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僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第60話 怖い顔のおじさんと女子大生(20)

#創作大賞2023
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 第60話 怖い顔のおじさんと女子大生(20)

「絵里ちゃん、おじさんが悪かったけぇ。ごめん、悪かった、のぅ」と。

 家の怖い顔のおじさん自身は、何で絵里ちゃんが不機嫌極まりないのかも。

 その訳も判っていないのに。

 先ずはこんな台詞を。

 家の怖い顔のおじさんの家の外──。

 プレハブ仕様の作業場から出ていく。

 帰宅をしようとしている絵里ちゃんの華奢の背中へと告げる。

 すると絵里ちゃんのスラリと伸びた綺麗な両足がピタリと停止──。

 まあ、止まるから。

 家の怖い顔のおじさんは取り敢えず、ホッとしながら胸を撫でおろし安堵するのだよ。

 でもね、家の怖い顔のおじさんがいくら安堵感に浸ろうが。

 麗しいJKの絵里ちゃんの御機嫌が直った訳ではなく。

 彼女自身は、自分が真横で仲良く肩を並べ作業──。

 お仕事をしている最中に。

 家の怖い顔のおじさんが絵里ちゃんの容姿を褒め称えることを一切しないで。

 彼女の母親であるすみれさんの容姿ばかりを褒めるから。

 絵里ちゃんが嫉妬心に良く似た感情を募らせ不貞腐れているとも知らない。

 まあ、普通は気がつかないかな?

 まあ、それでも気がつく人は。

(……ん? あれ、可笑しいな?)

(何だか様子が変だな?)と思う訳なのに。

 家の怖い顔のおじさんは、絵里ちゃんの気持ちも気がつかず。

「あの、絵里ちゃん? もしも、おじさんの事怒ちょぉるんじゃったら。どうやったら許してくれるかのぅ、絵里ちゃん? おじさん絵里ちゃんの言ぅ事聴くけぇ。許してくれんかのぅ、絵里ちゃん?」と。

 家の怖い顔のおじさんは、自身の顔に似合わないような情けない声音で、絵里ちゃんへと嘆願と謝罪を一度きりではなく。

 自身の男としての弱い部分を何度も絵里ちゃんに曝け出しては。

 家の怖い顔のおじさんは何度も嘆願や謝罪をしているからね。

 おじさんの舵を握っている絵里ちゃんはね、直ぐに踵を返し反転──。

 そしてうちの怖い顔のおじさんの顔を見つつニコリだよ。

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