僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言)第14話 怖い顔のおじさんとJK(1)
#創作大賞2023
#お仕事小説部門
#お仕事 #移動販売・対面販売 #ラブコメ・恋愛 #おじさん #駄菓子・豆菓子・珍味・ドライフルーツ #未亡人・JK少女 #女子大生 #人妻
第14話 怖い顔のおじさんとJK(1)
「おはよう。おじさん」
「……ん? ああ、絵里ちゃんか……。おはよう」と。
家の怖い顔のおじさんが、自身へと声をかけてくれた麗しいJKの少女へと
無表情、無感情……。
余り嬉しそうに声を返さなないものだから。
大変に麗しく、煌びやか……。
そう、只今天に昇る最中の、御日様のようなニコニコ笑みを浮かべる少女は。
少しばかり不服のある顔……。
自身の頬を膨らませながら。
自身へと興味を示さない……。
そう、このJKの美少女絵里ちゃん【チョイワル】の娘さんだから。
家の怖い顔のおじさんへと不満を漏らしてくると言うことはないのだよ。
だって家の怖い顔のおじさんは。
今日のお仕事。
僕【芋かりんとう】を含めたお菓子、豆菓子、珍味、ドライフルーツ達を販売して。
その日の糧を得るための店だし。
この道の駅の販売ブースに。
販売台を組み──。
僕【芋かりんとう】達を並べている様子を絵里ちゃんは。
少しばかりチョイワル、ヤンキーなJKな娘さんだけれど。
只今天使の笑みを家の怖い顔のおじさんへと注ぎながら。
彼の大きな背を見詰めている。
だから絵里ちゃんは家の怖い顔のおじさんと。
早朝に会えば必ず告げる言葉を今日も、50歳を過ぎても未だ独り身、独身であり、寂しい思いをしながら生活をしている。
家の怖い顔のおじさんと優しく呟いてくれるのだ。
第15話 怖い顔のおじさんとJK(2)
「今日も朝からせいがでるね。おじさん……」と。
だからうちの怖い顔のおじさんは手休めをしながら……はないのだよ。
家の怖い顔のおじさんは何だかんだと言っても照れ屋だから。
JKの麗しい、美少女絵里ちゃんの天使の笑顔が眩しすぎるから。
家の怖い顔のおじさんもね。
これまた、いつもの通り、調子でね。
絵里ちゃんに自身の大きな背を向けたまま。
「ああ、そうなだね」と。
家の怖い顔のおじさんは、当たり障りのない台詞を漏らし、終えると。
「今日も学校の方を頑張れよ」と。
絵里ちゃんに今日も叱咤激励をするのだよ。
だから絵里ちゃんは更に、家の怖い顔のおじさんへと天使の微笑みをくれながら。
「うん、頑張る」と。
彼女は頷きながら言葉を返す様子が。
僕【芋かりんとう】の目に映るのだが。
まあ、この道の駅へと家の怖い顔のおじさんが店頭販売をしに来た時の、いつもの早朝の出来事だから。
僕【芋かりんとう】もいつもの日常行事なのだからと気にはしないし。
この二人のやりとりを見ていても。
僕【芋かりんとう】自身が、己の胸をドキドキ、ハラハラとさせることはないのだ。
家の怖い顔のおじさんと絵里ちゃんは孫と言っても差し支えないぐらい。
家の怖い顔のおじさんとは歳も離れているわけだからと。
第16話 怖い顔のおじさんとJK(3)
僕【芋かりんとう】が二人の仲を説明したところで。
家の怖い顔のおじさんが、只今どんな作業をしているのか? と。
僕【芋かりんとう】が申せばね。
家の怖い顔のおじさんは、家の近所にあるホームセンターで加工をしてもらって製作をした販売台──。
その販売台に遠目から人目につくようにと。
赤いサテン生地の布地を販売台の上に敷き、角を押しピンで止めると。
家の怖い顔のおじさんの大きな手で、僕【芋かりんとう】含めたお菓子、珍味、ドライフルーツなどが、袋でパッケージされた商品を丁寧に並べながら。
家の怖い顔のおじさんが黙々と作業を続けていると。
JKのチョイワル美少女の絵里ちゃんが、家の怖い顔のおじさんへと声をかけ、挨拶をしてくれた。
だから家の怖い顔のおじさんは、絵里ちゃんへと背を向けたままだが。
自身の娘や孫に声をかけてもらっている気分に陥るから。
本当は、彼は嬉しくて仕方がないのだけれど。
家の怖い顔のおじさんは、自身の顔に似合わず照れ屋だから。
本来は娘、孫のように可愛くて仕方がない絵里ちゃんへと。
彼はいつも通りで素知らぬ振りで。
絵里ちゃんへの返事の方も。
『ああ』とか。
『そうか』、
『そうだな』で。
彼はあっさりと終わる不愛想な言葉しか漏らさない。
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