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IVECデザイナー受験記(2024年秋期)
本記事はIVECデザイナー(旧Lv.3,4)受験を予定されている方に向けて、また自身の振り返りも兼ねて、覚えていることをなるべく細かく記載しています。
適宜読み飛ばしていただき、他の受験記とも合わせて少しでも受験の参考になる部分があれば幸いです。
本記事の注意事項
2024年秋期試験の受験記です。
2025年春期からは受験方式がCBTへ変更になるため、出題内容なども変更される可能性があります。詳細は公式のニュースリリースをご確認ください。
IVEC受験方式の主な違い
~2024年秋期まで
各地域の指定会場で集合試験
試験日は一日のみ
PCに文章を入力して回答
2025年春期から~
全国のテストセンターでCBT方式の試験
指定された期間内で受験
選択式の回答(JSTQBの場合。IVECでは文章入力の可能性もあり)
テストセンターでの試験について、初めてで不安という方は同じCBT方式のJSTQB FL受験記をご覧ください。
目次から"試験当日の流れ"で会場に着いてからの流れなどを参考にしていただければと思います。
※試験予約サイトはIVECとJSTQBで異なると思いますのでご注意ください。
IVEC試験概要は下記をご確認ください。
※2025年2月7日時点ではCBTへ変更される前の概要のみ記載されています
受験基本データ
受験者:テストエンジニア業務2年目
保持資格:IVECテスター(旧Lv.2)、JSTQB FL
勉強開始時期:2024/10初め頃から
試験日時:2024/11/24(日) 14:30~16:30
試験会場:札幌会場
選択問題:IoT関連を選択
合否発表日時:2025/1/27(月) 15:30過ぎ
勉強方法
IVECデザイナーはJSTQBと異なり知識問題ではなく、対応したテス友も無いためどのように対策したらよいかが難しかったです。
選択問題(IoT関連かテスト自動化)は自身の業務とより関わりのあるIoT関連にしようと決めていたのでその関連資料を読みました。
勉強時間はJSTQB FLの時と同じく、ほとんどが会社へ行き帰りの電車内、他には仕事合間の休憩中や病院の待ち時間… などのタイミングでした。
一日30~40分程度で平日は毎日、休日はその時によって1時間ほど勉強したり、全くやらなかったり、という感じです。
おおよそ以下の流れで勉強を進めました。
① シラバスを一通り読む
② 旧テキストを一通り読む
旧テキストで一章読み終えるごとにその章の確認問題を解く(週末)
③ 同時にIoTの資料を一通り読む
④ 過去問と過去試験の総評を確認
⑤ テスト技法の資料を確認
⑥ 情報セキュリティの資料を確認
使用した教材や資料
① シラバス
選択問題のIoT関連とテスト自動化はどちらもシラバスを読んでみましたが、やはり自身の業務に関連のあるIoTを選択しました。
テスト自動化であれば「手動テストとの違い」という点で学習すると分かりやすい(試験問題が解きやすい)のかもしれません(的外れであればすみません)
IoTはセキュリティの話など頭の中で混ざってしまって問題を解くのが難しかったという印象です。
② 旧テキスト
上記シラバスのページにテキストについて記載されている通り、試験制度が変わり、テキスト自体も現在は販売されていないので基本的には参照不要かとは思います。
しかし手に入るようであれば、図表を用いた解説でシラバスの内容をより理解できるので読んでおいて損はないと思います。
③ IoTの資料
この「つながる世界の品質確保に向けた手引き」はシラバス内で参考資料として紹介されています。
その他の公開資料も沢山あるので、目を通しておくとよいかもしれません。
④ 過去問と過去試験の総評
過去問はレベル4のサンプルがデザイナークラスに相当します。
過去試験の総評は出題傾向を確認するために参照しました。
デザイナークラスでの選択問題の出題は今回の2024年秋期が初だったので、先行して出題されている2024年春期テスタークラスの総評も確認しました。
⑤ テスト技法の資料
たまたま見たQbookのメールマガジンで紹介されていたWeb上の資料です。
どちらの資料でもテスト技法のページを中心に、技法の再確認や知っている実例の幅を広げるために読みました。
もちろん、この資料でなければならない!という訳ではなく、テスト設計やテスト技法について記載されたものであれば何でもよいと思います。
またちょうど勉強期間にIVECデザイナーの内容をベースにしたテスト設計の社内勉強会がありました。日程都合で参加はできませんでしたが、後から資料を確認し、実例として学ぶのに役立てられました。
⑥ 情報セキュリティの資料
IoTの資料で紹介したのと同じIPA(情報処理推進機構)が発表しているものです。セキュリティテストの設計という面では直接関わらないですが参考として確認しました。
前述のテスト技法の資料と同じく、他の資料でも良いと思います。
出題内容
今回の2024年秋期試験の総評が既に公開されています。
合わせてご確認ください。
試験問題は大問4つと選択問題1つで構成されています。
それぞれに異なる題材(具体的なテスト対象)で出題されます。
