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僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第54話 怖い顔のおじさんと女子大生(14)

#創作大賞2023
#お仕事小説部門#お仕事 #移動販売・対面販売 #ラブコメ・恋愛 #おじさん #駄菓子・豆菓子・珍味・ドライフルーツ #未亡人・JK少女 #女子大生 #人妻

 第48話 怖い顔のおじさんと女子大生(14)

 晴れてこの俺【紫芋けんぴ】のマドンナ様へと襲名した眼鏡の姉ちゃんなのだが。

 今でこそ家の怖い顔のおじさんへと気さくに。

「おじさん?」

「何じゃ、お姉さん?」

「これも試食して良い?」

「ああ、えぇぞぉっ! 今日は無礼講じゃから。好きなだけ食べて。気に入れば買うてくれぇ。まけちゃるぅけぇ」

「本当におじさん?」

「ああ、ほんとうじゃ。お姉さんは、儂好みの女性じゃけぇ、貴方好みでぇ~♪ まけちゃるわぁ」

「マジで本当に~?」

「ああ、本当じゃぁとも。まけちゃるぅ。まけちゃるぅ、けぇ。食え、食え。そして気が向けば買うてぇ~、くれぇ~」と。

 家の怖い顔のおじさんがリズム良く奏で、歌うように告げる。

 このイタイ姉ちゃん、ではなくて。

 この眼鏡の麗しい女子大生の姉ちゃんは……。

 俺【紫芋けんぴ】が思うに。

【ヲタク】だと思うぞ。

 この眼鏡の姉ちゃんは。

 まあ、そんな感じに見える眼鏡の女子大生の姉ちゃんも。

 家の怖い顔のおじさん……。

 顔は怖いが心は晴れ晴れして優しいおじさんにリズム良く。

 自分の好みだから、好きなだけ試食をしていいぞ、と告げられ。

 上機嫌となり。

「本当に~。やった~!」と。

 自身の両腕を天空へと掲げながら歓喜──。

「おじさん大好き~!」と。

 ノリ良く。

 リズム良く。

 テンポ良く。

 家の怖い顔のおじさんへと告げるようになった。

 だから家の怖い顔のおじさんも。

 ケラケラと笑いつつ。

 ノリ良く。

 麗しい眼鏡の女子大生のお嬢様へと冗談を合わせで。

「ああ、儂も愛しちょぉるぞ。お姉さん。儂の嫁さんになってくれぇ~。わっ、はははっ」と。

 家の怖い顔のおじさんが、笑い誤魔化しながら言えるぐらい。

 彼女は気さくになってはいるけれど。

 先程も俺【紫芋けんぴ】が説明をした通りで。

 この眼鏡の女子大生のお嬢様のお連れ様達は。

 このノリの良い眼鏡のお嬢さまが。

「……私食べてみたい」と呟き。

 家の怖い顔のおじさんからの試食──。

 そう、この俺【紫芋けんぴ】の試食をトング越しに。

 あのしなやかな指先で受け取り。

 俺【紫芋けんぴ】の試食を、自身の艶やかな唇を開き。

 お口へとポン! ポイ! と放り込み。

 ガリッ! と。

 あの真っ白い前歯で噛み、折り。

 ムシャ、ムシャする。

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