僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第52話 怖い顔のおじさんと女子大生(12)
#創作大賞2023
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第47話 怖い顔のおじさんと女子大生(12)
今は日本の太古や中世の時代……。
明治、大正、昭和の大東亜戦争終了後直ぐの。
焼け野原の中の闇市ではないのだから。
人買いや見知らぬ男に強引に抱え、背負われて連れ去られる事はないからな。
お嬢様達は、ちょっとファンタジー映画やアニメ、マンガ、小説の読み過ぎで被害妄想……。
イタイ仕様におなりなのでは? と。
俺【紫芋けんぴ】は、最後のお嬢様達、御二人の事を思ってしまう。
まあ、そんなことを俺【紫芋けんぴ】が思っていると。
「おじさん。おはよう! これ、貰っていくね」と。
「あっ! うちもいる。うちもいるから。『パクン!』うん! 美味しい。おじさんありがとう」と。
大学生のお嬢様達と格闘?
自身のブルドッグ顔で相変わらず。
可愛くない笑みを浮かべつつ。
女子大生のお嬢様達へと。
「早ぅ~。儂の許へと来い~」
「早ぅ、食べにこんかぁ~」と。
食品トングで俺【紫芋けんぴ】を掴みつつ、手招き──。
家の怖い顔のおじさんが使用している販売ブースへと。
女子大生のお嬢様達にくるようにと急かし、嘆願するおじさんの耳へと。
若い女性の声──。
それも大変に明るい声音で家の怖い顔のおじさんへとお礼の言葉……。
そう、販売台の上に置いてある試食の入れも物から。
俺【紫芋けんぴ】や【芋かりんとう】、【ブルーベリー】の仲間達……。
家の怖い顔のおじさんが取り扱う商品アイテムの試食を。
道の駅店内へと足早に向かう若いOL風の御姉様達二人が試食を勝手に。
自身のしなやかな指先でとり、掴んで。
自分達の艶やかな唇を開き。
『ポイ!』と放り込んで。
家の怖い顔のおじさんへと微笑みながらお礼を告げ。
「またねぁ~」
「後でぇ~」と。
手を振り、店内へと向かい。
それを家の怖い顔のおじさんが。
『こらぁ、あああっ! お前等ぁっ! 何をしちょぉるんじゃぁ! えぇ加減にせぃよぉっ!」と怒号を吐く訳でも無く。
「ああ、お姉さん達後でなぁ~」と軽いノリ。
そう、家の怖い顔のおじさんが、真っ赤な顔をしながら憤怒する訳でも無く。
気さくにOLの御姉さま達へと言葉を返し、手まで振り返す様子を女子大生のお嬢様達は凝視した。
各自各々が耳にしたから。
女子大生のお嬢様達皆が一斉に。
「(あれ?)」と脳裏で思い。
でっ、その後はと申すと?
「(何?)」
「(何々?)」
「(何が起きたの?)」と。
女子大生のお嬢様達、各自各々は首を傾げれば。
「(今のお姉さん達は確かに。試食を勝手に食べたわよね?)」と。
各自各々が自身の脳裏で呟き。