僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第33話 怖い顔のおじさんとJK(20)
#創作大賞2023
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第33話 怖い顔のおじさんとJK(20)
家に怖い顔のおじさんは、目に入れても痛く無いほど可愛くて仕方がない。
だから彼女のことが心配で仕方がないのだ。
家の怖い顔のおじさんはね。
だから後で絵里ちゃんと彼氏とが口論……。
そう、『絵里、お前、あのおじさんと何をしていたのだ?』と。
彼氏に気の強い絵里ちゃんが、同じことを何度も聞かれ。
『只の知り合いのおじさんだよ』と。
絵里ちゃんが怪訝な表情で言葉を返す。
『はぁ~、絵里。お前は何で只の知り合いのおじさんと。あんなにも親しく話しをしているのだ?』
『えっ! 何で、って、小さい頃から知っているおじさんだから会話をしている。何でそれが可笑しいの、翔?』と。
絵里ちゃんが彼氏へと不満のある顔──反抗的な物言いと様子で言葉を返すようなことがあれば。
『はぁ~、普通は可笑しいだろう。JKの少女が只の知り合いだけで、おっさんと話しをするのは。普通はそんなことはしないぞ』と。
彼氏が仮に、苦笑を浮かべながら絵里ちゃんのことを侮るような物言いでもすれば。
絵里ちゃんも気が短く、荒いタイプの少女だから。
『翔、あんたには別に関係ないじゃ、ん。うちが誰と話しをしようが。だから放っておいてくれる』と。
絵里ちゃんが彼氏を冷淡な目で見詰めつつ、呻るようにでも告げてしまうと。
『絵里ー! お前は、生意気な女だな!』
〈パチン!〉と。
絵里ちゃんの可愛い頬を打つ可能性があるぐらいならばいいのだけれど。
彼氏の固い握り拳で。
絵里ちゃん顔の至る所を殴ったり。
あの、華奢な身体や足などを蹴られてしまうようなことにでもなれば。
家の怖い顔のおじさんは目も当たられなくなるから。
人間誰だってイライラしていても。
甘いものを口にして食すれば。
自然と強張った顔が緩み、穏やかな顔の相と気持ちになることを。
この仕事……。
僕達のような、大手企業のスナック菓子とは違い。
各地方の都市などでひっそりと作られている手作り菓子や豆菓子などを小売り販売をして三十五年以上もなる。
家の怖い顔のおじさんは知っているし。
僕【芋けんぴ】達が小分けで袋詰めをされている袋……。
そう、当の本人である絵里ちゃんがアルバイトで袋詰めをした商品だから。
絵里ちゃんが彼氏に訊ねられても。
『うちのバイト先の社長のおじさん』で話しも済む訳だし。
袋の後ろには賞味期限の記載だけではなく。
家の怖い顔のおじさんの会社名と住所、電話番号も記載されているから。
それを見れば彼氏も必ず安心するので。
絵里ちゃん対して、家の怖い顔のおじさんのことを何度も訊ねないはずだと。
家の怖い顔のおじさんは思っている。
悟っているから彼はムキになって。
「ええけぇ、絵里ちゃん。早ぅとりにこい。芋けんぴを今直ぐに」と。
絵里ちゃんに対して、自身の娘にでも告げるように慌ただしく、急かすように告げる。
また絵里ちゃん自身も、家の怖い顔のおじさんが頑固者だと承知しているから。
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