僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第63話 怖い顔のおじさんと女子大生(23)
#創作大賞2023
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第63話 怖い顔のおじさんと女子大生(23)
若いお兄さん達。
そう、年頃のお兄さん達ばかりではなくてね。
おじさん達やおじいさん達が。
……だけじゃないか?
老若男女問わず道の駅の駐車場やトイレ、店内へと向かう、帰宅をする人達も。
各自各々が自身の足を止め──。
首を伸ばしながら、こちらの様子を窺い始めだす。
若くて麗しいお嬢様達の甲高い声音のキャピキャピ、ルンルンな声音でね。
「おじさん、これも試食して良いかな?」
「これも良い、おじさん?」
「こっちも勝手に焼いて食べても良いかなぁ~?」
「おじさん、おじさん。これって、どんな味がするの?」と。
あれだけ、家の怖い顔のおじさんの、怖い顔に対して畏怖、恐れ慄いていたのに。
自分達の友人である沙也さんが、家の怖い顔のおじさんに対して妙に懐き。
沙也さんが遠慮の無い、気さくな振る舞いを始めても。
家の怖い顔のおじさんが。
彼の生まれながらの怖い顔のように憤怒! 怒声! 罵声! を吐く事もしないで。
リズム良く、ノリ良く会話をするものだから。
沙也さんの友人のお嬢様達も、家の怖い顔のおじさんに懐き、キャピキャピと桜……。
そう、本当に綺麗で麗しい《《桜の木》》になってくれているから。
老若男女問わずお客様達が。
「何だ?」
「何事だ?」
「一体どうした?」
「あれは何だ?」
「何か、美味い物でも販売しているのかな?」と。
綺麗な桜の木達を上手く利用、活用しつつ。
お客様達の《《山》》を作りたい。
それもできるだけ大きな山──。
西の富士事、霊山大山のような大きな人の山を。
この売り場へと集めたい。
家の怖い顔のおじさんの思惑通りにお客様達が寄ってくるから。
先程も俺【紫芋けんぴ】が説明をした通りだ。
家の怖い顔のおじさんは、『キモイよ。おじさん』と。
自身の可愛い絵里ちゃんから。
にへらと笑いつつ、不評を良く言われるキモイ笑みをニヤリと浮かべつつ。
次から次へと俺【俺紫芋けんぴ】の商品説明をしつつ。
食品トングで、俺【紫芋けんぴ】をリズム良く手渡していく。