ!!(しょぼい)
今では許されないことだけど、当時の私は小さなMP3プレイヤーで音楽を聴きつつ自転車を漕ぐのが大好きだった。その日も事前に入れておいたアルバムを準備している。これから12時間を共にする相棒だから選抜に選抜を重ねたアルバムたちだ。用意が整ったことを確認した私は、華金の明かりが煌めく薄暮の帝都へと漕ぎだした。