僕と怖いおじさん(芋けんぴ達の独り言) 第49話 怖い顔のおじさんと女子大生(9)
#創作大賞2023
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第46話 怖い顔のおじさんと女子大生(9)
「うぅ、うううっ」と、唸り声を漏らしつつ。
ブルーベリーの実の奴を睨みつけていると。
「私はこっちの方が。【紫芋けんぴ】の方が美味しい。美味しいな……。特に、この苦みと、ほどよい甘さの絶妙なバランスが良いよ。私は」と。
女性の声……。
それも若い女性が、この俺【紫芋けんぴ】の事を褒め称え、絶賛するものだから。
この場!
この販売ブース!
家の怖い顔のおじさんのブルドックトークに惹かれ、意図的に集められたお客様達と。
家の怖い顔のおじさん。
そしてこの俺【紫芋けんぴ】も。
声の主である若い女性に注目すれば。
(あぁ、あの娘達か)と。
俺【紫芋けんぴ】は思ってしまうのだよ。
だってあの娘……。
いや、あの娘達は先程家の怖い顔のおじさんが、沢山のお客様達を沢山意図的に集める。
そう、家の怖い顔のおじさん達販売業者さん達が。
【山】、【山を作る】と言っている行為なのだが。
皆さんに【山を作る】と言っても。
何の事なのだろうか? と。
困惑する人達もいるだろうから。
俺【紫芋けんぴ】の口から少しばかり説明をするけれど。
今は余り見る。
見かけることが少なくなった。
シネマやドラマ、アニメ、マンガ等に出てくる。
スーパーマーケットやショッピングモール、百貨店等の特売セール……。
そう、衣服等の特売セールに群がる御夫人達みたいな感じだよ。
お客様達を意図的に売り場へと集め。
購買力を高め。
我先にと、競うように購入してもらう販売テクニックなのだが。
家の怖い顔のおじさんもわりと得意でね。
先程家の怖い顔のおじさんが【山を作る】時に集めた、お客様達の中の小団体様達──。