僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第47話 怖い顔のおじさんと女子大生(7)
#創作大賞2023
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第47話 怖い顔のおじさんと女子大生(7)
だから俺【紫芋いもけんぴ】は、今の台詞。
この俺【紫芋けんぴ】への侮辱とも言える悪態を聴けば。
このクソガキメ、喝! を入れてやろうか! と。
俺【紫芋けんぴ】は、荒々しい衝動へと駆られる。
だからこの俺【紫芋けんぴ】の固い肢体で、悪態をついたやつへと体当たりを決行しようと思えば。
「でも、この紫芋かりんとうは美味しいから。これならば僕でも食べられるよ。おじさん」と。
その若い兄ちゃん……。
まあ、家の怖い顔のおじさんの、お店の固定客の一人なのだが。
家の怖い顔のおじさんへと、俺【紫芋けんぴ】は大変に味が好いからSNSで、自身が調べた時に記載をしていた。
苦みが多く、余り美味しい芋ではないので飴で煮詰め、炒め、あえる。
【大学いも】にして食べるのが良いと記載していたが。
俺【紫芋けんぴ】ならば。
兄ちゃんの手も汚れずに食べられると。
俺【紫芋けんぴ】の事を絶賛! 褒め称えてくれた。
だから家の怖い顔のおじさんは。
「お兄さん、そうじゃろぅ。そうじゃろぅ。この【紫芋けんぴ】は、儂の言う通りで。ほんまに美味しいじゃろぅが?」と訊ね返すから。
兄ちゃんは「うん」と頷く。
まあ、頷くからね。
家の怖い顔のおじさんは、ニヤリだ。
とても気持ち悪く、いやらしい笑みを浮かべるのだよ。
(しめしめ、儂のトークに引っかかりおったな、この兄ちゃんは)と。
家の怖い顔のおじさんは商い……販売の最中になると。
あの古の名軍師達……。
諸葛良孔明や司馬懿仲達、龐統士元に賈詡、荀彧と荀攸、魯粛に陸遜……。
あの悪名高い董卓仲頴の覇道を陰で支え、天下人へとした李儒等……。
その他にも多々いる古の英雄達と変わらぬ知略を用いて。
家の怖い顔のおじさんは、お客様達へと。
俺達お菓子……。
家の怖い顔のおじさんと絵里ちゃんがせっせと。
心を込めて内職し、袋詰めした商品を。
家の怖い顔のおじさんは、この場に居るお客様達へと。
『今日は買わんでえぇ、試食だけでえぇから』と笑いながら告げた筈なのに。
今からお客様達へと買わせる。
そう、お客様達へと押し売りを決行し、『買わせよう』と。
自身の知略を絞りつつ、試み始めるのだった。
◇◇◇
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