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歌うこと
小さな頃から歌うことが大好きだった。
わたしが結婚するまで住んでいた実家は、コーポラティブハウスといって、広さも、間取りも、デザインも、住む人が自由に決められるという、40年ほど前の名古屋ではとても珍しいスタイルのマンションだった。
ある人の家は二階建てになっていたり、ある人の家にはグランドピアノが中心にある家だったり、ある人の家のベランダは大勢でBBQができるほどに広かったり。
共有部分もとってもおもしろくて、剥き出しのコンクリートのお洒落な壁や、窓の向こう側に植物が植えられ、それが一枚のキャンバスのようにいくつか並ぶエントランス、各階で違う色のエレベーターの扉、普通の階段と螺旋階段の2つある階段は、小学校の頃、どっちの階段で行った方が早く着くかよーいドン!の競争を姉とよくやっていた。
今でもとっても気に入っている実家だ。
そんな実家のマンションが出来上がったばかりの頃、住人同士の会合があって、みんなが真剣に話し合っている中、当時、3歳くらいだったわたしは、「キラキラ星」を急に歌い出して、みんなを和ませたことがあるらしく、わたしが歌好きなことを父に話すと、決まっていつもこのエピソードを聞かされる。
母親も歌は大好きで、朝、わたしたちを起こしにくる時は、必ずオリジナルのおはようソングを歌いながら起こしにくる毎日だった。
家の中では、誰かの(特に姉とわたし)大声の本気モード鼻歌が飛び交うのは日常茶飯事で、誰かが歌っている鼻歌を、無意識に聞いてる誰かが、数分後に同じ歌を歌い出して、「うつったー!」と笑い合うのは我が家のあるあるだった。
お風呂の時間は毎回みんなの大合唱が響く。
マンションだから歌声も外までよく響くのだけれど、そんなの気にして歌うことをやめる選択は誰もとらなかった。
中学になると、合唱がとても有名だったから、先に入部していた姉のススメもあって、迷わず合唱部に入り、合唱漬けの青春時代を過ごした。
高校も合唱の有名な学校に行きたくて、まったくの勉強嫌いが好きに変わるほど勉強に明け暮れ、下の下の成績が、上の下くらいまでにあがったこともあったけれど、集中力が最後まで続かなくて結局落ちてしまい、青春そのものだった合唱人生はしばらく絶たれてしまうことになる。
が、しかし、25歳くらいの時に、落ちた高校のOBがやっている合唱団をたまたまみつけ、興奮冷めやらず即決で入団。
在籍は一年ほどではあったが、学生時代の果たせなかった想いや願いを思う存分味わうことができ、合唱に対する執着はあとかたもなく消えた。
最近は子どもたちと3人でカラオケに行くのが日常化しつつある。
子どもたちは歌うことはしなくて、ずっと誕生日に買ってもらったSwitchをやっているから、永遠にワンマンショーができるのも嬉しい。
お昼のフリータイムの時間だと5時間くらいは歌いっぱなしでも全然平気だ。
いつもの歌を一通り歌ったあとは、おかわりタイムをはさみ、懐かしの昭和のあの歌この歌までたっぷり歌えるのがほんとうに楽しくて楽しくて仕方がない。
先週は、久しぶりにドリカムの「雪のクリスマス」が気になって歌ってみたら、季節も相まってか懐かしさが込み上げてきて、すぐにアップルミュージックに入れて毎日エンドレスで聞いたり、車の運転中に大音量にしてエンドレスカラオケをしている。
それができるから車の運転も好きだ。
わざと遠回りして、永遠にドライブしていたい気持ちになってしまうほどに。
そうそう、
一つ言っておかないといけないのは、
わたしは歌は上手ではない。
音域もせまいし、
音程もよく外れる(笑)
でも歌うことは好き。
聞くことも好き。
とってもとっても大好き。