僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第57話 怖い顔のおじさんと女子大生(17)
#創作大賞2023
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第57話 怖い顔のおじさんと女子大生(17)
そう、今日から俺【紫芋けんぴ】のマドンナになった。
眼鏡の大変に良く似合う。
麗しい女子大生の御姉様に対しては。
「この【紫芋けんぴ】の原料になっている紫芋は、このブルーベリーのドライフルーツよりもアントシアニンを多く含んでいるから目にはえぇし。女性には美容、肌にもいいから。儂好みのお姉さんは。貴女好みでもっと美しくなれるから。ほら、ほらもっとこの【紫芋けんぴ】を食べてみぃ」と。
家の怖い顔のおじさんは、女子大生のお嬢様達の中でも、だけではないね?
只今この販売ブースへと集っているお客様達──老若男女合わせても。
何故か、家の怖い顔のおじさんに対して、一番反応が良いと言うか?
一番愛想の良い、ヲタクなお嬢様へと。
家の怖い顔のおじさんは彼女を急かすように。
あの華奢な掌の上に。
俺【紫芋けんぴ】だけではなく。
その他のお菓子の試食も次から次へと乗せていくから。
「おじさん、私こんなに沢山の試食を食べられないから」と。
俺【紫芋けんぴ】のマドンナ様は、家の怖い顔のおじさんへと苦笑いを浮かべつつ彼女は。
不満なのか?
歓喜しているのか?
俺【紫芋けんぴ】にも良くわからない声音を漏らしつつ。
家の怖い顔のおじさんへと試食の拒否を告げる。
それでも家の怖い顔のおじさんは。
俺【紫芋けんぴ】のマドンナ様の華奢な掌の上に素知らぬ振りをしつつ。
お菓子や珍味、ドライフルーツの試食を相変わらず、次から次へと乗せていく。
「──ほら、もっと食え。えぇから食え。もっと食べてみぃ。食べてみろと言うちょぉるじゃろうに。食え、食え」と。
家の怖い顔のおじさんは、俺【紫芋けんぴ】のマドンナ様へと強気! 強引!
傍から家の怖い顔のおじさんの様子を見れば。
『おじさん、これって任意? 強制? 一体どちらなの?』と訊ねたくなるような試食の渡し方を。
俺【紫芋けんぴ】のマドンナ様へと家の怖い顔のおじさんは。
自身の知人や娘、孫……。
彼女や嫁さんでもないのに。
自身の物のような強きな、発言と強引さで。
試食を彼女の掌の上に、男らしく置いていくものだから。
最初は『うぎゃぁっ!』、『ぎゃぎゃ』と騒ぎ、喧騒していた。
俺【紫芋けんぴ】のマドンナ様も。
「おじさんありがとう」と。
彼女は照れ恥ずかしそう言葉を漏らすだけ。
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