僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第36話 怖い顔のおじさんとJK(23)
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第36話 怖い顔のおじさんとJK(23)
でっ、絵里ちゃんは、一人待ち惚けを食らい、拗ねている表情……。
まあ、傍から彼氏の顔を凝視しても。
(彼は不機嫌なのかな?)と思うような顔をしている彼氏へと。
絵里ちゃんはニコリと、彼女らしく微笑みかけ。
「はい。これ、翔にあげる」と。
絵里ちゃんは呟きながら。
自身が握る、僕【芋かりんとう】が入った袋の口を破り始め。
〈バリッ〉と、音と共に。
僕【芋かりんとう】が入った袋の口を破り。
袋から僕【芋かりんとう】を一本掴み、取ると。
「翔~、はぁ~い」と。
絵里ちゃんは彼氏の口へと僕【芋かりんとう】を運び始める。
だから僕【芋かりんとう】は。
「うわぁっ! え、絵里ちゃん。や、やめてぇっ! やめてよ。お願いだよ。頼むよー! 許してよー!」と。
絶叫交じりで嘆願をするのだが。
僕【芋かりんとう】の絶叫染みた嘆願など。
人間の絵里ちゃんの耳へと届く訳なから。
僕のこの華奢でしなやかなボディは絵里ちゃんの彼氏のお口の中に入ると。
〈ガリ、ガリ〉と。
彼の奥歯でかじり、潰され。
〈ムシャ、ムシャ〉と食音立てながら。
絵里ちゃんの彼氏の喉元通り始めるから。
「痛い。痛いよ」と。
涙を流す僕だけれど。
絵里ちゃんの彼氏はそんな悲痛、悲惨な様子でいる僕の事など。
彼は全く気になどしないから。
僕【芋かりんとう】のマドンナである絵里ちゃんが、自身の口へと入れてくれた貴重な。
僕【芋かりんとう】の肢体半分を自身の口から指で摘まんで出し、見詰めながら。
「──絵里、これ、どうしたん?」と。
絵里ちゃんの彼氏は、自身の首を傾げながら問う。
「……ん? ああ、その【芋けんぴ】はね、絵里のバイト先の社長のおじさんからもらったんだよ……」と。
絵里ちゃんはニコリと微笑みながら彼氏へと説明……。
「翔も先ほど見ていたでしょう? 絵里がおじさんの店の店出しを手伝っている姿」をと。
絵里ちゃんが彼氏へと説明をすれば。
「ああ、見た。見た。見たぞ……。絵里何をしているんだろう? と。俺は思いつつ、見ていたよ」と。
やはり家の怖い顔のおじさんの思っていた通りで。
絵里ちゃんの彼氏は、家の怖い顔のおじさんのことを不審な目で見ていたみたいだね。
だって絵里ちゃんのパパが交通事故で。
もうこの世にはいないことぐらいは。
絵里ちゃんの彼氏をしていればわかることだと思うから。
家の怖い顔のおじさんと絵里ちゃんが親し気に会話をしつつ作業をしていたら。
いくら絵里ちゃんがアルバイトのお仕事をしているとしても。
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