見出し画像

僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第55話 怖い顔のおじさんと女子大生(15)

#創作大賞2023
#お仕事小説部門#お仕事 #移動販売・対面販売 #ラブコメ・恋愛 #おじさん #駄菓子・豆菓子・珍味・ドライフルーツ #未亡人・JK少女 #女子大生 #人妻

 第55話 怖い顔のおじさんと女子大生(15)

 まあ、したからね。

 先程俺【紫芋けんぴ】の口から。

「うっ、うぎゃっ! ううっ、痛い。痛いぞ! このアマがぁっ! 痛い。痛い。痛いぞ! 俺の肢体を噛むなぁっ!」と絶叫が吐かれ。

「うぅ、うううっ 痛い。痛い……」と呻り声を漏らしてしまうほど。

 俺【紫芋けんぴ】は、眼鏡の麗しい女子大生のお嬢様に。

 この紫色の肢体に歯を立てられ、ガリガリと齧りかじり、貪られてしまった

 だから俺【紫芋けんぴ】の口から更に悲痛な声色での。

『ああっ、痛い。痛い……』と言葉が漏れる事は無い。

 あま、無いから。

 皆は心配をしないで欲しいのだ。

 だって俺達はあくまでもお菓子なのだから。

 眼鏡の麗しい女子大生のお嬢様や。

 その他の女子大生のお嬢様達にお客様達と。

 俺達お菓子は、自身の肢体をお客さま達から、歯形がつく程齧られれば。

 齧られる程。

 己の身体にアドレナリンが大量に分泌され。

 自身の身体中を駆け巡るから。

 俺達お菓子は、マゾヒスト的な快楽を求める事が出来る。

 だから俺【紫芋けんぴ】の口から漏れる言葉は、悲痛な声色での嘆きや呟きではなく。

「ああっ、いい。いいぞ。姉ちゃん! もっと、この俺の肢体に歯を当て、噛み砕いてくれぇっ。お願い。お願いだ……。ついでに姉ちゃんの艶やかに動く舌も使い。レロレロ使用をしながら。俺の肢体を舐めて、貪って欲しい。欲しい、のだぁっ! お願いだぁっ!」と。

 俺達お菓子は、マゾヒスト的な快楽に溺れ、歓喜し、嬌声を吐く事ができるから。

 俺達お菓子への同情心は無用……。

 それでも俺達お菓子のことが可哀想だと思う、善良な心の持ち主達は。

 とにかく、何でもいいから、俺達お菓子を沢山食べてくれお願いだと。

 俺【紫芋けんぴ】が、皆さんへの嘆願をしたところで、話しを元に戻すけれど。

 まあ、女子大生のお嬢様達も。

 最初、俺【紫芋けんぴ】のマドンナさまが。

 俺【紫芋けんぴ】を自身の口へと入れ、試食をして。

「……ん? 美味しい! 美味しいよ! この【紫芋けんぴ】は……。余り甘くもないから。みんなさっぱりして美味しいよ。このお菓子は。だからみんなも試食をしてみると良いよ」と。

 俺【紫芋けんぴ】の事を褒め称え、絶賛をしてくれて。

 自身のお連れ様達を手招きして誘ってくれたから。

 彼女のお連れ様の、女子大生のお嬢様達も。

 家の怖い顔のおじさんの販売ブースへと近寄り。

「美味しい」

「美味しい」

「これも美味しいし。あれも美味しい」

「どれも、これも美味しいなぁ」

「いや、あっちの方が美味しいかな?」と。

 女子大生のお嬢様達がキャキャと騒ぎつつ、試食──。

 この売り場に和気藹々とした騒めき、喧騒が出来たから。

 お客様達が更に。

いいなと思ったら応援しよう!