選択問題はIoT関連かテスト自動化か、問題を見てから選択できます。
各大問の内容は以下の通りです。
※試験後すぐにメモした訳ではないので誤りや不確かな内容を含みます。
※回答内容の個別の正誤は不明です。あくまでも出題内容とそれに対する回答のイメージを掴むための参考としてご確認ください。
大問①
・ テーマ:テスト実装(期待値設計)
・ 題材:お掃除ロボット
テストケースの曖昧な箇所の修正として、機器の仕様(機器のLED点灯ステータスなど)と作成済みのテストケースが提示されます。
私は期待値として確認している仕様や前提条件に不足があると思い、テストケースに追記するような形で修正しました。(正答率は低かったのでこの回答は誤りだったと思います…)
大問②
・ テーマ:テスト技法の活用
・ 題材:Bluetoothスピーカー?(不確かです)
機器の取り得る状態を仕様から抜き出してテストケースの作成と、それらだけでは不足しているテストケースは何か。
状態は電源オフ/スタンバイ/開始処理/などです。
状態が遷移しない時の操作や開始処理中に電源オフするテストケースなどが不足しているとしました。
大問③
・ テーマ:テスト結果の分析
・ 題材:オンラインピザ注文システム
実行中のテストのスケジュールと見つかった不具合のステータスや実行担当者の所感が提示され、テスト実行終盤の現在から今後進捗が遅れそうな機能と理由を求められます。
私はメニューをカートに入れる機能を挙げました。
理由はテスト残件数が他機能と比較して多く、選択したメニューに追加するトッピングの不具合が修正済みだが今後も不具合が見つかる可能性があるためとしました。(そう思った根拠があったはずですが忘れました)(後続のカートの表示・編集機能が関係していたような記憶です)
またテスト条件の順番を勝手に変えてはいけない理由をカバレッジ/再現性の面から求められます。(例:トッピングを追加する操作順序 A→B を B→A で実行した)
これに対し、テスト設計時想定のカバレッジを満たせない/開発側では A→B のまま実行し不具合再現せずとされる可能性があると回答しました。
大問④
・ テーマ:セキュリティテストの準備
・ 題材:セキュリティ対策
"ディザスタリカバリ" と "ゼロトラスト" について、語句自体の説明やテスト観点の具体例などを求められます。単語の意味をきちんと把握しておらず全てピンと来ない問題でしたが、なんとか絞り出して全ての回答欄を埋めたことは覚えています。
単純に単語の和訳で考えてみるのと、問題文中に意味を理解するヒントもあったので、そこを拾いつつ一般的なテストに関する内容と合わせて回答すれば乗り越えられそうだと感じました。(もちろん出題された内容を勉強済みであることが一番ですが…)
大問⑤
・ テーマ:専門問題→IoTを選択
・ 題材:IoTに関する選択式の知識問題+スマートスピーカー
選択肢が4つある知識問題が5~6問+スマートスピーカーに関する文章題が3問ぐらい出ました。
シラバスP.42の「利用者、利用状況、利用環境などを考慮したテスト設計」、「複数の IoT システムの競合に関するテスト設計」あたりの内容は確実に出題されていたと思います。
またIoTのテスト設計時に最も考慮が必要なことは?/考慮が不要なことは?/スマートスピーカーでの考慮事項の具体例は?などが出題されていたと思います。
合否発表
2025/1/27(月) 15:30過ぎに合否公開のお知らせメールが届きました。
試験予約時のマイページにログインして結果を確認します。
マイページ上の合否判定通知書では大問ごとに自身の正答率と合格者平均をレーダーチャートで確認できます。
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全くピンときていなかった大問④のセキュリティ問題でほぼ満点だったのには驚きました。
このようなセキュリティやIoTでは特に知らない内容が出題されることもあると思いますが、諦めずに記述し切って良かったと心底思いました。
反省点
分からなくても諦めずに記述し切ることは大切ですが、それ以前にもっと広い範囲で知識をインプットしておくべきだったと思いました。セキュリティやIoTに関わる単語などは特に、一度でも目にしておけば試験で初めて見て焦るということを回避できると思います。
普段の業務で関わっていない分野は、試験までできるだけ多くの資料を広く浅く読んでおくと良いかもしれません。
一番正答率が低かったのは大問①のテスト実装(期待値設計)ですが、模範解答が出るわけではないので、どうしたら良かったかというのは正直難しい所です…。
総評によるとテストケースの一部に着目するのではなく、全体を把握せよとのことでした。
普段のテスト設計から広い視点で見るように意識すると良いでしょうか。
またテスト設計のレビューが発生した場合には、自分が関わっている,いないに関わらず目を通して、元々のテストケースからどのような修正が発生しているか確認していくのも有効ではないかと思いました。
最後になりましたが改めて、この受験記で少しでも参考になる部分があれば幸いです。これから受験される方は是非、万全の準備をした上で試験に臨んでいただければと思います!
最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m