僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第48話 怖い顔のおじさんと女子大生(8)
#創作大賞2023
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第46話 怖い顔のおじさんと女子大生(8)
『お兄さん、お姉さん達。この【紫芋けんぴ】ならば、苦ぅもないしのぅ。美味いじゃろぅ?』
『美味しいじゃろぅが?』
『うん、美味い』
『美味しい』
『これならば私も』
『僕も』
『俺も』
『うちも』
『儂も食べられるわ』と。
家の怖い顔のおじさんは。
先程兄ちゃんが『美味い!』と頷き。
俺【紫芋けんぴ】の味に対して太鼓判を押し! 絶賛をすれば。
その後は、自身の周り。
中の道の駅にお借りしている販売ブースへと。
家の怖い顔のおじさんがタヌキ、ブルドッグの手招きで、誘い。
意図的に集めたお客様達へと。
俺【紫芋けんぴ】が入った商品を見せつつ、大変に大きな声──。
もうそれこそ?
この道の駅の店舗の前に設置してある駐車場スペースや。
向こう側の出入り口に。
トイレへと向かう人達が。
家の怖い顔のおじさんの大きな声──演説みたいな大きな声色に驚き。
自身の足が止まり。
こちらの様子。
(う~ん、一体、あれは何をしている?)
(あそこで何を販売しているのだろう?)
(う~ん、気になる?)
(気になるから、後で様子を窺いに行ってみようかな?)と脳裏で呟くぐらいの声を。
家の怖い顔のおじさんのはわざと。
そう、意図的に声を出しながら叫び、商品説明をするのだ。
今度は俺【紫芋けんぴ】だけではなく。
他のお菓子達の試食も。
「ほら、これも食べ」、
「ほらぁ~。これも食べるんじゃぁ~」、
「これも、美味いじゃろう~」
家の怖い顔のおじさんは高らかに叫びながら。
俺【紫芋けんぴ】だけではなく。
他のお菓子達もお客様達へと試食をさせて。
『美味い』
『美味いじゃろう』と訊ねて回る。
それも俺【紫芋けんぴ】のライバルの一人である【ブルーベリー】の奴も試食をさせて。
「これがブルーベリーの実じやぁ。どうじゃ、甘酸っぱくて美味しいじゃろぅが?」と。
お客様達へと訊ねる行為──。
俺【紫芋けんぴ】のことを裏切る行為、悪態を平然とする。
だから『フッ、フゥ、フゥ~ン』と言った感じ。
そう、高飛車な感じで【ブルーベリー】の奴が俺のことを生意気な顔──。
侮り、蔑むような表情で【紫芋けんぴ】のことをニヤニヤ薄ら笑いを浮かべつつ見てくる。
だって【ブルーベリー】の奴を試食したお客様達は次から次へと自身の口を開け。
「う~ん、美味いな、ブルーベリーは」と。
お客様が一人呟き絶賛すれば。
「本当にプチプチとした食感で、美味しいわ~。このブルーベリーの実は~」
「うん、確かに。この余り甘くない。甘酸っぱい味わいがまた良いよねぇ。いくらでも食べられるって感じだね」
「ああ、確かに。歯の悪い儂でもこのブルーベリーの実ならば。いくらでも食べられるの」と。
この後も俺【紫芋けんぴ】ではなく。
【ブルーベリー】の奴を褒め称え、絶賛する声が多々上がるから。
あいつ! 【ブルーベリー】の奴は!
更に俺【紫芋けんぴ】に対してニヤニヤと苦笑を浮かべるから。
この俺【紫芋けんぴ】さまへと【ブルーベリー】の奴は喧嘩を売っているのか! と。
俺【紫芋けんぴ】は、自身の脳裏で思いつつ、奥歯を噛みしめ、歯痒いな! と思い。
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