僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第44話 怖い顔のおじさんと女子大生(5)
#創作大賞2023
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第44話 怖い顔のおじさんと女子大生(5)
でもな、お客様達……。
そう、俺【紫芋けんぴ】の、妖艶に光り輝く、素晴らしい肢体を。
不気味だ!
気持ち悪そうだ!
不味そうだ! と中傷──。
罵り、嘲笑いを浮かべつつ悪態をついたお客様達が。
俺【紫芋けんぴ】の肢体を噛み砕き。
すり潰し。
自身の喉へと通して。
『ゴクリ!』と各自各々が、自身の喉を鳴らせば。
「……ん? おじさん?」と。
お客様の中ら、家の怖い顔のおじさんへと声をかける人が現れる。
「ん? 何じゃ?」
だから家の怖い顔のおじさんは声を返す。
「いや、これ。この紫色した【芋けんぴ】だけれど。本当に美味いな。これは……」と。
家の怖い顔のおじさんから、俺【紫芋けんぴ】を試食──食べてみるようにと嘆願をされ。
試食──味見をしたお客様達の中から。
俺【紫芋けんぴ】が大変に美味しいお菓子だと声が上がると。
「う~ん、確かに、これ、【紫芋けんぴ】は美味いなぁ」
「うん、うん、余り甘くないのも良いし。ほんのりと苦みがあるのが好いね」
「私は【芋かりんとう】よりも【紫芋けんぴ】の方が好みかも?」
「ああ、俺も、このほんのりとした苦みが堪らんわぁ」と。
俺【紫芋けんぴ】を試食したお客様達の中から。
甘さが取り柄の、【芋かりんとう】の奴よりも。
ほんのりと苦みもある。
大人の甘さって奴を持つ、大人の俺【紫芋けんぴ】の味の方が好みだと絶賛をしてくれるお客様達が多々出ると。
「おい! 皆しちょぉるか? この【紫芋けんぴ】の渋みと苦みはのぅ。アントシアニンと呼ばれる。目によいとされちょぉる成分を多くふくんじょぉるせぇなんじゃ」と。