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「スケーリング・ルートプレーニングの極意:20年の経験から学んだテクニック」
歯科衛生士として20年間、数えきれないほどのスケーリング・ルートプレーニング(SRP)を行ってきました。この基本的でありながら非常に重要な技術は、歯科衛生士の腕の見せどころと言えるでしょう。今回は、長年の経験から得た知見と、新人の頃に苦労した点を踏まえて、SRPの極意をお伝えします。
1. 適切な器具の選択と把握
SRPの成功は、適切な器具の選択から始まります。私が新人だった頃、器具の種類の多さに圧倒された記憶があります。しかし、各器具の特性を理解し、患者さんの口腔内の状況に応じて適切に選択することが重要です。
• キュレットの種類(グレーシー、ユニバーサル)とその使い分け
• 超音波スケーラーと手用器具のバランスの取り方
• 器具のシャープニングの重要性と方法
適切な把握方法も重要です。ペングリップやモディファイドペングリップなど、状況に応じた把握方法を習得することで、より繊細で効果的な操作が可能になります。
2. 触診の重要性
SRPの精度を高めるには、優れた触診能力が欠かせません。これは経験を積むことでしか得られない感覚ですが、意識的に練習することで上達が早まります。
• 歯石の検出方法(エクスプローラーの使用法)
• 根面の性状の把握(粗造感、滑沢感の区別)
• ポケット内の炎症の程度の判断
3. 患者さんへの配慮
技術面だけでなく、患者さんへの配慮も重要です。痛みを最小限に抑え、リラックスした状態で治療を受けていただくことが、良好な結果につながります。
• 適切な麻酔の提案と使用
• 患者さんの反応を見ながらの作業
• 休憩を適宜取り入れる配慮
4. 効率的な作業順序
限られた時間内で効果的なSRPを行うには、効率的な作業順序が重要です。私は以下のような順序で行っています。
• 超音波スケーラーでの大まかな歯石除去
• 手用器具での細部の作業
• 仕上げのポリッシング
この順序は患者さんの状態によって適宜調整しますが、基本的な流れを持つことで、漏れなく効率的に作業を進められます。
5. 技術の継続的な向上
SRPの技術は、経験を積むほど向上します。しかし、意識的な努力も必要です。
• 定期的な研修への参加
• 新しい技術や器具の積極的な導入
• 同僚との情報交換や相互チェック
6. 術後の管理とフォローアップ
SRP後のケアも重要です。患者さんへの適切な指導と、定期的なフォローアップにより、治療の効果を最大限に引き出すことができます。
• 術後の注意事項の丁寧な説明
• ホームケア指導の重要性
• 定期的なリコールの設定
最後に、SRPは単なる機械的な作業ではありません。患者さん一人一人の口腔内の状態、全身の健康状態、そして生活習慣を考慮した、総合的なアプローチが必要です。20年の経験を通じて、この技術が歯科衛生士の真価を問うものだと実感しています。
新人の皆さん、そして復職を考えている皆さん。SRPの技術向上には時間がかかりますが、諦めずに練習を重ねてください。患者さんの健康に直結するこの重要な技術を磨くことは、歯科衛生士としての誇りと自信につながります。共に、より良い口腔衛生の実現に向けて、技術を磨いていきましょう。